パリ五輪の開会式とファッション

パリ五輪の開会式が素晴らしかったので、感心した点をまとめる。

世界中がパリと恋に落ちた時間。ユーモアとエレガントと、知性と、歴史とエンターテインメントに魅力されるということ、そんなことを感じた開会式だった。

セーヌ川に選手団を乗せた船が現れる。ゆっくりと船が動く姿を捉えるカメラ越しにみるパリの街並みは、まるで擬似的にセーヌ川を散策しているよう。
日本には無い白やネイビー、いかにも貴族が所有していそうな、洗練された木調の小型ボード。
ホワイトにブラックのラインが美しい大型のボードに見惚れる。選手よりも船舶に注目するくらいデザインが素晴らしい。
セーヌ川の水質が悪いとは思えぬくらい優雅なデザインであった。どうやって集めてきたのだろうか。
選手団入場の合間に展開される映像は、観光客がパリに望むエスプリの効いた幕内弁当のようだ。登場人物はあえて抑えめに。ルーブル美術館、ノートルダム大聖堂、オルセー美術館、オペラ座の怪人、ルイヴィトンの旅行カバン、フランス革命、星の王子さまなどパリが持つコンテンツが余すところなく紹介されている。
WWDによるとレディガガやセリーヌディオンらの素晴らしい衣装はディオールによるもの。パフォーマンスも見事ながら、衣装が更にそれを引き立てる。
パフォーマーの衣装もスポーツの祭典らしく、クラシックなスポーツウェアをモチーフにしており、それがとてもシックだった。
東京オリンピックの時、ダンサーやボランティアの衣装はその特別なイベントにあわせたような突飛な服だったが、パリ五輪ではホワイトやゴールドで統一感をもたせ、衣装が悪目立ちしていない。
自国が見せたいものではなく、世界が見たいものを見せたパリ。
パリという都市のイメージは、聖火台の気球のように、どこか懐かしくしかし新鮮な都市として定着した。

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