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フレア感のあるクラシックレンズの比較|Gloaming レンズの解説<第2刷>

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bird and insect 代表の shuntaro 氏が監督を務める映像作品『Gloaming』の撮影を通して、フレア感のある “クラシック・スタイル” の単焦点レンズ Cooke Panchro/i Classic Prime、Canon Sumire Prime、SIGMA FF Classic Art Prime の質感を比較していきます。

当記事は、動画制作のオンラインサロン 『UMU TOKYO』で公開されたものです。限定公開を目的に有料化しています。公開日:2021.8.17
https://community.camp-fire.jp/projects/view/231393

1. クラシック・スタイルのレンズとは?

映画情報サイト IndieWire の情報をもとに、アカデミー賞、カンヌ国際映画祭、サンダンス映画祭での上映作品のデータを集計してみると、映画の世界では、ここ数年の傾向として “クラシックレンズ を使った作品が増えていることが分かります。

スクリーンショット 2021-08-12 22.15.07

ランキングを見ると、Zeiss、Cooke、Angeniuex など老舗レンズメーカーが名を連ねていますが、その上位には Cooke S4/i(1998年)、Zeiss Ultra Prime(1999年)をはじめ、数々のクラシックレンズの名前が並んでいます。表中の水色表示されたものが、2000 年以前に開発されたモデルです。

注目すべきポイントとしては、Super 35 規格のシネレンズとして世界で最も有名な Zeiss Super Speed(1975年)が、45 年前のモデルにも関わらず、いまだに数多くの作品で使用されているという点です。

こうしたオールドレンズの需要の高まりを受けて開発されたのが、この記事で紹介する「クラシック・スタイル」のレンズです。オールドレンズはクセが強すぎるものも多いので、一般的な撮影で使いやすいようクセをほどよく調整しているのが、このレンズの特長です。

今回のテストでは、以下の 3 種類のクラシック・スタイルのレンズを比較していきます。

❶ Cooke Panchro/i Classic Prime
❷ Canon Sumire Prime
❸ SIGMA FF Classic Art Prime

2. テストの概要

レンズの話の前に、まずはテストの概要を説明したいと思います。

今回の撮影ではカメラは RED Digital Cinema 社の上位モデル RED HELIUM 8K S35 をメインに、サブ機として Komodo 6K を使用しています。

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カメラの設定、機材リストは以下の通りです。

RED DSMC2 HELIUM 8K S35
8KHD(7680×4320)/ REDCODE RAW 8:1 / 23.98P / 172.8° / ISO: 800

RED DSMC2 HELIUM 8K S35
RED Komodo 6K
Kipper Tie REVOLVA
Cooke Panchro/i Classic 18,25,32,50,75mm  T2.2
Canon Sumire Prime 20,24,35mm T1.5
Canon Sumire Prime 50,85mm T1.3
Canon Sumire Prime 135mm T2.2
SIGMA FF Classic Art Prime 20,24,35,50,85,105mm T2.5
Tiffen Glimmer Glass 1/8(4×5.65)
Tiffen Glimmer Glass 1/4(4×5.65)
MITOMO TRUE ND 0.3-1.2(4×5.65)
Tilta MB-T12
Tilta Mini Follow Focus
Tilta Nucleus-M
Danna Dolly
Libec SWIFT JIB50
Libec TR-320 トラッキング・レール

レンズに関しては、Zeiss と並んでデジタルシネマの世界で最もよく使われている、イギリスの老舗メーカー Cooke 社の『Panchro/i Classicパンクロ・クラシック)』をメインに、いくつかの場面でレンズを付け替えて、Canon Sumire Prime、SIGMA Classic Art Prime との比較を行なっています。

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