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不細工な身体とか頭の先まで、残さず君に愛されたならば

どこまでも人間なんですよね。希望を捨てきれないところも、単純なところも、なりふり構ってられないところも。

それがあまりにも無骨で、目にかかるくらいに伸びた前髪から汗が滴り落ちて、そのあとのライブハウスの静寂がどこまでも寂しくて、「残さず君に愛されたならば」なんて一人で口ずさみたくなる。

全力で人間している「I Hate Love Song/ The Cheserasera」のはなし。


飾り気なんてないだよね。信じてほしい、飾ってるわけじゃなくて、言い過ぎでもなくて、それでもあなたが全てだったんだって。まだどこか過去の灯火が実像に見えて、二人でいた頃の自分が自分だと思ってて、でもだんだん消えていく。

だから迷うんですよね。希望と欲望と理想がごちゃ混ぜになって、全力で自分が嫌になって、それが美しいくらいに全力の人間で。でもいくら美しくてもやっぱりライブハウスには誰もいなくて、辿り着いてしまうサビ。

"不細工な身体とか頭の先まで 残さず君に愛されたならば"
I Hate Love Song/The Cheserasera

全力の人間なんですよね。そんな迷いに、思わずリードギターはソロまでずっとユニゾンし続ける。泣き叫びたい自分、最後くらいはカッコつけて「愛するココロは捨てないで」なんて言って背中を向けたい自分、商店街から聞こえる「ふざけたラブソング」に思いがけず意識を持ってかれてしまう自分。結局自分にできることなんで、全力の自分でいることだけで。


等身大の愛なんだよね。決してときめいているだけじゃなくて輝いているだけじゃなくて、相手のためでもなくて自分のためでもなくて、ただただその瞬間がその感情が、壊れて欲しくないと願ってしまう。やっぱり飾らないんですよね。ドラマみたいな修羅場もロマンティックな演出もなくて、でもそんなもの必要なくて。そんなものなくても、僕の全てだったんですよね。

この二番のサビ前の「ドラマだったよ」って言う歌詞のもつ切なさと後の笑いを、今まで息を潜めてたベースがここぞとばかりに共感してくる。胸の切り傷はそのままにサビに辿り着いてしまう。


 "生きてくれればいいから 元から間違いだったなんて思わせないでね"        I Hate Love Song/The Cheserasera

愛だったからこそ、あなたが生きてさえいればなんでもよかった。それが愛だと思ってた。それが愛だと思っていたい。だって、あれだけ愛したんだから。あなたが今日も他の誰かとどこかで笑っている。それでも愛させて欲しい自分と、今までの愛とは違う何かを感じる自分。

ソロに入って、はじめてギターがユニゾンからその姿をあらわにする。つんのめりそうになるくらい全力で、自分という人間を語ってくる。どれも嘘じゃない、自分という人間。今の自分にはそれしかできないから。心の線が下からグッて上がってきて、終わりが切なさをまとって。

全力で人間している、無骨さと凛とした雑さ。動かせる限りの身体を動かしてる、そんな不細工な僕は、あなたの耳にどう残りますか。


あなたに向けた歌でもなくて、僕に向けた歌でもなくて、今まで艶やかな輝きを放っていた二人の愛に向けた歌。

誰のためでもないラブソングは、あなたの耳に「ふざけたラブソング」として残りますか?



駄文長文にお付き合いくださりありがとうございました。

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