いつから自分の子供がかわいいと思えるか

元々子供が大好き!というわけでもない私が娘をちゃんと毎日かわいいと思えるようになったのは生後3ヶ月を過ぎたあたりだった。
正直、人並みに子供がかわいいと思えるようになってホッとしている自分もいる。
私の場合、TVに出ている子役に対してはかわいいと思えるが、会社の先輩のうちの子かわいいでしょ攻撃には「はぁ…」という感じだった。
かわいいという意味を造形美でしかとらえることができなかったのである。

産まれたての娘はかわいいというより、まさしくこれが真の赤ん坊という感じだった。
産んだ瞬間、私は泣くのかな?なんて思っていたが、私から出た第一声は「親になってしまった~~~~~」だった。自分でもこんな言葉がでるとは予想していなかったのだが、これが本音なのか。
見えない大きな責任がやってきた、そんな気持ちになったのである。

いくら親子といえど、産まれてすぐに「はい、じゃああなたたち今日から親子ね」なんて言われたって「はい、そうですか」となるわけでもなく不思議な気持ちだった。
出生届が出され戸籍をみれば立派な3人家族。私に娘ができてしまった。
戸籍上の関係と自分の気持ちが釣り合ってない気がして、まだ親になりきれてないのかと考えたりもした。
まだ親になるには早かったのではないか。
決心が足りないのではないか。
しかし産まれた瞬間、私は親になったのである。
厳密にいえば妊娠しているときから、もう立派な母親だ。
母親は10ヵ月という日月をかけて子をお腹で育てるため、父親より親としての意識が高いなんて聞いたことがあるが、それは「ヒトによる」ということを身をもって実感した。
私より夫のほうが数段親としての心構えができていたと思う。
ただ子育ては一秒たりとも待ってはくれない。
子が産まれてしまった今、向いている向いていないなどではなく、やるしかないのである。

生後1ヵ月間はとにかく世話世話世話世話!
泣いてもいいやと思ってたのに、泣いたら焦ってしまう私。
賃貸住まいなので隣人からクレームが来たらどうしようという言いようのない不安にかられ、勝手に怯えたりする日々もあった。
この頃はまだ目も開かず、意思疎通もはかれず、私はとにかく親としての責務を果たしている状態だった。
生後1ヵ月のうち最初の2週間くらいは毎日泣いていた。なんで泣いているのかは自分でもわからない。エレファントカシマシを聴いて泣き、親からのメールを読んで泣き、なにかにつけて泣いていた。
いつでも涙腺崩壊ギリギリの状態だった。
ただ子育てがイヤと思ったことは一度もなかった。
その反対に楽しいと思ったこともこの時はまだなかったのだけれど。


産後のアンケートで子供をかわいいかという項目があり、私は即答できなかった。
辞典を引っ張り出し、「可愛い」の語源を調べたりもしたが、余計わからなくなり頭を抱えた。
子をかわいいと思えない私は危ないのだろうか。
子がかわいいという項目がこのアンケートの正解だとは思う。
かわいいとは・・・・。

しかしヒトというものはよくできていて、毎日世話して一緒に過ごすと愛着が湧くようになっているらしい。
日にち薬、時間が解決してくれるという言葉はあながち間違っていない。
毎日一緒に過ごしていると、こんなに小さくてもできることが増えていると驚く。目が開くようになったり、手を昨日より挙げられるようになったり。書いていて他人からすると心底どうでもいいことだなと思うが、私はいちいち彼女に感心していた。
一生懸命生きているんだなと思う。
娘が私を母親と認識しているのかはよくわからないが、よく笑いかけてくれるようになった。
彼女が笑うと私は嬉しい気持ちになる。
これは初めての感情だった。
ヒトの笑顔を見て心から嬉しいと思える純粋な気持ちが自分にあったことにも驚いたし、なんとなく親子になっていってるんじゃないの?と思った瞬間でもあった。

3ヵ月頃になると新生児期よりだいぶ顔つきも変わり、甘えたり怒ったり興奮したりいろんな感情を出すようになってきた。
親を求めたり、仕草、成長、全部ひっくるめてかわいいということがだんだんわかってきた気がする。
造形美だけではないのだ。
この感情は娘に教えてもらわなかったら一生私には理解できなかったと思う。
今なら産後のアンケートに自信を持って「かわいい」という選択肢に〇をつけられる。

なのでもし、今子供が可愛いと思えず悩んでる方がいたら日にちが薬ということもあるよと伝えておきたい。



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