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風の又三郎と風野又三郎

ヨルシカとコラボしている風の又三郎の文庫の
表紙は、電柱の上に座る少年と肩にとまっている大きな鳥の後ろ姿と流れる雲の合間に青空が見える絵で全体が深い青。
見た瞬間に、かっこいいなと心ひかれたものの、風の又三郎は別の文庫で持っているというのもあって、ずっと気になったまま、買わずに月日が過ぎた。

もう何度も本屋さんで目にした、圧倒的にかっこいい青い表紙の風の又三郎をその日は急に買おうと思い立ち、読んだ後ヨルシカの又三郎を聴いた、ら。

ものすごい突風の中に立っていた。
風の又三郎がそのまま目の前に現れた。

どっどどどどうど どどうどどどう

あの風はこんなメロディーだったのか

ギターは上空で吹き荒れる風のよう
ベースは巻き上がる風のようで
耳から聴いてるはずなのに
体中に風が強い風が吹いていく。

風を呼ぶってほんとうなんだね
目を丸くした僕がそう聞いたから
ぶっきらぼうにあなたは言った
なにもかも思いのままだぜ

ヨルシカ「又三郎」

しびれるー!!
又三郎かっこよすぎる!
と、しばらく悶えていたけれど
思いのままっていうのは、なにもかもが思い通りになるってことじゃなくて
その思い、そのままってことなのかも。
たとえば、いま5月の緑のかおりのする風は
又三郎が運んできていると思うなら、その思いのままにそうなのだということ。

宮沢賢治の風の又三郎の前身的な話で
風野又三郎という話もあって、そちらは
又三郎はあきらかに風の精として描かれている。

風の精だから、又三郎のお兄さんもお父さんも叔父さんもみんな風野又三郎で、世界中どこへでも行く。そんな風野又三郎にもいいこともつらいこともあるのだと。
そして彼は鷹が好きだと言う。
表紙の大きな鳥はきっと鷹なのだろう。

風の又三郎も風野又三郎も、音楽の又三郎も
全部全部よかった。

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