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忍殺TRPG小説風リプレイ【フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その17)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

◇4ターン目

遭遇ニンジャスレイヤー?: 1d12 = (10)
自分自身

「ハァーッ……ハァーッ……」赤黒のニンジャ装束、『忍』『殺』の文字がペイントされたメンポ。ニンジャスレイヤーとよく似た身なりをした男は、傷だらけの身体に鞭を打ち、解散したヤクザクランの地下にある違法ドラッグ精製所へと逃げ込んでいた。

「ハァーッ……!ハァーッ……!」荒い呼吸でアグラ・メディテーションを行う男の周囲には空になったバリキ・ドリンク瓶やシャカリキのPTPシート、使用済みのシリンジが散乱している。そしてそれらゴミ山の周囲にあるものは、おお、ナムアミダブツ。この違法ドラッグ精製所で薬品の製造と販売を行っていたギャングたちの死体の山である。

ニンジャスレイヤー?オーガニック・スシ使用
ニンジャスレイヤー?体力4 精神力0

「クソ……!あいつ、初代……!ニンジャスレイヤー……ニンジャスレイヤー……!AAAAAGGH!AAAAAAAAAGGGGGH!」男は崩れ落ちるようにしてアグラ姿勢を解き、両手で頭を抱えてのたうち回った。

「AAAAAAAAAGGGGGH!AAAAAGGH!」ドラッグのオーバードーズで肉体の痛みを消し去ろうと、ニューロンに刻まれた傷の痛みは癒せない。むしろバリキとシャカリキの興奮作用は彼の中に生まれた怒りと狂気を助長し、凶行へと走らせる。破滅への道へと。

「…………もういい」突如、男が動きを止めてそう呟いた。先程までの狂乱ぶりが嘘のように静かで平坦な声だった。「もうやめよう。終わりにするんだ。ぜんぶ」立ち上がった男はゴミ山を、死体の山を踏み越え、ふらふらとした足取りで歩いていく。

 譫言のような言葉を繰り返しながら歩く彼の目にはいったい何が映っているのか?何も無い。彼は何も見てなどいない。彼が認識しているのは、彼の心が創り出したありもしない幻想だけなのだから。「すべてを終わらせる。すべてが始まったあの地。マルノウチ・スゴイタカイビルで」

◇◇◇

遭遇ブレードブレイカー: 1d12 = (4)
ドラゴンチック&タカギ・ガンドー

「近いぜ。血の匂いだ」「はい。ブレードブレイカー=サン」犯罪都市ネオサイタマの中でも最悪と言われる治安劣悪区域、ツチノコ・ストリート。ブレードブレイカー、チキンハートの2人はドラゴンチックのソウル痕跡を追跡し、この通りへと訪れていた。

 今も静かに降り続ける重金属酸性雨はツチノコ・ストリートのシンボルである武田信玄像を錆び付かせ、道行くマケグミたちはあたかも苦行を与えられている罪人であるかのように俯いて歩く。ビル壁に掲げられた『おマミ』のネオン看板が火花を散らし、その下で横たわる浮浪者の姿を闇の中に浮かび上がらせた。

 善良で賢明なるネオサイタマ市民ならばこのような犯罪者の巣窟に自分から近付こうとはしない。だからこそ、ドラゴンチックはこのストリートへ逃げ込んだのだろう。悪辣で愚かなニンジャたちを自らを餌にして誘い込み、滅ぼすために。

「上等だぜ……ガキが」ブレードブレイカーは首をゴキゴキと鳴らし、ツチノコ・ストリートへ踏み込む。「テメェは増援を呼んで来いチキンハート=サン。この薄汚ェストリートに奴を閉じ込めるぞ」「エッ?ですが……」ブレードブレイカーはチキンハートの返事を待たず、猥雑なる暗黒街の奥へ進んでいった。

◇◇◇

「あマッポー近し!あマッポー近し!」「スッゾオラー!」「ペケロッパー!」「ゴマ10円!」テクノ説法師が光り輝くゲーミング錫杖を鳴らしながらストリートの中央を練り歩き、親鳥の後を歩くヒヨコめいてその後ろを歩いていたペケロッパ・カルトがヤクザに因縁をつけられる。立ち並ぶ屋台の店主たちはそのようなチャメシ・インシデントには目もくれず、客の呼び込みに精を出す。

「いつ来てもゴミみてェな街だぜ」ブレードブレイカーはストリートの中央を堂々と歩きながら吐き捨てるように言った。不思議なことに、テクノ説法師もペケロッパ・カルトもヤクザも屋台の店主も、誰もが彼に気が付いた様子が無い。ブレードブレイカーはモータルと同じほどの速さで歩いているのに、だ。

 これは半神的存在であるニンジャが持つニンジャ野伏力によるものであり、優れたワザマエを持つニンジャは機械の目すらも掻い潜ると言われている。ましてこの雑踏の中であれば、まるで透明人間のように振舞うことも容易いというものだ。「……」当然、ブレードブレイカー以外のニンジャにとっても。

 ブレードブレイカーの前方タタミ10枚分ほどの距離。テクノ説法師集団の後ろから姿を見せる小柄な影。瓦色のチャイナドレス装束と薄手のメンポ、両腕と両足にはそれぞれ装束と同じ色のロンググローブに厚底のニーハイブーツ。影がブレードブレイカーの姿を認めた瞬間、その髪と目と装束に真紅の熱が走り、以ってアイサツ代わりとした。ドラゴンチック。

「あマッポー近し!あマッポー近し!」「ライブします!無償!」「アカチャン、オッキクネ」「あマッポー近し!」「……」「……」人混みと喧騒の中に溶け込むように歩む2人のニンジャは徐々にその物理的な距離を狭めていく。カウントダウンめいて。タタミ5枚、3枚、2枚、1枚!

「「イヤーッ!」」DOOOOM!「アイエエエエ!?」「ペケロッパー!」次の瞬間、何も無かったはずの空間から凝縮された台風めいたカラテ爆発が起こる!通行人たちは悲鳴を上げながら逃げまどい、逃げ遅れたペケロッパ・カルティストひとりが壁に叩きつけられた!「あマッポー近し!あマッポー近し!」神懸かりとなったテクノ説法師がゲーミング錫杖を天高く掲げ、喉も枯れんばかりに叫びを上げる!

「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」「イヤーッ!」色付きの風となった2人のニンジャはシャウトと風切り音だけをその場に残し、互いのカラテをぶつけ合いながらビル壁を蹴ってネオサイタマの夜空へと昇っていく!

ブレードブレイカー『対抗判定:カラテ』+
『◉◉タツジン:イアイドー(2)』+『イチガツ(カタナ)(2)』+
『ドラゴンチックの情報(2)』:
23d6>=4 = (3,6,1,3,1,1,5,4,1,4,6,1,3,5,6,1,6,3,2,5,6,2,2 :成功数:10)

ドラゴンチック『対抗判定:カラテ』+
『◉◉タツジン:ジュージツ(2)』+『◉トライアングル・リープ(1)』+
『★カトン・パンチ(1)』:
19d6>=4 = (6,2,3,5,3,3,2,2,5,6,1,1,3,5,3,1,4,3,1 :成功数:6)
ドラゴンチック体力14 精神力6

◇◇◇

遭遇セルフハーム: 1d12 = (6)
チキンハート

「あら、チキンハート=サンじゃない」「セルフハーム=サン?ちょうどいいところに!」ツチノコ・ストリート入り口、ブレードブレイカーと分かれた直後のこと、チキンハートは偶然その場を通りがかったセルフハームと再会していた。

「ちょうどいい?何のこと?」「手短に説明する。今、ブレードブレイカーーサンとドラゴンチック=サンがツチノコ・ストリートで交戦中なんだ」「!……あの子が?」ドラゴンチックの名を聞いたセルフハームは目を丸く見開いた。自分と出会ってさほど時間が経っていないのに、今度はシックスゲイツ相手にイクサしているとは。呆れたタフさである。

「そういう訳で、すぐ一緒に向かってほしい。ブレードブレイカー=サンが遅れを取るとは思わないが、ドラゴンチック=サンは油断ならない。より確実な手段を……」「いやよ」「……なんだって?」予想だにしない返答に、今度はチキンハートが目を丸くした。

「私、あなた、ブレードブレイカー=サン。この中で真っ先に狙われるのは多分私。そんな貧乏クジ引きたくないわ」セルフハームは手をひらひらとさせながら言った。手首についた赤い切り傷が痛々しい。「だからって同僚を見捨てるのか?」「なによそれ。たかが同僚のために命を懸けろって?」「……」チキンハートは押し黙る。

「……なに?怒ったの?」2人の間に剣呑な空気が漂い、彼らはしばらくそのまま睨み合った。やがて、チキンハートが耐え切れなくなったように口を開く。「……違う。怒ってない。いや、怒ってはいる。いや、うまく言えないが……とにかく違う」「要領を得ないわ」「自分でもよく分からないんだ。今、自分がどう思っているのか」「ダッサ」セルフハームは嘲った。

「……あの子相手にイクサするのはごめんだけど、他の増援を呼ぶくらいはしてあげてもいいわ。それでもいいかしら?」「ああ、それでいい……じゃあ俺はブレードブレイカー=サンのところへ……」……その時である!

 KRA-TOOOOOM!KABOOOOOM!「なんだ!?」轟音がツチノコ・ストリートの空を横切り、大地が何かに怯えるように震動する!「あれを見て!」チキンハートはセルフハームが指差す先に視線を向ける!マルノウチ・スゴイタカイビル!火の手!立ち昇る黒煙……!

※セルフハームはチキンハートと情報共有を行ったことで、次回以降のニンジャスレイヤー、ドラゴンチックとの戦闘時、ダイスが+2される。

◇◇◇

遭遇???: 3d9 = (5+5+2)
遭遇???: 3d9 = (1+6+8)
遭遇???: 3d9 =(3+6+3)
遭遇???: 3d9 = (8+5+5)

フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その18)続く