vTuber革命のビッグバンと自分の先見性の無さ その1 キズナアイちゃん編
先日、ニコニコ超会議がありました。
ニコニコのイベントなのにバーチャルユーチューバーが勢ぞろいしててメッチャ盛り上がったみたいです。
vTuberの盛り上がりは正直いって"本物"と言わざるを得ない状況ではないでしょうか。
↓こちらのインタビューによれば原宿女子の間でもvTuberの知名度は40%に達しています。
すでにTVニュースでも取り上げられ始めています。
先日はあのグリーがvTuber事業に100億円規模の投資を始める事を発表しました。
これはもうvTuberビッグウェーブは嘘じゃない…。
私はそれなりにvTuber界隈はウォッチしていましたが、恥ずかしながら最近までvTuberがガチでハネる事については半信半疑でした。
蓋を開けてみればこうですからね。
自分の先見性の無さに絶望した!
まだvTuber事業に乗り遅れてる人は急げ!間に合わなくなっても知らんぞー!!
(でも先見性が無い人間がビッグウェーブ!とか言い出したら逆にそうじゃなくなるって事なんじゃないのかよ)
さて、そういう前置きで、この記事ではキズナアイちゃん以降、vTuberブームで置き続けている革命と、その時々の僕の先見性のない反応についてかなり主観的に振り返って深く反省してみたいと思います!
盛り上がってはいるけど、結局のところ、vTuberって何が凄かったんだろう?
vTuberの革命って何?そういう点について振り返ってみたいと思います。
キズナアイちゃん以前にも興味深い歴史が色々あるはあるんですが、まあそちらについては別の機会に。
1.2016年11月 キズナアイちゃん登場
キズナアイちゃんは2016/11/29に最初の動画を投稿しました。
同時にtwitterも始めています。
今ではチャンネル登録数が179万人(18/5/5現在)もいて、最強のvTuberとして君臨してますが、
最初の頃にキズナアイちゃんを見た時に、僕は冷ややかな反応だった事を白状します。
私が当初ハネないと思った理由は
・ゲームキャラみたいな3Dキャラをわちゃわちゃ動かしてるだけならすぐネタ切れになりそう
・視聴者は同じキャラの顔ずっと観てたらすぐ見飽きるに決まってる
・アニメキャラにはアニメのストーリーがあって、キャラ同士が絡む事で相対的にキャラ立ちして視聴者が感情移入するんであって、ソロで喋ってるだけだとどうしようもないはず
というような事でした。
は~~~~~~~~~。
こいつ(私)最高にアホ。
何も考えないで生きてるのか?
全然的外れな事言ってるよな、結果的に。
反省しろ!
反省しました。
最初の方の動画だけ観ていると、そのような指摘は結構妥当だったかもしれませんが、キズナアイちゃんは12月にこれらの弱点を克服する革命を起こします。
それはゲーム実況動画の投稿です。
ゲーム実況革命
キャラクターは物語上の障害にどうリアクションして、どうやって克服するか、その様子を観て視聴者はキャラに感情移入して好きになる。
それはそうなのですが、別にその障害はキャラの世界の物語上にある必要はなかったという事です。
それはゲームで代用できるんです。
ゲームをプレイして、ゲームオーバーでくやしそうにしたり、工夫してクリアして喜んだりする様子を観て視聴者は実況者に感情移入します。
バーチャルじゃない普通のゲーム実況主は顔出ししない人が多かったりします。
そんな中でかわいいキャラが遊んでる様子が観れるのは大きなアドバンテージです。
それにこれなら視聴者は主にゲーム画面の方を観てるのでキズナアイちゃんの顔やアクションを見飽きる心配もありません。
vTuberにゲーム実況させる…これこそキズナアイちゃんが生んだ大革命のひとつです。
キズナアイちゃんもゲーム実況には手ごたえを感じたのか、2017/3/31にゲーム実況専門のA.I.Gamesチャンネルを開設しました。
vTuberゲーム実況の前触れ的なムーブメントとして、結月ゆかりさんゲーム実況の流れがありました。
これはボイスロイドの結月ゆかりさんを使用したゲーム実況動画群で、ゆかりさんがプレイしているという体になってます。
だから実際にプレイしてるのは投稿者なのに、全てのゲームをゆかりさんが実況した事になっちゃって功績を全部ゆかりさんというキャラクターが持ってっちゃってるところが興味深いですね。
それはつまり、人格は"声"で判断されるものという事なのかもしれません。
脱線しましたが、キズナアイちゃんが生んだ偉大な革命は他にも色々あります。
バーチャルキャラでユーチューバーになる
何よりすごいのはキャラクターでユーチューバーをやろうという発想です。
技術的にはもっと以前から可能だったはずですが、キズナアイちゃん以前にはそんな事誰も考えもしなかったのではないでしょうか。
(ニコ生では例えばみゅみゅさんは2014年からkinectでキャラなりきりをやってます)
今となってはもうvTuberの概念は広く浸透しています。
まさにエポックメイキングです。
もちろん前提としてヒカキンさんなどのユーチューバーの文脈が完全に周知された今だからこそ、そこに新しいvTuberの文脈を乗せる事ができたので、やはりこのタイミングで出るべくして出たアイデアとも言えるかもしれません。
リアルタイムモーションキャプチャーによる3DCGキャラの番組収録
キャラクターでユーチューバーをやろうと思いついたとしても、もしも3DCGアニメ制作会社に「毎日3Dキャラを動かして番組を作りたい」と企画を持ち込んだら、
「そんなの絶対無理!」と撥ね付けられてしまっていたのではないでしょうか。
ハリウッドのCG映画などでもモーションキャプチャー技術は使用されてますが、録ったモーションデータは素材として使われて、複雑な後処理やレンダリング処理が必要になると思います。
とても毎日投稿なんて考えられないでしょう。
さらに従来のモーションキャプチャー技術(VICON、OptiTrackなど)は設置に数百万円からかかるので、ユーチューバーというすぐに売上の上がらない商売のために導入するのはコストが高いです。
しかしキズナアイちゃんはパーセプションニューロンという20万ほどの安価なモーションキャプチャー装置を使っています。
そしてゲームエンジン(またはそれに類するアプリケーション)を用いて演者さんの体の動きがリアルタイムにキャラの動きに反映されます。
そのキャラの動きをそのままファイナルルックとして利用するので、その画面を録画すれば、あとは動画をカット編集するだけでYoutube動画ができてしまいます。
この技術により動画作成工程は劇的に簡略化されました。
毎日という高頻度での動画作成はこうして可能になりました。
ちなみに同じような技術はすでに遊園地のアトラクションなどで使われていました。
思うに、今まではキャラクターを動かす番組はアニメの特権であり、そしてアニメーターの特権でしたが、このような技術、そして概念が普遍化する事で、3Dキャラを動かして番組を作るのはアニメの特権では無くなるのかもしれません。
例えばバラエティ番組の制作会社が3Dキャラで漫才する番組を作る、みたい事も容易に、そして制作費を抑えて実現できるでしょう。
昔から天才テレビくんなどで3Dキャラクターは使われていますが、技術が普遍化する事でより一層そのような番組が増えていくかもしれません。
何故そんな話をするのかというと、ちょっと話が脱線しますが、最近深夜アニメの製作本数が異様に多いと思いませんか?
どうしてそんなにアニメが大量に作られるのか?
それはテレビ局がアニメを一杯流したくしょうがないかららしいです。
何故かというと、アニメは制作費が比較的安い割に、沢山のアニメファンが固定で付いているから観てくれる人が多くて安定してます。
視聴者が多ければテレビ局はスポンサーにCM枠を高く売れます。
つまりアニメは低い制作費で作って高いスポンサー代で売れるので、コスパが最強なのです。
という事は、vTuber技術を使って番組を作って、アニメよりももっと低い制作費でもっと視聴率が上がればさらにコスパが上がりますよね?
vTuber番組の流れが押し寄せてくる可能性は結構高いのではないでしょうか。
実際のところ、キズナアイちゃんがメインパーソナリティを務めるTV番組がすでにBSで始まってます。
かなりの低予算番組らしく、やはり上で述べたようなテレビ局の思惑が見え隠れします。
どれだけ低予算でもキズナアイちゃんのファン179万人は観てくれるはずだ!というわけです。
しかしこの番組はスポンサーが降りたりしていて、なかなか目論見通りにはいってないのかもしれません。
ちなみにシロちゃんがレギュラーMCを務める番組も始まってます。
最初からクライマックスのクオリティ
キズナアイちゃんが生んだ技術革命はすごいのですが、単に技術が凄かったから、それだけでブレイクしたわけではありません。
技術押しだけでも技術が分かってる視聴者の人達は凄さをわかってくれますが、その他一般の人達の所までリーチさせるには、何も知らない人でも普通に面白く観れるようにする必要があります。
キズナアイちゃんの3Dモデルはクオリティが非常に高く、大変に可愛いです。
そして声もプロの声優さんかどうかは知りませんが、非常に可愛いです。
先駆者なのにいきなり物凄いクオリティで生み出されたからこそ、一気にブレイクスルーを起こす力を持ったのかもしれませんね。
vTuberは今では2000人以上いるそうですが、キズナアイちゃんのクオリティは今でもトップクラスです。
キズナアイちゃんをプロデュースした人は、まだ生まれてない未知の領域にいきなりガッツリ予算をかけてちゃんとチーム組んで仕掛けてきたという、その決断力がすごいですね。
最初の頃は中々ハネなくてホントにこれで行けるのか?みたいな不安もあったかと思いますが、ブレイクするまで粘った持久力もすごいですね。
TwitterをやるvTuber
キズナアイちゃんは動画の投稿開始と同時にtwitterを解説しています。
おそらく最初は企業垢のような感じで告知や宣伝用のアカウントとして始めたのだと思われますが、その後段々とファンとの交流や他のvTuberとの交流を行うようになりました。
twitterは人間と人間以外の境界が曖昧なSNSですよね。
まるで人間のように振舞うbotもいたりしますし、リアルで会った事の無いフォロワーと交流していると不思議な気分になってきます。
vTuberのtwitter垢はそのキャラの存在感、親近感に絶大な影響を与えていく事になりました。
これは後々にキャラが自分の二次創作に自ら言及したり、ファンが作曲した歌をキャラが歌うといった今まででは考えられなかったような流れへと発展していきます。
グローバルでヒットするキズナアイちゃん
キズナアイちゃんの特徴として、海外のファンが多い事が挙げられます。
キズナアイちゃんの動画には外国語のコメントが多く付いています。
やはりYoutubeがグローバルなサービスなのでグローバルにファンが付いたのでしょうか。
しかしそれ以降のvTuberのファンはほぼ日本人ばかりな気がします。
キズナアイちゃんのチャンネル登録数がダントツで多いのは、このグローバルなヒットによるスケールが効いていると思われます。
どうすればグローバルでファンを獲得できるのかの方法論はまだ良く分かってないですが、今からvTuberを始めるならとりあえず海外ウケを狙ってみるのも結構まだブルーオーシャンかもしれません。
キズナアイちゃんは日本政府観光局の訪日促進アンバサダーにも就任しています。
このようなオファーも、キズナアイちゃんが多くの海外ファンを獲得しているからこそだと思われます。
さて、本当は主要なvTuberについてバーッと書いていくつもりだったのですが、キズナアイちゃんの事だけで書く事多すぎてもう疲れました。
というわけでこの記事は「その1」という事にして一旦区切って、また今度続きを書こうと思います。
ここまで読んでくださってありがとうございました。
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