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2. 川口さんがバッハで学んだこと|カフェ・デ・コラソン川口勝さん インタビュー

前回に引き続き、「カフェ・デ・コラソン」の川口さんのお話です。 人と人が関わりあえる「地域のカフェ」づくりを目指す川口さんの原点となった東京のカフェ「バッハ」での体験をお聞きしました。

バッハもまた「地域のカフェ」だった

― 川口さんが店長をされていた「バッハ」はどんなお店ですか?

今は有名なお店になってるので、全国からコーヒーを飲みにきたいという人が来るし、海外からもお客さんがやってくるというお店になっていますけど、もともとスタート地点としては、地域の人達のためのサロンなんです。

今でも平日なんかは、地域の人達が普通に飲みに来ています。それこそエプロン姿のおばさんが買い物帰りにコーヒーを飲みに来たり、ケーキ食べに来たりとか。おじさんたちもそんなに引き繕った感じではなくて、気軽な感じで。一日に2回、3回と来る人だっていますしね。そういうお店です。

土日はやっぱり、遠方からくる人とかで行列とかできてという状態なので、近所の方はそういう日は遠慮しているといいますけど、基本的には、やっぱり地域の中のサロンになっていますね。

バッハで学んだ「サービス」の大切さ

川口さんがバッハで学んだのは「サービス」の大切さ、そのサービスをチームで意識を統一しながらより良くしていくというプロセスでした。閉店後に片付けをして、それから集まってやるミーティングは大変だったけど、とても大切なことだっと語りました。

― 技術よりも大切なこととは、何だったのですか?

実際にバッハに働きに行って、サービスっていうのがどれほど重要で、意識を持ってやらなくてはいけないことだとを勉強できたのはやはりそのお店にいたからだと思いますね。本当に、そこにいたからこそ意識そのものが芽生えたと思いますね。

― そういうことは、オーナーさんから教わったのですか?

そうですね。 日々やっていく中で出てくる課題というか、もちろん自分たちでもこう、毎日終わってからミーティングとかもしていました。どうしてやっていけばいいかというのは、自分たちで考える部分もあるし、オーナーから指導を受ける部分もありますし。

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― 全員が「こういう店です。こういうサービスをします」という意識で同じ方向を向くのってとても難しいことだと思います。どのようにしてやっていたんですか?

やっぱりもう、決まった型があって「こうしましょう」ではいかない仕事なんですよね。だから閉店後に集まって毎回話し合いますね。そうすると課題が出てきてて、例えば新人の人たちがいたら「今日お客様にこういうことを尋ねられたんですけども、でも私答えられなかったんですけど、どうしたらいいんでしょうかね」といったものとか。そしたら、先輩とかが「こういうのはどうだとか」意見を出しあってやっていく。

複数でやっている場合って、統一した認識を持たないと難しいんですよね。 あの店員さんだったら「いつもの」でわかってくれるけど、この店員さんはわからない。そういったことでトラブルって出てくるわけです。だから意識的にそういうことをノートにみんなで書きまとめて。「今日お客さんこういう話していたから、あの人はこういうの好きじゃないですか」とか、「今までお砂糖をお出ししていたけど、どうも糖尿みたいで、お砂糖ダメみたいですよ」とかね。

ある店員に言ったことが、次回違う店員が来ても、そういった対応をしてもらえることを。やっぱり難しいですけども、ミーティングする中でやっていっていましたね。

これは、サービス業としては面白いことだと思いますよ。そういったことを意識しているカフェというのは他にはあまりないんです。だから、バッハはお客さんからみると特別に感じられるんです。そういうふうに、お客様がまた来てくれて、どんどん増えていっている状態ですからね。

私もそこで学んだから、技術的なことよりも、そういった事のほうが、ずっとずっと重要なんだと思っています

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(この記事は2013年9月にUmio's Food Blogで公開されたものです)



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