お盆。生命を絶たれた人を思う

前職での話。ある朝、事務所に行くと親会社の社長が言った
「うな君(私)、Aさん 殺されちゃったよ…」

変な声が出た。誰が殺したのか、すぐに分かったから。

Aさんを殺した加害者も、その場で自殺したらしい。
「殺されないと終わらなかったのか?」
悲しいのか悔しいのかも分からずとにかく怖かった。

Aさんは親会社の元社員で、優しいお姉さんだった。
旦那さんも元社員で、2人とも「世界一やさしい2人」と社長がいつも冗談めかして言う、素敵な優しいご夫婦だった。
キャリアアップで2人とも退職されたけど
我々の会社とも良好な関係で
事件の件はその当日に、旦那さんから社長に連絡が来たらしい。
(「警察やマスコミが来ると思うので、ご迷惑をおかけしますがすみません」と。)

Aさんは、退社される前からずっとストーカー被害に遭っていた。

旦那さんと出会う何年も前の元彼が、別れてずいぶん経ってから、ストーカー化したと聞いた。
ご本人だけでなく、会社にも嫌がらせの電話や、会社名義でピザやお寿司が何十人分も勝手に注文されたりと、嫌がらせがあった。
実害もあるし、何度も捕まっているので、警察ももちろん把握していたが
精神病院?から出る度に、嫌がらせは再開する。
会社の近所で待ち伏せしているので「女子は気を付けて、一人で帰らないように」と警察も巡回して注意していた。

「ストーカー」って、特に元恋人のストーカーって何かしら、双方に問題があるものだと思っていた。

違うかった。
ひとえに、ストーカーする側の認知の問題。病気?
健康的なサークルで出会った、ちゃんとした仕事をしてる彼氏が、別れたずいぶん後、執拗に粘着するなんて、誰も想像できない。
しかも、とっくに他の人と結婚して素敵なご家庭を築いていたのに。

加害者家族の証言なのか「別れた時」、まるでAさんに問題があったかのような報道まであった。
認知が歪んでいる人間は、何でも自分に都合よく物事を解釈する。
他人の幸せを奪っていい理由なんて、何もない。

Aさんが退社された後も、仕事関係を装って、苗字や住所を探る電話がかかってきていた。
会社ではみんな気をつけていたし、Aさんのご家族も被害に遭っていて
警察も被害者・加害者の保護者も把握していながらも、なす術がなかった。

だから、Aさんが殺された時「どうすれば逃げられたの?」とただひたすら怖かった。
「出会い」を未然に防ぐ事は不可能だと思う。

お盆。
ご家族の事を思うと、やるせない。

どうすれば、同じような被害をなくす事ができるんだろう?
この事件をきっかけに、法律が改正された。
旦那さんとAさんのお兄さんが、社会を変えるために行動されている。
恨みや悲しみを超えて
同じよう事件が2度と起きないために、闘っておられる。

警察は法律に従って動く。
法律の改正はもちろん、加害者の認知の歪みを治療する必要が絶対にあると私は思う。
Aさんのお兄さんは、そちら方面の活動をれているようだ。本当に凄い。
あらゆる加害に関して、加害者治療の重要性を実感する。

人の生命が理不尽に奪われるのは、あらゆる手を尽くして未然に防がなければいけない。
そんな事件、どこか他人事だと思っていた。
でも、普通に生活している私や、あなたやあなたの家族に
ふりかかってもおかしくない事なのだ。

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