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UMITO×生産者

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2021年5月の記事一覧

東京湾スズキFIP

背景 江戸前の食文化を形成した魚のひとつスズキ。旬は夏で、年間を通じて中型巻き網漁業や小型底引き網漁業により主に漁獲され、日本で最もスズキが漁獲される地域となります。 ただその背景にはスズキ以外の対象魚種の資源そして漁獲量や生産高の低減、それゆえの漁業者数の減少など多くの課題が残ります。 スズキ漁業に依存する地域漁業者そして荷受けとして資源を次世代に残し、巻き網漁業を持続可能な漁業として継承したい想い、水産資源と経済性の両立、そして2020東京五輪をひとつの契機と捉え、海光

北海道苫前樽流し漁・ミズダコ FIP

背景 北海道の日本海北部に位置する苫前町は風力発電や一次産業が盛んな自給率の高い港町で人口の10%以上が漁業に従事しています。本プロジェクト地域のミズダコは通年漁獲可能ではあるものの、来遊時期と資源保護を考慮し、自主的に漁期を3月から6月、操業時間を午前5時〜午後2時と決めて操業しています。漁法は混獲も極めて少ない古き良き海に優しい、樽流し漁法です。苫前の樽流し漁は比較的漁獲量も安定し、北留萌管内樽流しの約25%を占めている一方、ミズダコの漁獲量は2006年〜2014年の間に

広島カキFIP

背景 日本のカキ生産量の2/3を占める広島県の海域は、地形、潮流、水温などカキが大きく成長できる条件がそろう日本でも有数のカキの産地です。広島県でもトップクラスの生産量を誇るのが倉橋島海産株式会社。1962年創業時からカキの生産を始め、現在は広島湾南西部と中部5つの漁場で、生産から加工までを一貫して手がけています。 これまで食の安全・安心に注力してきましたが、環境に配慮したカキの生産を日本一の産地である広島でまずは始めたいとの思いから、長年の販売先でもあり近年積極的にサステナ

気仙沼ヨシキリザメ・メカジキ延縄FIP

背景 気仙沼の生鮮メカジキの水揚げ量は全国一位。2019年には全国の約3,033トンのうち73%の約2,221トンが気仙沼で水揚げされています*。ヨシキリザメも気仙沼が全国の水揚げ量第一位の魚種で、伝統的に余すところなくふかひれの他、身は「すり身」にして「はんぺん」などに、また工芸品としても利用されてきました。 このFIPを実施している気仙沼遠洋漁協は北西部太平洋でメカジキ、ヨシキリザメを獲っていますが、最近の科学委員会の報告によるとどちらも過剰に漁獲されておらず、資源も枯

熊本マダイAIP

背景 日本全国第二の養殖マダイ生産地である熊本県では、主に天草上島・下島の周辺と本土側の芦北地方周辺の恵まれた沿岸地形と海況を生かし、昭和40年頃(1965年頃)から魚類養殖業を発展してきました。そのなかでも、年間約10,000トンの収穫量がある養殖マダイは同県の主要養殖業の一つであり、県の収穫量における魚種別占有割合の5割以上を占めています。 また、県が推進している熊本県適正養殖業者認証制度により、国産の種苗の利用、養殖日誌の記録、定期的な医薬品残留検査などのルールなどを徹