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夏と花火と私の休日

巷では花火大会だの夏休みだの浮かれているようだが私はいつものことながら仕事で行けない。まあ花火大会なんて25年間生きてて行ったことなどないのだが。いつか川辺の旅館の窓から近距離で花火を眺めたいものである。夏祭りに関しては、去年仕事終わりに立ち寄ってわたあめを買ったが1人でその場で食べるほどメンタルが強くないのでわたあめを持ったまま電車に乗って家に帰るというこれはこれでメンタルにきついことをした思い出がある。(わたあめは包装してある)
今年も仕事帰りに夏祭りに出くわし、浴衣姿で歩くカップルに「風情があるのぅ…」ともはや羨むことすら通り越した感情を抱いていた。子供の時は夏の甘酸っぱい恋の思い出みたいなものは別世界の出来事だなあと思っていたのだが未だに別世界の25歳である。私の失った青春を取り戻す日は来るのだろうか。



さて、失ったものに思いを馳せても仕方がないので私は私のできることをやっていくしかない。休日に手持ち花火をダイソーでたくさん買って来た。蚊取り線香も薬局で買う。夏といえば蚊取り線香である。線香の匂いは独特でノスタルジーを誘うので好きだ。

ひとりで手持ち花火をやるのは寂しすぎるので、家にいる90代の祖父母と母親を道連れに花火を決行した。花火をやるから庭に来るよう祖父母に指示を出し、祖母は暑いのに何故かめちゃくちゃ着込んでヨタヨタと庭に出てきた。面倒なので着込んでいる理由は追求せず「おじいちゃんおばあちゃんこれ花火ね!」と花火を渡し火をつける。祖父母は手持ち花火がとても久しぶりらしい。祖母は最初はめちゃくちゃビビっていたが、次第に慣れてきたようで「見て見てすごいよ、ちょっと見てよこれ!」とはしゃいでいた。私が小学校低学年の時に祖父母と従兄弟と花火をした気がするが、それ以来やっていないに違いない。去年も手持ち花火をやったのだが妹とやったため特に誘わなかった。祖父母は一応楽しんでいるみたいでよかった。25歳とはいえ可愛い孫と花火ができるんだから楽しいに決まってる。

ブシャーって出てくる花火も綺麗だがやはり一番綺麗なのは線香花火である。弾けるように光り緩急がある。最後にポトンと落ちるのも風流である。線香花火に夢中になりすぎて煙を思いっきり吸い込んだ私はその後4時間くらい咳が止まらなかった。

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