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忍殺TRPG小説風リプレイ【ハンター・フォールズ・イントゥ・ア・トラップ(その1)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 今回挑戦したのはニンジャスレイヤー公式より発表されている【原作者へのマスタリングQ&Aコーナー】【ミニシナリオ作成ガイド】を使用した個人製作のシナリオです。詳細は下記の記事をご覧ください。

 以前も似たようなことをやりましたが、ダイスで決まるシナリオというやつが再びやりたくなったのでやります。

 挑戦者はソウカイヤのバカ!

◆グロウコブラ(種別:ニンジャ)  DKK:0    名声(ソウカイヤ):10
カラテ    6		体力   9(12)
ニューロン  6		精神力  6(9)
ワザマエ   9		脚力   5/N
ジツ     5		万札   44

攻撃/射撃/機先/電脳  6/9/7/8
回避/精密/側転/発動  9/9/9/11
即応/緊急       5/0

◇装備や特記事項
 所持品 :『オーガニック・トロスシ』『オーガニック・スシ』『トロ粉末』『ZBRアドレナリン注射器』
 スキル :『●連射2』
      『◉◉コブラカラテ(ボックスカラテ読み替え)』
      『◉頑強なる肉体』『◉特殊近接ステップ』
      『★◉毒属性ダメージ軽減1』『★◉毒手』
      『◉知識:犯罪』
      『○錠前破り』
 ジツ  :『☆カナシバリ・ジツLv1-Lv3』『★レッサー・イビルアイ』『★チドク・ジツ』
 装備  :『タクティカルスーツ』
 サイバネ:『▶︎生体LAN端子LV1』

      『●気力体力の充実(体力+3、精神力+3)』

 組織内での立ち位置や性格:『全能感や野望』

◆忍◆ニンジャ名鑑#---
 ソウカイヤの油断ならぬニンジャ。ヘビ・ニンジャクランのソウル憑依者。自分の有能さ、優秀さを信じて疑わない。本当に疑わない。
◆殺◆


◆シナリオ作成

 では上記事の「◆傭兵ビジネスの依頼主ランダム決定チャート」「ミニシナリオ作成ガイド」を用いてシナリオを作成しましょう。前回やったのでチャチャっと結果だけ表示します。

◇依頼主:謎のハッカーYCNANの卑劣な偽装 
◇任務:ボディガード 
◇ミニオン:戦闘兵器:モーターヤブ1機(好きなバリエーション)と
      チャカガン装備クローンヤクザ1体 
◇戦闘1&2:突撃ヤクザ小隊、サイバネ傭兵 
◇舞台:高層ビル

 いきなりの「だまして悪いが」案件です。殺意が高い。

 いったいグロウコブラは何と戦わされるのか……まあ適当に考えながらシナリオを進めていきましょう。フィーリング重点な。

 それではやっていきたいと思います!

◆本編

『一体何が起きたというの!?ニンジャスレイヤー=サン!まさかソウカイヤの追手が!?』廃ゲームセンターの薄暗い事務室の中、ヒトダマめいて鈍く光るUNIXからナンシーの電子音声が響く。その声色には電子エフェクトに紛れていても誤魔化し切れぬほどのはっきりとした焦燥が多分に含まれている。

「ヌゥーッ……。分からぬ。私の目にもドラゴンチック=サンが突然姿を消したようにしか見えなかった」事務室の中に居る唯一の生きた存在であるニンジャスレイヤーは油断無きジュージツの構えを取ったままナンシーの問いに答えを返す。その額から一筋の汗が流れ、『忍殺』のメンポに吸い込まれていった。

 ドラゴンチックと共にソウカイヤの追手から逃れ、ナンシーの用意したアジトに到着し、3人でこれからの行動方針について打ち合わせを行ったのがほんの数十秒前の事。その会議の途中、ドラゴンチックがナンシーの電子音声に混ざるノイズについて指摘した次の瞬間のことである。ドラゴンチックが何の前触れもなく姿を消してしまったのだ。

「追手はすべて撒いた筈だ……ナンシー=サン、何処かに侵入者の痕跡は無いのか?」『監視カメラには何も映ってないわ。仕込んでおいたトラップも作動した様子は見られない……いえ、待って』ナンシーは何かに気付く。『そこにあるUNIXにノーティスが来ているわ。発信源は……キョート共和国?』「キョートだと?」ニンジャスレイヤーは眉根を寄せる。

「どういう事だ。何故このアジトの存在をキョートの人間が知っている?」『分からないわ。発信源をもう少し詳しく探ってみる。3秒待ってちょうだい……アンダーガイオン、ガンドー探偵事務所?』ナンシーは2秒で発信源を特定してみせた。『アカウント名は……ドラゴンチック=サン!?』「なんだと!?」

 予想だにしない通信相手の名前にナンシーとニンジャスレイヤーは驚きの声を上げた。ニンジャスレイヤーは即座にUNIXのキーボードをタイプし、ノーティスを受ける。『# NS_GOKUHI :hina: 通じてますか?』ニンジャスレイヤーはUNIXに繋がったファイアウォール機器に異常が無いことを確認し、メッセージのやり取りを開始する。

 # NS_GOKUHI :hina: 通じてますか?
 # NS_GOKUHI :njslyr: 何故そこに居る?何が起きた?
 # NS_GOKUHI :hina:友人を助けに行っていました。
 # NS_GOKUHI :ycnan: 移動速度の計算が合わない。
 # NS_GOKUHI :hina: ニンジャなので。
 # NS_GOKUHI :njslyr: 友人とは?
 # NS_GOKUHI :hina: 後で話します。信頼できます。
 # NS_GOKUHI :ycnan: 合流はどうする?
 # NS_GOKUHI :hina: 探偵に協力してもらいます。キョートからの脱出資金、探偵への依頼費用立て替え願います。
 # NS_GOKUHI :ycnan: 送金
 # NS_GOKUHI :hina: とてもハヤイ感謝 :D。すぐに行動します。そちらは事前の打ち合わせ通りに。
 # NS_GOKUHI :njslyr: 了解した。

 ……IRCミーティングを終えたニンジャスレイヤーはチャットルームの履歴が完全に消去されたことを確認した後、再びナンシーとの通話を繋ぐ。『打ち合わせ通り、ということは……ソウカイニンジャを誘き寄せて情報を手に入れるのね?』「ウム、ドラゴンチック=サンを待っている時間は無い。彼女もそれが分かっているからこその先程の発言だろう」

『念のため彼女が居るらしき探偵事務所について調べてみたわ。所長の名前はタカギ・ガンドー。評判を聞く限り悪い人間ではないみたいね』「ドラゴンチック=サンなら大抵の相手には遅れを取るまい。心配は無用だ」『……そうね、私も信用することにするわ』ナンシーは無粋な言葉だったと反省し、笑みを零した。

『さて、それじゃあ作戦を練りましょうか。まずはターゲットとなるニンジャの候補だけど……』その後、ナンシーとニンジャスレイヤーはユカノ捜索のための作戦会議を行い、ソウカイヤのニンジャ複数人をピックアップしていった。

◆◆◆

 重金属酸性雨が降り続けるネオサイタマでは、その日も夥しい数の車両がハイウェイの上を走っていた。その中でも取り分け目立つ車が1台、他の自動車を寄せ付けずに道路上を爆走する。交差したカタナのエンブレムがレリーフされた高級リムジン、すなわちソウカイヤが移動に用いる家紋タクシーだ。

「クフハハハ!それにしてもカチグミ企業役員の護衛とはなぁ~!このグロウコブラのような極めて優秀なニンジャにしか務まらない任務であるなぁ~!」「グロウコブラ=サン、スゴーイ!」「よく分かんないけど、ナンカスゴーイ!」リムジンの後部座席シートに座るグロウコブラは自慢げにふんぞり返り、オイランたちにサケを注がせた。

「つい先日もオムラのコンビナートをアナーキストとマケグミ企業の連合軍が大挙して攻めてきおってなぁ~!あれは本当にオムラという暗黒メガコーポの瀬戸際であったことだなぁ~!まあこのグロウコブラが直々に出向いて一睨みしてやったらモータルもニンジャもロボットも蜘蛛の子を散らすように逃げていったのだがなぁ~!ま、流石の私もまったくの無傷という訳には行かなかったが……そうした激戦を経て私という男はますます光り輝く星の如く」「グロウコブラ=サン、目的地に到着しました」

 グロウコブラの長ったらしい自慢話は運転手の言葉で中断された。グロウコブラは不機嫌そうな顔をしつつも、オイランたちの前でモータルに当たり散らすのは格好がつかないので我慢した。

「ンン、オホン。ご苦労であった。……では行ってくるかのぉ~ッ!カチグミ企業役員の護衛というこのグロウコブラのような極めて優秀なニンジャにしか務まらない任務にのぉ~ッ!」「グロウコブラ=サン、スゴーイ!」「よく分かんないけど、ナンカスゴーイ!」グロウコブラはオイランたちにしつこいほどにアピールした後、リムジンを颯爽と下りた。そしてビジネスの舞台となるビルの前に……アタラシイ・エレクトロニクス社の前に立つ。

「ホホウ、なかなかいいビルではないか。ま、この極めて優れたニンジャであるグロウコブラが所属するソウカイヤ本拠地であるトコロザワ・ピラーほどではないがな」グロウコブラは誰も居ないところで自慢げに説明した後、アタラシイ社の回転ドアを潜り抜けようとして危うく挟まれそうになった。

 ……その背中を、家紋タクシーの運転手が殺意を籠めた瞳で睨んでいた。その口元に装着された『忍殺』のメンポが、ビルの照明を受けて黒く煌めいた。

ハンター・フォールズ・イントゥ・ア・トラップ(その2)へ続く