印欧祖語も塩も世界文明とともに誕生した!? その3 農耕社会になって塩を摂るもう一つの理由〜

 前回、狩猟採集時代においてはなぜ塩を摂る必要がなかったのか?について延べた。しかし、農耕社会になってから塩を摂るようになったのにはもう一つ理由がある。実は、穀類、野菜に多く含まれるカリウム(K)には、塩の主成分であるナトリウム(Na)を追い出そうとする性質があるため(このとき両者は拮抗関係にあるといいます。)、穀類や野菜を食べるようになったらその分塩を多めに摂る必要があるからだ。
 もちろん、当時の人々がそんなことを考えて塩を摂っていたわけではないだろう。しかし、人間には本能がある。体に必要なものを「おいしい」と感じし、害になるものは「まずい」と感じる、そんな本能に従って食べものを取捨選択してきたからこそ、生き延びてきたのだ。
 トマトやスイカに塩をふるとおいしいと感じる。それは、ナトリウムが加わることでカリウム過多が解消されるから、と理論的に考えられるが、カリウムの多い野菜と塩は相性がいい、というほうが真理に近いかも?塩が適度に効いたおにぎりを「おいしく」感じるのも、お米のカリウムと塩のナトリウムのバランスゆえ、とも言えそうだ。

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