見出し画像

免疫(33)-アデノシン-

アデノシンがT細胞の制御に関連しているなんて。

すいません。しりませんでした。

なので、調べてみましょう。

アデノシンは、細胞内中間代謝体としての役割に加え、4つの細胞膜アデノシン受容体(A1、A2A、A2B、A3AR)に結合し、多彩な生命現象に関与。

cytoplasmic 5'-mucleotidaseは細胞内に豊富に存在するATP/ADP/AMPを分解しアデノシンを産生する。

産生された細胞内アデノシンはadenosine kinaseやadenosine deaminaseによってAMPとイノシンに代謝される。

細胞外に放出されたATPやADPは、細胞表面に局在する膜結合型ectonucleoside triphosphate diphosphohydrolase 1(CD39)とecto-5'-nucleotidase(CD73)によって脱リン酸化され、細胞外アデノシンへと変換される。

さて、

A2aRはアデノシンに対する細胞膜受容体であり、この受容体が欠損すると感染症に対し強烈な炎症を伴うようになる。

Treg.はCD39(NTPDase)を細胞膜上に発現し、細胞外のATPをAMPへと変換する。

さらにTreg.はCD73(5'-NT)を発現しており、これはAMPをアデノシンへと変換する。

アデノシンはT細胞上のA2aRに結合するとそのT細胞にはTreg.のマスター転写因子FoxP3が誘導されるようになり、したがってTreg.へと分化する。

また、TGF-βとIL-6の働きによりTh0からTh17細胞が分化した場合、Treg.と同じようにCD39とCD73の両方を発現するようになり、ATPを分解しながらアデノシン産生にいたり免疫を抑制すると言われている

免疫の抑制については、

A2AAR選択的アゴニストがCD3抗体刺激によるT細胞増殖やIFN-γ産生を抑制するという報告がある。

話は変わるが、

制御性T細胞のうち、CD4陽性CD25陽性Foxp3陽性制御性T細胞は、CD39とCD73を共発現し、細胞外アデノシン産生能を有する。

一方でCD4陽性CD25陰性エフェクターT細胞はCD39を発現しないため、アデノシン産生能を持たない。

A2AAR選択的アゴニストはCD3抗体やアロ抗原(同種抗原とも呼ばれる。種を超えない個体間[ヒト-ヒト、マウス-マウス]で免疫応答を引き起こす抗原)刺激によるエフェクターT細胞の活性化を抑制する。

制御性T細胞が産生するアデノシンは、CD4陽性CD25陰性エフェクターT細胞のA2AAR受容体を活性化し、免疫応答を抑制すると考えられている。

制御性T細胞が産生するアデノシンは、オートクライン的に自身のA2AARにも作用し、制御性T細胞による免疫抑制能の発現への関与が示唆されている。

参考:塚本宏樹 CD73による細胞外アデノシンの産生を介した免疫抑制機構とその生理的意義 生化学 2014;86(6):766-769

参考:鵜殿平一郎 免疫チェックポイント制御とがん免疫治療 岡山医学会雑誌 2013;125(April):13-18

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?