短歌/海野いづれ
今まで出したネプリの連作とそのほかの短歌をまとめました。未発表短歌も公開しております。
・2021年9月28日発行 ネットプリント『知っている道』より
覚えてることを話せば曇りでも晴れでもなくてだいたいはそう
いつだってどこへも行ける電車から遠ざかるとき静かな道路
だれかのために泣くのは偽善なのかなあ 過去のわたしに約束をする
いま死ぬのはなんとなくいやカラオケの電話が鳴ってみんなの小声
もしもまた会えたらとかはもうなくて賞味期限がとことん過ぎる
気づいたらいつも点滅したライト チャイムが鳴ればわたしも帰る
この道を行けばいつもの交差点 朝はあなたにもう差し掛かる
・2021年12月8日発行 ネットプリント『焼肉定食』より
しあわせになるべき人にも生活がある 生肉が運ばれてくる
透明な鋏で肉を切るときのやさしい気持ちで吐いている嘘
どれくらい焼けばいいのかわからなくてこんなに 約束ってどうなるの
目に見えるもののすべてを手渡せば表情は霞の向こう側
だれだって傷つけたいと思うときがくるのかな 網目からこぼれて
持っている気持ちとあげる感情の違いで指先燃えてしまった
・2021年12月18日 10首会より(未発表)
ゆっくりと時間を合わせて食べているふたりの食事からの呼声
伝えたらどういう顔をするのかを想像の窓から覗いたの
借りていたこころをいつか返すのと返さないのはほとんど同じ
ひとりずつみんな帰って空いている座席が増えてみんなの夜明け
触れられる距離 触れられない距離 いつかあなたも死んでしまうって言う
青色の愛情なのかもしれないね 初雪が降るからねむる街
あなたにも恋人と呼ぶにんげんができるいつかの日に晴れている
反対の街では雪が降っていてそうだよ謝るなんてひどい
言わないでおいた言葉がわたしから逃げ出しそうで瞼の暗さ
とおくから眺めていたら何色のあなたを知りたいのかわからない
簡単に忘れた顔をしてみせる
まとめると大量すぎたので、下記URLと、Twitterのメディア欄でだいたいは読めます。
https://tooimado.theletter.jp/
よろしくお願いします。
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