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軽装備なので、急にそんな高い山は登れません

コロナ禍で全然飲みに行けない日々が続いてます。

夜な夜な退屈な時間を過ごしていると、時々昔の話を思い出したりします。

いつも行く立ち飲み屋。
良く会う飲み仲間と一緒に飲んでいると、ちょいちょい前からこの飲み屋に来るようになり顔見知りになった女の子2人が入ってきました。ボクと2人の男の飲み友達、そしてその女の子2人でまぁワイワイと飲んで、話題は中学、高校時代の告白したorされた話になりました。

飲み屋ならではのなんの教養もない他愛もない話。
青春時代の甘酸っぱい気分を無理やりかつ強引に取り戻そうとするだけの無意味な案件。

一人の女子は気になっていた先輩と地元の滋賀県で琵琶湖にドライブに行った際に湖畔に車を止めて、夜(といって8時ごろ)に車の中で星を見ながら告白されたなんていうロマンチックである意味こういう甘酸っぱい気分になりたいときの話題としては正解中の正解の回答を答えて

「それそれ!!そーいうのが欲しいんだよねー!」

とみんな唸っておりました。

阪本。
通称、モツ。

そこそこの有名企業で働くモツはいつも話に決定力がない奴でした。

そして、ちょっとボンクラしていたのでもう一人の男友達に、
どういう話かわかってるよな?
と釘を刺されて話を振られたのです。

「自分、中学の時に同じ人に3回告白したんすよ」

まぁ入りはいいでしょう。

「それが、、3回とも振られちゃって・・・」

(シーン)

終わりかいっ!
そこにいた全員がつっこみました。

「いやいや、、それでね。その時はだめだったんですが、高校になってもその子とまだ繋がってて、むしろ、そのあとのほうが仲良くなって20歳くらいまでちょいちょい遊んでたんですよ。ある夜、一緒にドライブに行って彼女を送って行ったら泊まっていけばって話になって」

聞いていたボクらの頭の中は、はいはい、どーせそこで告白されて付き合うことになったんでしょ?
くらい思っておりました。

「んで、玄関のドアを開けたらめちゃくちゃでかいクマのぬいぐるみがあって、そのぬいぐるみをふと見たら、ぬいぐるみの頭にその子の下着がかぶせてあってんですよ・・・。その女の子、自分がそのパンティに気がついたのを知って、きゃー、これ見ないでーーー!!!これ無し無し無しって言ってそのパンティを片付けだして・・・」

は?

なにその話!?

全員キョトン。

え?

なに?

クマの頭にパンティ??

ありきたりでいい。
嘘でも甘酸っぱいければいい。
そんな案件を期待していた我々を突然全然違うところに連れて行くような話。
そんな変化球をストレートを投げるかのフォームで投げるモツ。

「なんだよ、その話!!」

一瞬の静寂のあと、一同は口々に文句を言いました。一緒にいた女の子は「軽装備なので急にそんな高い山は登れません!」という名言を吐き出しておりました。

確かにめちゃくちゃ面白いんだけど、この話をリリースする場所はそこじゃないだろ!

いつも会話に決定力のないモツ。
どうせありきたりな話をしてくるんだろうなというある意味の期待感。
何事も起こらなそうな話の間をすり抜けて発せられたその言葉にもはや誰もついていけなかったのです。

で、モツさん、そのパンティはなんだったのよ?

ひとしきりみんなの文句が出終わったあと、聞いてみました。

「いや、いまだになんだかわからず、、、なんすよね」

結局、決定力不足のモツでした。

そんな我々の話を傍で聞いていたコンちゃんという、モツに輪をかけた決定力のないやつが話にはいってきました。


「いやー、おれもありますよ。高校のとき自転車通学でいつも街道沿いの美容院の前を通っていたのですが、そこの美容院の女性スタッフに一目惚れして。髪を切りに行くようになってその女性と話すようになったんですよ。その女性がたばこを吸っていたのでぼくも真似してたばこを吸って一緒に話していたんですけど、どうやら身体に合わなくて、いつもむせていたんです。それを見たその美容院の店長に心配されて、ある時呼びだされたんすよ。そんで、なぜか陶芸教室に連れて行かれてロクロを回せって言われて。ロクロを回せば精神統一になって咳が止まるっていわれたんすよね、へへへー」

ロクロ?

精神統一??

全員沈黙&脱力・・・。

コンちゃん、ぶっ飛んでるなぁ。
もはや、モツ以上にワケがわかりません。

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