大胆にして精緻、奔放にして繊細。
素材にいのちを吹き込む
ー針金とフェルトの世界
先日、「これはスゴイです、観た方がよいかもですよ」とお誘いのメールがありました。
公民館でよく開催されるご近所アマチュアの手工芸品展覧会のご案内でしょうか?
でも、会場はあの駿府博物館。
山椒は小粒でピリリと辛い、静岡新聞・SBS系列の由緒正しき場所です。
これはただの展覧会ではないはずです。
行きました・・・ハイ、喜んで。
針金アーティスト
MASASHI(マサシ)さん
針金やコードなど身近な素材を活用して、様々なキャラクターを創作しています。
パッと見た感じは昭和のオモチャ、「超合金」や「ミクロマン」。
デザインの傾向としてウルトラセブンに登場したペガッサ星人、メトロン星人、ゴドラ星人のように、手足が長く、ビビッドな配色が印象に残ります。色合いは民族衣装のテイストもありますね。サイズは指先から30センチの大作までそろっていました。
キャラクターは独立して存在しているわけではなく、多眼族、身体顔族、鬼族、干支族、星族などそれぞれのグループを形成し、それぞれに影響し合っている世界観に基づいています。言ってみればスターウォーズ・サーガのような世界。
作品のルーツはMASASHIさんが幼少のころ、親から買ってもらったモールの束。
普通はそこでわーい!で終わるのですが、彼がモールをよじり合わせた作品はすでに今の原型と言えるような仕上がりでした。
栴檀は双葉より芳しとはこのことです。
それから試行錯誤と紆余曲折。宇宙が一点から始まったビッグバンように作品が生み出され、会場はさながらMASASHI宇宙と言える空間を形成していました。
作品群にどんな想像を膨らませ、どのようにイメージの中で遊ぶかは観客側の手にゆだねますと、彼からメッセージです。
立体フェルト刺繍作家
PieniSieni(ピエニシエニ)さん
フェルト製の花に刺繍を始め、道を切り開いているうちにフェルトさえも見えなくなったところが作品のルーツ。もったりとしたオトナの厚みを感じる立体刺繍の作品が並びます。
題材は華やかな花や草木もありますが、ただの植物で終わらないところが彼女らしいところ。
毒キノコや食虫植物、さらには獲物を狙う昆虫が刺繍、いえ、むしろ繊維で紡がれた彫像のように表現されます。
前出のMASASHIさんが独自の宇宙を拡げているのに対し、彼女は目の前の自然を解釈しなおし、さらに深堀したような趣です。
立体刺繍のジャンルがまだ認知途上ということもあって、なんとかひろめていきたいとの情念さえ感じます。
正直申し上げて、お二人が織りなす作品の魅力は、私の文章力ではお伝えしきれません。
駿府博物館では6月16日まで開催しています。
ひょっとすると、そのあとも、あなたの街の近くにも来るかもしれません。
モダンアートや手芸アートがお好きな方は是非!
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?