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エロ伝道師・播磨屋のバブ

ぼくの育った地元に播磨屋という駄菓子屋さんがありました。
駄菓子屋さんというより、洗剤とか雑貨を売っているお店の軒先に駄菓子も一緒においてあるようなお店でした。そこには、ぼくらの同級生の間で『バブ』と呼ばれていた45歳くらいのおじさんがいました。なぜバブと呼ばれていたかというと、ゾンビ映画『死霊のえじき』(日本公開:86年)に出ていたバブというキャラクターに似ていたからでした。
 
バブは駄菓子を買うとよくサービスしてくれる気のいいおじさんで、いつの日からかぼくらととても仲が良くなりました。
 
ある日、いつものように学校の帰りに数人で播磨屋に行くと
バブが
「お前ら、今日はええもん見せたるわ」
と言って、ぼくらを自分の車も中につれていきました。
後ろの座席で待っているとバブはダッシュボードから何かを取り出しました。出て来たのはキラキラしたトランプでした。
 
「ほれ、見てみ」
といって裏をめくってみると、それは外国の男女がまぐわっている、いわゆるヌードトランプというやつでした。バブ、マジか!と思いつつ、後ろの席に座っていたぼくらは初めて見る外国人女性の裸に興奮しつつ黙々とトランプを回し見しました。
 
バブはドヤ顔で何度何度も
「すごいやろ!」
と連呼しておりました。
 
その後ぼくらは、またあのトランプを見たいという一心でこれまでに増して播磨屋に頻繁に足を運ぶようになりました。今思うと一種の中毒患者です。
 
駄菓子を買って
「バブ、またアレ見せてよ」
と言うと
「しょーがないなー」
と言って見せてくれるときもあれば、
「今日はあかん!」
と言って見せてくれないときもありました。バブは見かけによらず気まぐれだったのです。

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