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【詩】傘を探して

「時々、ちょっと疲れませんか」
なんて自分に聞いてみる
「ちょっとだけ立ち止まりたいって思ってませんか」
そんな風に自分に聞いてみる

ほんと言うとちょっと疲れてるんですよね
ほんとのこと言うとちょっとだけ立ち止まりたいと思ってるんです
でも、みんながんばっているから
だから、わたしも行かなきゃって思うんです
どこに行くかなんて分からないんですけど
それでもここに立ち止まっているわけにはいかないんです

「雨が降ったら傘を差すのは当たり前のことだから」
どこかで聞いた その言葉
でも、わたしは差す傘もないんです
だからとりあえず 屋根のあるところへ

雨粒がひたすらに降り落ちるのを屋根の下で見ていました
いつも持っていたスマートフォンも忘れちゃって
ただただ雨が落ちるのを見ていました
もうすぐやむかな
思って空を見上げてみると
ちょっとだけ雨の勢いが弱くなっていました
いまが良いタイミングかも
そう思ってわたしは たっと屋根の下から出ました
目指すのは大切なわたしの家

「家にいれば最強なんです」
いつかに思ったわたしの声
雨でも晴れでも影響されないからです
わたしひとりの空間だから
だれにも影響されないのです
それはとっても楽なのです

ちょっとだけ雨を纏って辿り着いたわたしの家
いつものドア
いつもの玄関
いつもの部屋
静かで素敵です

大好きな音楽を聴くのです
大好きな紅茶を淹れて飲むのです
大好きな本を読むのです
宝物の時間です

そっと遮光カーテンをめくってみたら
いつの間にか雨は上がっていました
差し込む太陽の光
わたしの少しだけのさびしさすら綺麗に照らす

また出かけましょう
また次の機会に
今度は天気予報を見ましょう
雨予報だったら
今度は傘を持って行きましょう


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