2023.11.5.日

朝、2度のアラームを無視して夢を見ていたら唐突に小さくて生暖かい感覚が私の手にあり、驚いて引っ込めた。目を開けると母が手を握っている。起こすために握られるのは初めてだ。驚きですぐに覚醒した。5:30。風呂に入らねばならない。急いで体を洗い、ドライヤーをして化粧をし、服を選ぶ。食卓に着くと母の用意してくれた朝食があったが、もう食べる時間がなくて泣く泣く後にした。今日は朝から暖かい。駅のホームで紅くなってきた山を見つつ、心地の良い気候に胸を弾ませる。

吹っ切れたと思っていたが、いざ会話が無くなり電話もできず、約束していたうどん屋さんにも行けない状況に至ると、寂しくて寂しくて堪らなくなった。ひとりになると更に狂ってしまいそうなほどの寂寞の苦しみ。元々空いていた穴を彼の存在で埋めていたのだろう。再び穴が面前に現れると、埋める前よりも大きな存在感となって私を痛めつける。今彼に依存し直すことが一番簡単な解決法だけれど、それを矜持だけが何とか抑えている。縋るのは簡単だ。困難な方を選べる強さを持ちたい。

喉の痛みで、彼との思い出がありありと目に浮かぶ。扁桃炎だけが、今ある唯一の彼との繋がりだ。理性で自分を支配しきれず愚かな欲望に身を任せそうになる。この寂しさは親では絶対に埋められない。友達でも物足りない。愛する人からの抱擁という形でもって初めて満ち足りた思いになるのだ。分かっているのに、彼に求めてしまえば元の木阿弥だし、他を探そうとすると見つけるまでが遅すぎる。そもそも人に寂しさの穴埋めを期待するのではなく自分で解決するべきなのは承知の上で、愛に浸りたいと願ってしまう。


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