遺伝(5)-トポイソメラーゼⅠ-

トポイソメラーゼⅠについてもチェックしてみよう。

二本鎖のDNAは生理的な条件では二重螺旋構造を形成しており、この二重らせんにはねじれが生じている。

このねじれ構造を超らせん構造という。

このDNAの立体構造を変える酵素として、トポイソメラーゼがある。

今回はトポイソメラーゼⅠについて

トポイソメラーゼⅠは2本鎖の片方だけを切断して再結合させる働きがある。

これによって、二重螺旋構造を変化させて、DNA複製などに関与している。

また、JUNなどの転写因子によるRNAポリメラーゼⅡの活性化にもコファクターとして関与することも報告されている。

コファクターとは補因子のことで、酵素の触媒活性に必要な因子のこと

さて、トポイソメラーゼⅠの発現量が時間帯によって変動する可能性が指摘されている。

マウスにおいて、トポイソメラーゼⅠRNAの変動に日内リズムがあることやそのリズムが副腎皮質ホルモンのリズムによって制御されている可能性が示唆されている。

参考とした文献では、トポイソメラーゼⅠは細胞レベルでリズム発現すること、ポロモーターがNIH3T3細胞で自律的にリズム発現すること、プロモーター領域にあるE2、D-boxを介して時計遺伝子によるリズム発現制御を受けていることが報告された。

参考:池田正明ほか トポイソメラーゼⅠの概日リズム性発現の解析:時間治療の分子基盤確立を目指して 埼玉医科大学雑誌 2009;36(1):73-79


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