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この世に天使を見た


出産について、記憶が新しいうちにぽつぽつ。

まずは8/28の夜(ちなみにこの日が予定日)。
それまで出産の兆候が全くなく、大丈夫かな~とちょっとソワソワしながら過ごしていたその夜、おしるしがあったのと今思うとふんわりした感じの痛みが10分単位で1時間続いて、その日は念の為入院する形で様子見。
だけど前駆陣痛と診断されて8/29の朝に帰宅。
あんまりその辺の違いがわからず、じゃあ陣痛はいつ来るんや、、となんとなくブルーな気持ちに。

でも、その日の夕方から夜にかけて、座っていられない程痛みが強くなり、感覚も5分単位。
また帰されてしまうのでは、、と不安に思いつつも再度病院に電話すると、再度入院に。
でも今回はおそらく陣痛だろうとのことで、入院して数時間後には子宮口が3cm。
ちゃんと進んでて嬉しくなったのともう今回こそは帰宅したくなかったからこその安心感で助産師さんの前で号泣(助産師さん笑ってた、そりゃそう)。

でもじゃあその後子宮口がスムーズにどんどん開いたかと言うとそういう訳じゃなくて、ちょっとずつの進みだった。
そんな中での8/30の明け方、赤ちゃんの心拍が下がってしまった。
後々の推測では恐らくへその緒が巻きついていたからか私の横向き寝の体勢が苦しかったかのどちらかだったよう(ごめん)。
でも、助産師さんだけでなくお医者さんまで来て、なんだか鬼気迫る感じの雰囲気に、私も付き添いの旦那さんもヒヤッとしてしまった。
その時に急遽帝王切開になるかもとも言われて、まさかの事態に。
同意書を書いたり、手術の準備もされていた。
結局のところ、そのまま経膣分娩で事なきを得たんだけれど、あの瞬間は気が気じゃなかった。
生きててくれて本当に本当によかった。

さて話を戻すと入院時、8/30の昼くらいには生まれるかな、なんてのんびり考えていた私は、その後から地獄を見ることになる。
まず、子宮口が開くにつれて陣痛の感覚も痛みの強さもどんどんパワーアップ。
助産師さんや旦那さんにさすってもらわないと耐えきれず、上手く呼吸も出来なくて苦労した。

特に子宮口8~9cmから全開までがとにかく長すぎた。
その時の痛みは骨盤を引きちぎられる時をイメージしてもらえると大体相違ない(私は)。
そして全開じゃないのでずっといきまずに開くのを待って耐えるしかない。
ほんとは声も出さないで深呼吸した方がいいみたいだけど、そんなことで堪えられる痛みな訳もなく、とんでもない大声を出し、ベッドの端を殴るなど大暴れ。
もう嫌だ、辛い、痛い、やめたい、と半泣きで何回もうわごとのように言った。
しかも入院時から痛み自体はあったので殆ど眠れておらず、その時の私は疲弊もあってか気絶するように痛みと痛みの間で意識を飛ばし、痛みで強制的に起こされる、そんな繰り返しで頭がおかしくなるかと思った。
子宮口が全開になり、いよいよお産だと言われた時はもうとにかくなんでもいいから早くしてくれ、、、とずっと願っていた。

でも、実は1番辛かったのはこのお産だった。
いきむ感じをイメージはなんとなくしていたものの、陣痛もまだある中でのいきむのはかなり苦しく、ほんとに、かなり苦しく(何回でも言いたいくらい辛かった)なかなかすぐには出てきてくれそうに無かった。
出口の部分を指で抑えられると余計に痛くて、呼吸も上手く出来ず、便を出したいのか赤ちゃんを出したいのか分からない感覚に襲われてほぼパニック状態だった私のところに、いつも妊婦健診で診てくれていた先生が登場。

いつもわりとちょけた感じの先生が(出産という場なので当たり前だけど)真面目な顔をして赤ちゃん苦しいから会陰切開するよ、と言って全く躊躇せずにバッチーンと切ったとき、旦那さん曰く今までで1番の声で叫んでいたらしい。
陣痛とか諸々の痛みもあるから切られたことわからないとの声をネットで見ていたけど、切られた感触がかなり生々しかったのとシンプルにほんとに痛かった。

でもその後はあっという間で、広くなった出口から赤ちゃんの頭が出てきて、肩がスポンと抜けて、ズルッと大きなものがお腹から抜けた感じがした。
10ヶ月間ずっとずっと聞きたかった泣き声は、思っていたよりも大きくて、甲高かった。
私は必死すぎて知らなかったけれど、立ち会いをした旦那さんはいきんでいるところ辺りから号泣してしまったそう。早い。
涙脆い私も当然泣くと思っていたけど、ずっと苦しんでいた痛みが生まれた瞬間にスッと消え去ったことや脱力感でぽかんとしてしまっていた。

それでも全てが終わって廊下にいた赤ちゃんと旦那さんが部屋に入ってきた時、ああ幸せだと思った。
小さいけど、爪がちゃんと付いた手や、ふわふわのほっぺた、ちょんとした鼻、紛れもなく人間で、とんでもなく可愛かったし、弱っちくて、ふにゃふにゃしていた。
ちゃんと人間がお腹の中にいたんだな、と当たり前みたいなことを思ったそこで、涙が出た。
痛かったことしか無かったし、苦しかったし、辛かった、けど、それは私だけじゃなくて赤ちゃんだってそうだっただろうから、あの時間を越えて無事に産まれて来てくれたことに本当にほっとした。

ちなみに、会陰切開の縫合、普通に痛かった。
あと子宮に悪露がかなり残ったらしく、機械を入れられて掻き出されたのも結構痛かった。
後陣痛なのかぼんやりと来る腹痛の中、胎盤を取り出す為にお腹を何度も押されるのも、地味に痛かった。
後処理だけでもかなり痛かったので、本当に出産って大変で命懸けで、そしてだからこそそれに携わる人みんなが真剣なんだろうな、と思った。

近くにずっといてくれた旦那さん、大変な思いをさせてしまったけどずっと頑張ってくれた赤ちゃん。
それからこれまでをずっとフォローしてくれていた家族や友達、職場の人。
検診と出産でお世話になった先生、助産師さん、、まだまだ沢山いるけれど、なんとかこの日を迎えられたのはその人達全員からの支えがあったからで、本当に、本当に良かった。


子どもを産んで、ああ誕生日ってすごく特別な日なんだって、そう思った。
妊娠も出産も決して当たり前のことじゃない、けどこの世にちゃんと生まれてくることの出来た記念の日。

生まれてきてくれてありがとう。
私達夫婦を親にしてくれてありがとう。
そのことを、毎年噛み締めながらこれからお祝いしようと思う。



2023.08.30 14:06

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