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フォゲット・ザ・フォゲット(忘却の彼方)

物忘れが激しい。

とにかく何でも何処にでも忘れてしまうので自分自身かなり困っている。

忘れているというよりは確認を怠っている面が強いので、注意力散漫という表現の方が近いのか。

ちなみにタイトルの「フォゲット・ザ・フォゲット」とは、ハライチの岩井さんが持っているつい無意識に発動してしまう忘却能力のことで、ラジオ番組「ハライチのターン!」で歯医者の予約を忘れまくってしまう岩井さんのフリートークをもとに、同じように様々な能力を日常で発動している能力者リスナーからのメールを募集するコーナーへと発展したものです。
※漢字で「忘却の彼方」と書いてフォゲット・ザ・フォゲットと読むらしい。(面白いから是非聴いて!!!)

かくいう私も何を隠そうフォゲット・ザ・フォゲットの能力の持ち主なのでこれまでも、
ATMでお金を降ろしたのに現金を取るのを忘れ、
出かける際に行き道は自転車で行ったことを忘れて歩いて帰り、
ヨーロッパ旅行中にはスウェーデンからデンマークへ移動する列車の中にパスポートを忘れたために私一人日程を一日キャンセルしてスウェーデンへと舞い戻る など、
数々の場面でこの忘却能力を発動してきた。

挙げだしたらキリがないし、なんなら1日1フォゲットは当たり前で、しかし忘れる度に猛烈に反省するのだが、先日またしてもフォゲット・ザ・フォゲットを発動してしまった。
それもデカめのやつ。

連休に合わせて有給休暇を取って旅行をしようと思い立ち、友達や姉家族に会いに関東へ行ってきた。
楽しい旅行中も私は順調に確認を怠り、友達の家に化粧水を忘れ、姉の家にピアスを忘れて帰りの飛行機の中でやっちまったな、と反省をした。
しかも私は姉の家で寝かせてもらった布団の上に丁寧にもピアスを逆さにして置いていたらしく(全く覚えていない)、福岡空港に着いて機内モードを解除すると、姉から裸足でピアスを踏んで足の裏の細胞が壊れたと被害報告が来ておりさらに猛省しひたすら謝った。
自分が困るタイプの忘却はまだいいが、人様に迷惑をかけるパターンは良くない。
快く許してくれた寛大な姉に感謝しながら、私は今後は確認を怠らないようにしようと何度目かの誓いを立てた。

なのにである。

その後実家に泊まり、翌朝自宅へと帰る新幹線の座席に、あろうことか携帯電話を忘れてしまったのである。
これには能力者の私も驚いた。
お店などに携帯を忘れそうになって友達に「忘れてるよ」と指摘されたり、実際に忘れて取りに戻ったり、忘れたと思って騒いだ挙句カバンの底から出てきたりしたことはあったが(ただの迷惑)、携帯をすぐには取りに戻れない乗り物の中に忘れたのは初めてだった。

すぐには気づかず、新幹線を降りて階段を下っているとワイヤレスイヤフォンからピロリンと音がしておや、と思った。
なんだか不穏な感じの音階だったので、一瞬電池でも切れたのかなと思ったがその場合は外国人女性の流暢な英語音声でお知らせしてくれるはずなので違うはず、とそこまで逡巡して

はっ!!!!
これは携帯との距離が遠ざかりすぎてBluetoothの接続が切れた音!!!

もう遅いと分かっていたが思わず階段を駆け上がり、新大阪に向かって超スピードで走っていく新幹線を見送った。

あーまたやってしまった。私の反省とは一体何だったのだ。

駅の忘れ物センターのおじさんは、こういうことはよくあるといった感じで、焦る私の気持ちとは裏腹にサクサク手続きをしてくれた。
iPhoneですか?と聞かれたのではい、と言うと何やら用紙に記入していたが、慣れているわりにiPhoneのスペルが分からないらしく、「i」と書いた後
えー、アイフォン、アイフォンと呟きながらペンは進まず、結局「ihone」と書いてから自分でもピンと来ていないのか首を傾げていた。
惜しい、惜しいですおじさん。ご迷惑おかけしました。

終点の新大阪に着いてから着払いで郵送ということになったので、携帯の特徴と住所を伝え、接続先をなくしてただの無機質な塊と化したイヤフォンを首からぶら下げたまま帰路に着いた。
君が接続解除の音を鳴らさなかったら気づくのもっと遅れてたかも、ありがとうイヤフォン。

携帯のない時間は何だかソワソワして手持無沙汰で、私も立派な現代っ子だななどと生意気に客観視したりした。
同時に何の気なしに携帯をいじっていたら2時間経っていたなんてことがなくなり、少し充実した時間を過ごせた気もした。
プラスに考えることも大事ですね。

フォゲット・ザ・フォゲットの能力は何しろ無意識に発動してしまうため、防ぐのが難しい。(と岩井さんも言っていた。)
が、まあこれはただの言い訳なのでとりあえず懲りずに反省しようと思う。
ただ、たまに、本当にたまに忘れたことでかえって良い結果が生まれたりするのだ。
明らかに人間としての欠陥ではあるが、少しでも迷惑のかからない発動条件にする努力をしながら今後もこの能力と上手く付き合っていきたい。

きっとそこら中にいる能力者の皆さん、共に頑張りましょう!!

#エッセイ #ハライチのターン!#能力者


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