フレア感のあるクラシックレンズの比較|Gloaming レンズの解説<第2刷>
bird and insect 代表の shuntaro 氏が監督を務める映像作品『Gloaming』の撮影を通して、フレア感のある “クラシック・スタイル” の単焦点レンズ Cooke Panchro/i Classic Prime、Canon Sumire Prime、SIGMA FF Classic Art Prime の質感を比較していきます。
1. クラシック・スタイルのレンズとは?
映画情報サイト IndieWire の情報をもとに、アカデミー賞、カンヌ国際映画祭、サンダンス映画祭での上映作品のデータを集計してみると、映画の世界では、ここ数年の傾向として “クラシックレンズ” を使った作品が増えていることが分かります。
ランキングを見ると、Zeiss、Cooke、Angeniuex など老舗レンズメーカーが名を連ねていますが、その上位には Cooke S4/i(1998年)、Zeiss Ultra Prime(1999年)をはじめ、数々のクラシックレンズの名前が並んでいます。表中の水色表示されたものが、2000 年以前に開発されたモデルです。
注目すべきポイントとしては、Super 35 規格のシネレンズとして世界で最も有名な Zeiss Super Speed(1975年)が、45 年前のモデルにも関わらず、いまだに数多くの作品で使用されているという点です。
こうしたオールドレンズの需要の高まりを受けて開発されたのが、この記事で紹介する「クラシック・スタイル」のレンズです。オールドレンズはクセが強すぎるものも多いので、一般的な撮影で使いやすいようクセをほどよく調整しているのが、このレンズの特長です。
今回のテストでは、以下の 3 種類のクラシック・スタイルのレンズを比較していきます。
2. テストの概要
レンズの話の前に、まずはテストの概要を説明したいと思います。
今回の撮影ではカメラは RED Digital Cinema 社の上位モデル RED HELIUM 8K S35 をメインに、サブ機として Komodo 6K を使用しています。
カメラの設定、機材リストは以下の通りです。
レンズに関しては、Zeiss と並んでデジタルシネマの世界で最もよく使われている、イギリスの老舗メーカー Cooke 社の『Panchro/i Classic(パンクロ・クラシック)』をメインに、いくつかの場面でレンズを付け替えて、Canon Sumire Prime、SIGMA Classic Art Prime との比較を行なっています。
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