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偽蠍座

初夏にもかかわらず、冬のように(それよりももっと)豪華絢爛な夜空だ。澄み切った深い空には星々が所狭しと散りばめられている。

蠍座みたいな形の星座があった。でも、それは本当の蠍座よりうんと大きく、南の空の半分を占めていた。不思議なことに、南の空のもう半分には巨大なオリオン座があった。蠍の尻尾のあたりには、打ち上げ花火くらい大きい星団があった。その星たちは黄色い宝石の粒みたいに見えた。

私はあの蠍は何座だろうかと、星座早見アプリを開いて空にかざした。すると、その偽蠍座は妙にギラギラと輝き始め、尾の先から飛び出した閃光で身を刺し貫いた。

突如、爆発音が鳴り響いた。爆撃でも起こったのだろうか?偽蠍座の形はたちまち崩れ、星々は爛々と輝き、まもなく黒く濃い煙に包まれた。煙は一瞬で私たちの元へ辿り着いた。私は、家に煙が入らないように急いで窓を閉めなくてはならなかった。窓の外は黒い煙のほか何も見えなくなった。

─2023年7月10日の夢

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