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【産地訪問 尾州②】 産地を伝える人々

尾州を楽しく伝える
産地への思いが集う「尾州のカレント」

大鹿株式会社の彦坂さん案内のもと、愛知県の尾州産地を訪れて2つの工場を訪問しました。ウールの魅力や産地の活動についてさまざまなお話を伺うことができたので、その内容をお伝えしたいと思います。

【産地訪問 尾州①】 蘇る羊毛と、その現場

お話を伺ったのは、大鹿株式会社のデザイナー・彦坂雄大さん。コートブランド「blanket」や再生羊毛生地ブランド「毛七」の立ち上げ、産地内の若手による産地活性サークル「尾州のカレント」の立ち上げにも携わる尾州産地のキーパーソン。穏やかで静かな語り口の中にも、熱いものを秘めた方です。

産地でつくる。産地から届ける。
尾州のものづくりが見える場所

今回訪れた尾州のカレントの活動拠点「新見本工場」は産地直営の店舗。そこに並ぶ商品を見てまず驚いたのが、その多様さです。ウール=冬物、もこもこ、防寒着なイメージがありましたが、実際は肌着のようになめらかなカットソーから、Tシャツ、ポロシャツ、光沢のあるパンツに至るまで、これもウール!?と聞きたくなるような生地感のものも揃っていました。

「そもそも"ウール"は人と同じ哺乳類である羊の身体を過酷な環境から守るために進化した"体毛"。だから、ただあたたかいだけではなく、汗を素早く逃して体温調節したり、雨風を防ぐために水を弾いたり、天敵から見つからないように毛に消臭機能が備っているんです」と彦坂さん。

ウールの機能性は、羊の環境適応力の賜物なのですね!そんなに多機能なイメージがなかったものの、インナーとしても快適で彦坂さんも趣味のアウトドアで愛用中。実際、ウール素材の持つ機能性を生かして、尾州のカレントでは夏物商品もすでにたくさんつくられています。汗をかいても匂わないし、水を弾いて汚れもつきにくいなら、そもそもそんなに躍起になって洗う必要は無いのでは?と思えてきました。

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尾州のカレントは"バンド"だ

産地の特徴として、尾州には糸づくりから仕上げまですべての工程が揃い、分業・協業で成り立っています。各工程の専門性が磨かれることで、特徴の違うさまざまな生地をつくることができ、産地全体が大きな1つの工場のようになっています。彦坂さんら尾州のカレントもまた、メンバーの専門性を活かし、産地の服や職人の技術を伝える取り組みを行っています。メンバー構成は、デザイナー、広報、機織り職人、修整職人など、所属も職種もさまざま。仕事以外の時間を使って、同じ業界内の同世代で集まり、知恵を出し合うというのは簡単にできることではないし、率直にすごいことだと思います。ラジオ番組に動画収録、2ヶ月に1回のハイペースでイベントを企画するなんて、燃え尽きたりしないのか?と尋ねてみたところ「ずっと文化祭準備やってる感じ」とご苦労はありながらも、どこか楽しそうでした。

彦坂さんの言葉で印象的だったのは「尾州のカレントはバンド」という言葉です。「産地をなんとかしたい!という熱い思いが同じくあり、この人こそは、というメンバーに声をかけている。このメンバーだからこそ、できることがたくさんある」とのことでした。

ボーカル、ベース、ギター、ドラム、キーボード…それぞれの奏者の違った技術や個性が互いを生かして重なり合う。彼らが発信するメディアからも、さまざまな繊維企業、職種をバックボーンに持つメンバーが個性を活かし合って、産地を伝えようとしているように感じました。きっと彼らの良いグルーヴが伝播して、周囲の応援も得ることにつながり、現在の活動の広がりがあるのだと思いましたし、同世代の奮闘する姿に、刺激をいただけました。

「新見本工場」に行くと、自ら生産に携わる彦坂さんをはじめ、尾州のカレントのメンバーに直接話を聞くことができるので、産地やウールのたくさんの魅力に触れることができます。併設の工場見学、洋服のオーダーができるほか、ウールの洗濯場スペースも設けられる予定と見どころはたくさんあるので、ひとりでも多くの人に足を運んでほしいです。

繊維産業だけの話ではなく、あらゆる産業が抱える事業の継承と収束の問題に対して、個人として何ができるかはまだわかりません。答えもすぐには出そうにありません。ただ、何もしなければ5年、10年先に失われるものも現実としてすぐ近くに確実にあります。実際に危機感を持ってなんとか産地が続く道を模索している人達の思いに触れたことで、彼らを知ってほしいと思いましたし、まずは産地を知って、考えはじめる人を増やすことからはじめよう。そんなことも考えた訪問でした。

田中


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