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サウナはひとりで

年の瀬に白状すると、友人知人とサウナに入るのが苦手だ。


 身体を洗う時は隣同士のカランでしたほうがいいかしら、サウナに出入りするペースはあんまり合わせすぎない方がかえっていいかも、あがって髪を乾かしたり服を着たりするタイミングを合わせるには…など、同行者の動きが気になってサウナを楽しめない。男性専用施設の女性解放イベントなど限定的なお祭りとして参加する機会を除いて、個人的なサウナへの誘いはほぼなんだかんだ理由をつけて断っている。見知った誰かとサウナ室にいるのを何度想像しても「ああ、窮屈だ…」と感じるのです。ごめんなさい。


 夫とサウナ施設へ行くと「では90分後に休憩所で」と男湯/女湯ののれんの前で別れる。そこから先は楽しいソロ活動だ。夫の前ではかなり自由に振舞うことを許容してもらっているので(突然歌ったり踊ったり興味のある方向に断りなくふらふらはぐれるなど)、二人でいるからって窮屈なこともないはずなのだけれど。それでもなお感じる「さあ、ここから90分間ひとりの時間だ!」という高揚した、野原に解き放たれたリードのついていない犬みたいな気持ちはなんだろう。(浴室で犬のように走り回ったりするわけではないですよ念のため)私にとっては、この気持ちが味わえないならばもはやサウナに行く意味がない。
 知らない人の前に晒す裸と、友人に晒す裸は、後者の方が恥ずかしい。匿名の誰かでありながら、他者を感じることができる空間を求めて、わたしはサウナに行くのかもしれない。
 
 そんなわけで今後もサウナへのお誘いはおそらく断ってしまうと思うのですが、どうぞお気を悪くしないでください。服を着て、メイクをした状態で、おしゃべりするのは大好きなのです。お酒や食事を一緒に楽しみましょう、もしあなたがそれを嫌でなければ。

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