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東京湾スズキFIP

背景
江戸前の食文化を形成した魚のひとつスズキ。旬は夏で、年間を通じて中型巻き網漁業や小型底引き網漁業により主に漁獲され、日本で最もスズキが漁獲される地域となります。

ただその背景にはスズキ以外の対象魚種の資源そして漁獲量や生産高の低減、それゆえの漁業者数の減少など多くの課題が残ります。 スズキ漁業に依存する地域漁業者そして荷受けとして資源を次世代に残し、巻き網漁業を持続可能な漁業として継承したい想い、水産資源と経済性の両立、そして2020東京五輪をひとつの契機と捉え、海光物産株式会社は弊社と本プロジェクトに取り組む運びとなりました。

概要

2016年にMSC予備審査を受け、2016年11月より本プロジェクトを開始しました。

MSC認証取得可能レベルまで当該漁業を向上するために担当者や期限などを含む5年間の活動計画を作成し、漁業の改善に着手していきます。尚、流通においても本プロジェクト商品を積極的に調達される市場やホテルなどと引き合わせを行い、継続的に漁業の持続可能性の向上に取り組むことができるよう長期的そして短期的なメリットの創出そして漁業者の経済性の向上も視野に入れ活動しています。

主な改善内容は、資源評価精度の向上とそれに応じた資源管理の導入、管理措置における履行確認プロセスや意思決定プロセスの透明性の担保と関係者の意見を広く組み入れる仕組みの形成、生態系への影響を最小限に抑える、など多くは管理当局などとの連携が必須な活動です。


プロジェクト進捗
本プロジェクトは5年間の活動計画に基づき改善を実施し、半年毎に進捗確認と報告を行います。尚、年に3回ほどワークショップを開催し東京湾の漁業の未来について議論し管理に関する協議を進めています。

2016年3月 MSC予備審査
日本のスズキ漁業がMSC規準に対して予備審査を受けた初めてのケースとなりました。

2016年11月 漁業改善プロジェクト開始
MSC予備審査で明らかになった課題に取り組み始めました。例えば資源評価精度の向上とそれに応じた資源管理の導入、管理措置における履行確認プロセスや意思決定プロセスの透明性の担保と関係者の意見を広く組み入れる仕組みの形成、生態系への影響を最小限に抑える、など多くは管理当局などの協力が必須な改善です。

2017年5月~ 1年間漁獲情報の記録と漁獲サンプリングの実施
混獲魚種やETP種に関する情報を含む漁獲情報の記録とサンプリングを実施しました。

2017年6月 トレーサビリティ審査
トレーサビリティにおける課題を抽出しました。

2018年6月 遊漁者と漁業者の戦略アライアンス発足
東京湾のスズキ資源を持続可能にするべく、遊漁者と漁業者(巻き網、底引き網漁業者)間のアライアンスを組み、スズキ資源に対する管理措置や保護対策などを協議すました。

2018年7月 漁業が生態系およびETP種へ与える影響を評価した報告書の作成
漁業が潜在的に生態系へ与える影響に関する報告書を証拠データを元に作成しました。 漁獲サンプリングなどを通じ、生態系へ与える影響は最小限だと評価されました。

2018年8月 管理方策の改善に対する提案書を作成
MSC認証基準が求める管理方策と現状のギャップを分析しました。ギャップを埋めるための提案書を作成しました。

2018年9月 主要関係者との協議を開始
千葉県水産試験場、千葉県庁水産課資源管理班、船橋漁業協同組合資源評価の向上や資源状態に応じた管理措置に関する協議を開始しました。

2019年3月〜 「東京湾の水産資源の未来を考える会」開催
船橋漁業協同組合と今後の浜の発展と存続に必要な資源管理やスマート水産業などを含むトピックを中心に勉強会を定期的に開催しています。

2019年10月 アジア太平洋圏FIPワークショップに参加
アジア太平洋圏のFIP実施者同士がFIPに関する教訓、課題、成功事例などを共有し合うワークショップに参加しました。

2019年11月 アワード受賞
「日本初の次世代トレーサビリティシステム構築プロジェクト」が第1回ジャパン・サステナブルシーフード・アワードのコラボレーション部門を受賞しました。

2020年6月 Chefs for the Blue “Smile Food Project” お弁当にFIPスズキ提供
新型コロナウイルス感染症と最前線で闘う医療関係者にChefs for the Blueトップシェフ達がお届けするお弁当に海光物産のFIPスズキが使用されました。

2020年7月 デジタル漁獲情報記録システムを導入
操業中の漁獲魚種、漁獲量、漁獲地点、絶滅危惧種の遭遇及び漁具が海底に接触したケースなどの漁獲情報のタブレット端末での記録を開始しました。

2020年9月 Ocean to Table プロジェクト発足
日本アイ・ビー・エム株式会社、株式会社アイエックス・ナレッジと共に漁場から消費地までをブロックチェーンでつなぎ、完全なトレーサビリティを実現するためのプロジェクトを発足させました。

弊社はConservation Alliance for Seafood Solutions 漁業改善プロジェクト支援のためのガイドラインに準拠しております。


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