20190222_01_ビジモキャンプ図解_メルカリ

ビジネスモデル図解の全プロセス公開します

このnoteは、ビジネスモデル図解ビギナーが「メルカリ」をビジネスモデル図解した際の全プロセスを記録したものです。
図解完成までの所要時間は「9時間」でした。

こちらが完成版です。

一番最初の図解に比べると、出来映えに雲泥の差があります。
全作業プロセスを本文に記載していますので、興味を持った方は是非、ご覧ください。

はじめに

私が通っているNサロンでは、ビジネスモデル図解研究所(通常、ビズケン)の方がメンターとなって、ビジネスモデル図解のやり方が学べる「ビジネスモデル図解キャンプ」(以下、ビジモキャンプ)が行われています。

まず最初に、

「メルカリを図解せよ!」

というミッションが与えられました。

このミッションに対し、ただ図解するだけでなく、その作業プロセスやアウトプットの変化が分かった方が、やる方も学びが深くなりますし、誰かの参考になるかもしれないと思いましたので、その全容を公開してみることにしました。

完成までの間、作業日ごとに内容の更新を行っていきます。

所要時間をご自身の作業時間の目安にして頂く上で、私のスキルセットが分かった方がいいと思いますので、以下に記載しておきます。

【ツール】
・Googleスライドでの資料作成は今回初めて
・PowerPointでの資料作成は日常的に行っている
・なので時々、PowerPointとの操作の違いに戸惑う
【企業分析】
・株式投資や会計の勉強をしており、IR資料の見方や情報収集のやり方を知っている
・メルカリは調べたことはあっても、実際に利用したことはない
【図解】
・当然、ビジネスモデル図解は読んでいる(まだ読破はできていません。ビズケンの皆様、ごめんなさい・・・)
・この課題の前に、ビジネスモデル図解のツールを使って図解した経験がある

1日目(20190210) 所要時間:1.5時間

まずは情報収集から。
タイミング良く、NewsPicksから以下の通知を受け取りました。

以前、「ファイナンスラボのIRペア読書」「メルカリの売上高を上げる施策」を考えた際、施策案として、「介護サービス事業者との提携」を考えたこともあり、

「メルカリ長者が60代!?気になる!」

ということで、NewsPicksの上記記事をとっかかりに、関連記事をいくつか収集します。
その結果、

・メルカリはシニアに力を入れている
・シニア層の開拓のため、テンプレート機能など、簡単に出品できるUIに力を入れている

ということを学び、参考記事としてチーム内に共有しました。

所要時間:1.5時間 / 累計:1.5時間

参考:ファイナンスラボ IRペア読書(メルカリ編)

2日目(20190212) 所要時間:2時間(累計3.5時間)

ビジネスの全体像をつかむため、決算説明会資料(2018年6月期4Q)を読みます。
ここで目に止まったのは、以下のページです。

これらから、

・出品を簡単にするUI
・出品者と購入者の間の信用仲介

がメルカリのビジネスモデルの胆だと捉えます。

で、思考を整理するためにも、まずはアウトプットしてみようということで、ここまでのインプットを基に、手を動かし始めます。
まずは、

「ビジネスを一言で説明」

というお題から。
ここまでインプットした内容を基に、以下と定義しました。

次の課題として、

「逆説の構造」

に取りかかります。

実は私は、ビジネスモデル図解は今回が初めてではなく、以前Schooでチャーリーさんにレビューしてもらった事があります。
正直に白状すると、この時は図解だけして「逆説の構造」は考えていません。

「逆説の構図」、こいつが曲者でした。

・起点
・定説
・逆説

この3つがしっくりくるように言葉を埋めていくのですが、これがめちゃくちゃ難しい。
追加で情報を調べたりして、何度も試行錯誤を繰り返し、なんとか完成させたのがこれです。

・簡単にモノの売買ができる

という所をポイントとして捉えています。

これを基に、

「3×3の関係者のマス目を埋める」

課題も一気に作成しました。
が、ここまでの作業による思った以上の疲れ&深夜作業ということもあり、なんとなく埋めた感じになってしまいました。

所要時間:2時間 / 累計:3.5時間

3日目(20190215) 所要時間:1.25時間(累計4.75時間)

ここまでの成果物をブラッシュアップするより、まずは一度図解してみようと考え、先日作成した「関係者の図」を図解に落とし込んでいきます。

で、最初に出来上がったのはこれです。
作っている途中から、違和感が次から次へと湧いてくるのなんのって。
修正したい欲にかられますが、まずは一旦、完成させることを優先します。
ここまでで大体30分くらいです。

次に、感じた違和感を基に、手直しをかけていきます。
手直しの際にヒントになったのがこの図解。

お金の流れがうまく表せていないと感じていたのですが、この図解を見て、

「重要な機能は切り出して表現するのもアリ」

というヒントを得て、メルカリアプリからお金を管理する機能を「ウォレット」という形で切り出すことで、うまく表現できないか、試みました。

その結果が以下です。
ヒントは得られたものの、途中で「この構成のままだとダメだ!」と考え、修正を切り上げています笑

で、色々と抜本的に見直し、現時点で完成させた図解が以下です。

「メルカリアプリ」を事業の中心に据え、

・マーケット機能
・ウォレット機能

を切り出して表現することで、モノ、お金、情報が途切れなく繋がっている図にはなったかなと思います。
課題としては、

・出品者と購入者が別々にいるわけではなく、1人の利用者が両方の役割を持っていること
・購入者もウォレットから代金を支払うこと

が表現できていない点だと考えています。
が、今夜も遅いのでこれらの点は明日以降、修正していきたいと思います。

所要時間:1.25時間 / 累計:4.75時間

4日目(20190217) 所要時間:0.25時間(累計5時間)

ビジネス図解研究所のチーズさんにレビューして頂きました。
レビューコメントの最初に「出来たことを認める言葉」があるのが嬉しい。
こういう一言があるかないかで、印象が全然変わってくると思います。

チーズさん、お忙しい中、ありがとうございました!

さて、レビュー結果ですが、「図解を読む7つのステップ」に沿って、気になる点をコメントとして挙げて頂きました。
コメント頂いたものをサマライズし、吹き出し(青がグッドポイント、オレンジが改善ポイント)として付けています。

自分でも気になっていた、

・購入者の配置
・配送会社から購入者に伸びる線

に加え、

・「マーケット」だけだと、重要な主体としては弱い

というプロ目線でのアドバイスを頂けました。
自分の中のモヤッとしていた部分を具体的な言葉にして、届けてもらったイメージです。
こういうのがレビューの良さですね。ありがたや、ありがたや。

今日は時間がないので、ここまでです。
この後、修正に入っていきます。

所要時間:0.25時間 / 累計:5時間

5日目(20190218) 所要時間:1時間(累計6時間)

チーズさんから頂いたコメントを元に図解を見直し。
修正ポイントは左サイド。

上段左の「配送会社」、下段左の「購入者」の配置

まずはここに着目し、位置を入れ替えてみることに。
うーん、出品者の左に「購入者」、「株式会社メルカリ」の左に「配送会社」って、なんか変!

もう一度、チーズさんのコメント、図解を読む7つのステップを見直してみると、

中央に配置するのは、その事業を特徴づける重要な主体

との文字が。

「マーケットより重要な主体・・・そうだ、出品者に相対する購入者だ!」
ということで、「購入者」を中央左の関係主体として配置。その流れで「配送会社」は元の上段左に戻すことに。

結果はこちら。

ポイントは2つ

①「出品者」、「購入者」両方からの情報の矢印を、中央の「メルカリ」で交差させることで、メルカリの特徴である「マーケット上でのマッチング」を表現

②「配送会社」は様々な配送手段や匿名配送といった「出品者がモノを売る行為を簡単にする」「購入者は様々な手段で受け取ることができる(=買う行為を簡単にする)」という利用者サイドに近い関係主体であることを再度確認

補足も入れたことで、メルカリのビジネスモデルの特徴が以前の図解よりも、よりすっきり、分かりやすくなったように思います。
(チーズさんのアドバイスのおかげです。ありがとうございます!)

「ウォレット」から「株式会社メルカリ」に伸びている矢印のように、まだいくつか見直ししたいポイントがあるので、明日以降も引き続いてブラッシュアップしたいと思います。

では今日はここまで。
修正前後の図解を見てどう感じたか、もしよろしければコメント残してもらえると嬉しいです^^

では~

所要時間:1時間 / 累計:6時間

6日目(20190222) 所要時間:3時間(累計9時間)

まずはアウトプットからご紹介します。

では、前回からどうやってこのアウトプットに至ったかを説明します。
見直しのキッカケになったのはこのnoteでした。

noteに貼られたPDFに、図解に取り組む人に向けた提言が書かれているのですが、その中に、おそらく図解に取り組む人が最も苦労するであろう「逆説の構図」に対する提言が書かれています。
こういった、自分が苦労した点における「新たな気づき」に対しては、積極的に実践してみるスタイルなので、改めて提言に沿ってアウトプットをしてみます。

まずは「逆説の構図」の起点となるSocialの判断基準の整理から。
Socialを判断する3つ基準にメルカリを当てはめてみます。結果はこちら。

「誰でも簡単にモノを売れる」
「ターゲットは世帯普及率が6割に達しているスマホユーザ」
という気づきを改めて得ます。
特に、普及率だけで見ると8割のPCユーザではなく、6割のスマホユーザを対象にしている点に逆説の構図を成立させるヒントの予感を感じました。

次に、Creativeの判断基準の整理を。この整理に非常に苦労し、時間もかかりました。

しかしながら、このCreativeこそがビジネスモデル図解の胆であり、各レベルの箱に書く内容によって、「逆説の構図」、そしてその後の「ビジネスモデル図解」の質が大きく変わると感じました。

参考までに、没アイデアも載せます。

このビジネスモデルが世の中に変革をもたらしたものは何か?

これが最も重要であり、また、取り組む人の価値観が表れるポイントだと思います。
1つの正解というものはなく、そのビジネスモデルのどこにCreativityを感じたかというのが、人によって違った形で表現されるのだと思います。
そう考えると、次のゼミで他のゼミ生の図解を見るのが非常に楽しみでなりません^^

これらをインプットに改めて、以前に作成した逆説の構図の修正に取り組みます。
ここでのつまずきポイントは、

ネットオークション(ヤフオク等)との違いが表現できているか?

という点でした。
メルカリとヤフオクの違い。
色々、検索して辿り着いたのが、経済産業省が2017年に出した報告書です。この中にCtoC-EC市場の実態として、以下の記載があります。

モノのシェアリングのビジネスモデルは、「リユース」と「レンタル」である。リユースは不要になったモノを他人に譲渡する、つまり所有権の移転をもって社会全体でモノをシェアするという考え方に基づいたシェアリングである。(中略)
一方で、リユースに関するネット時代の新たなシェアリング例は、ネットオークションとフリマアプリである。ネットオークションはインターネットの浸透と共に 2000 年代初頭より利用が拡大しているが、近年女性や若者を中心に急速に利用者が増加しているのがフリマアプリである。

この、
「所有権の移転を誰でも・簡単に行えるように社会実装した」
のが、メルカリのビジネスモデルの本質であり、最も逆説が効いている部分だと感じました。

自分が感じた本質の部分を意識しながら、それを実現しているFactを言葉に置き換えていき、出来上がった「逆説の構図」がこれです。
内容自体は前回と似通っていますが、よりシンプルな言葉で表現できていると感じています。

そして最後は図解の仕上げです。
これが修正前で、

これが修正後です。

不要なモノを売り買いできる

この部分を本質的に表現するのは、
モノの動きではなく、売り買いの情報がマッチングできる部分
だと考え、関係主体をマーケットに置き換えました。
また、それに合わせてその他の部分をアップデートして、完成です。

いかがでしょうか?
モノ・カネ・情報の動きが、よりシンプルに、わかりやすくなったのではないかと思います。
実は右上に最初は「銀行」を記載していましたが、「配送業者」よりも重要度が低く、このビジネスモデルの本質ではないと判断し、削除しました。

今回、再度、一から見直しを行ったということもあり、所要時間は最長の3時間です。かなり時間がかかっていますが、逆説の構図の考え方がなんとなく掴めた気がするので、次回の図解ではもう少し短い時間でできるかなという気がしています。

今回の図解はこれで完成です。
今後も図解を継続し、レベルアップしていきたいと思います。

所要時間:3時間 / 累計:9時間


いつも支えてくれている嫁と息子に、感謝の気持ちとして美味しいお菓子を買ってあげたいと思います^^