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忍殺TRPG小説風リプレイ【フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その6)】

アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPGの小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 本記事はニンジャスレイヤーの二次創作小説でありニンジャスレイヤー本編及び実在の人物・団体とは関係ございません。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

◇2ターン目

1:ブラインド(20)

2:ニンジャスレイヤー(10)
3:デスドレイン(10)

4:ドラゴンチック&タカギ・ガンドー(8)
5:ブラックヘイズ(8)

6:チキンハート(7)
7:グロウコブラ(7)
8:デスクランチ(7)
9:リストレイント(7)

10:ニンジャスレイヤー?(6)

11:ブレードブレイカー(5)
12:セルフハーム(5)

:???(-1)(このキャラクターはダイスでは選ばれない。)

◇◇◇

遭遇ダイスブラインド: 1d12 = (5)
ブラックヘイズ
ダイスブッダはブラックヘイズ=サンに親でも救われたの?

「ヨーホー、税金なんて使い道が無いー!ヨーホー、男は節税なんてしないー!」 公園から出たブラインドは新進気鋭のパイレーツ・メタルバンド『脱法海賊』の代表曲『海の上に人権は無い。だから税金も払わない』の歌詞をうろ覚えで口ずさみ、道の真ん中をふらふらと歩いていた。

『脱法海賊』は金銀財宝を巡っての派手なイクサや帆船の上での宴といった海賊というワードに対して大衆が抱く暴力的かつ陽気なイメージを大きく裏切り、タックスヘイブンでの租税回避や、カニキャッチ漁船を工場と見立てることで航海法と労働基準法をまとめて無視するなどといった、暗黒メガコーポ的脱法行為を海賊に見立てて皮肉った内容のアルバムをリリースしており、巷で人気を集め始めている。

「ヨーホー、大砲が暴発!ヨーホー、暴発で沈没!ヨーホー、これで証拠隠滅!これは誤射!テメエが死ぬまで撃ち続けてやるぜ誤射!この世の全て焦土に変えるまで誤射!誤射!誤射!誤ンアーッ!?」歌に夢中になってクルクルと回りながら歩いていたブラインドは何も無いところでつまずいて転倒し、後頭部をマンホールの蓋に打ち付けた。

「あいたたた……いい音がした……ンン?」その時、何かに気が付いたブラインドがマンホールの蓋に耳を当てる。そのコンマ5秒後!「……そこに誰かいるなー!ヨイショー!」ブラインドはいきなりマンホール蓋を外し、横に投げ捨てた!それによってマグロツェッペリンのサーチライトが、ネオンの光が、下界の闇を照らし出す!

「……今日はブツメツか。どうも巡りが悪い」ガンメタル色の装束のニンジャ……ブラックヘイズは己の身に降りかかった理不尽を呪い、思わず呟いた。「ドーモ、ブラインドでーす」「ドーモ、ブラックヘイズです」ブラインドは地べたに寝転がったままの姿勢で、ブラックヘイズはマンホールの梯子に掴まったままの姿勢でアイサツした。

 梯子を登って下水から外に出ようとしていたブラックヘイズは当然ブラインドの接近に気が付いていた。歌うことに夢中の彼女が自分に気付かないまま通り過ぎるよう、気配を殺して微動だにしていなかったのだが……それが裏目に出た格好だ。

「ブラックヘイズ=サン?そんな人ソウカイヤにいたっけ?………………いや、いたな。うん。いたいた。うん。完璧に思い出したよ!ゴブサタです!ブラックヘイズ=サン!」「生憎だが俺はフリーランスでお前とは初対面だ」「……スンマセン」ブラインドは素直に謝罪。

「でもフリーランスのニンジャが下水で何やってるの?何かの依頼?雨宿り?迷子?探検ごっこ?」「そのいずれであっても、俺がお前に説明してやる義務はあるまい?それよりそこをどいてくれんか」「おっと、メンゴメンゴ」ブラインドはゴロゴロと転がってマンホールの上から身を除ける。ブラックヘイズは梯子を登り切り、両手の埃を払った。

「それじゃあ、俺はこれで」ブラックヘイズは面倒ごとに巻き込まれる前にブラインドから距離を取ろうとする。短い時間の間にソウカイニンジャと接触をし過ぎた。これ以上は自分が狩られる側になりかねない。いや、あるいは既に包囲網が敷かれているのやも……「あ、ちょっと待ってブラックヘイズ=サン」

 ブラックヘイズは返事をせず、振り向くこともなくその場で足を止める。右腕に仕込んだヘイズネット、懐に隠した各種葉巻爆弾、周囲の逃走経路、これらを頭の中で瞬時に確認し、カラテ警戒したまま後ろを振り向く。地面に寝転がったままのブラインドが、口を開いた。

ブラックヘイズ『交渉判定:ワザマエ』+『◉交渉:駆け引き(1)』:
9d6>=4 = (2,1,6,5,6,3,6,6,4 :成功数:6)

ブラインド『交渉判定:ワザマエ』:6d6>=4 = (6,5,3,1,6,4 :成功数:4)

「今ニンジャスレイヤー=サンとかを追っかけてるんだけどさ。もしも見かけたら連絡くれない?これ、ここのアドレスにアクセスすればネオサイタマの監視カメラ映像とかが見放題だから。チェックお願い」「……」

※ブラックヘイズはブラインドの協力によって、今後の遭遇ダイスでダイスを1度だけ振り直してもよい。(シナリオ中ずっと有効)(ソウカイニンジャ相手の振り直しとは重複しない)(リストレイントの横取りが優先される)

「そんじゃ、ヨロシクー」ブラインドは寝たままゴロゴロと転がり、その場を離れていった。ブラックヘイズは今しがたブラインドから受け取ったアドレスに手持ちの使い捨て用UNIXでアクセスし、確認する。すると確かにネオサイタマ中至る所の監視カメラ映像を盗み見ることが出来た。いくつかの映像にはニンジャの姿すら映っている。

「……ブッダ。あんた、俺をどうしたいんだ」思わず天を仰ぐも、そこにブッダの姿は無い。ブラックヘイズは近くの公園にあったベンチに腰掛け、傷付いたニューロンを癒すためにしばし葉巻を燻らした。

◇◇◇

遭遇ニンジャスレイヤー: 1d12 = (4)
ドラゴンチック&タカギ・ガンドー

 ネオサイタマ商業地区、ハマチ・ストリートにあるヤスイ・マート跡地。かつてはバルーンやネオンの過剰広告で彩られたヤスイ・マートは経営者の不祥事が発覚したことにより役員一同が総セプクし、夢の残骸めいた廃墟と化した。ドラゴンチックとガンドーは入り口にあるガラスの割れた自動ドアをくぐり抜け、エレベーターへ乗り込む。

「番号は1、2、3、……」ドラゴンチックがエレベーターのボタンを数回プッシュすると、開いたままの鋼鉄フスマドアが独りでに閉じ、エレベーターが音を立てて下降し始めた。2階、1階、B1階、B2階、まだ降りる。

 ポーン。マイコ音声すら鳴らないままドアが開き、ドラゴンチックたちはエレベーターから降りる。どうにか前方から来た相手とすれ違えそうなほどの狭い廊下。白いゴムタイルの床を土足で汚しながら歩くこと数十秒。正面に銀行の金庫めいた気密扉が2人を出迎える。

「大袈裟なこった。スーパーの地下にこんな施設があるなんてよ」「従業員……役員のためのシェルターだったそうです。店が潰れて使い道が無くなったのをナンシー=サンが見つけたんです」ドラゴンチックは重厚な扉のハンドルを握り、ゆっくりと開く。地下とは思えぬ清浄な空気が廊下へ流れ出て2人の足元を通り過ぎていく。

「ドーモ、ドラゴンチック=サン」部屋の中には先客がいた。空調、空気清浄器、冷蔵庫、UNIX、事務机、トイレ、シャワールーム、木人の置かれたタタミスペース。人が生きていくために最低限必要なものだけで形成された小部屋の中、彼は床の上にザゼンを組んで傷を癒していた。「ドーモ、ニンジャスレイヤー=サン」ドラゴンチックはアイサツを返し、手に持ったビニール袋を掲げて見せる。「スシを買ってきました」

 ……「街中にソウカイニンジャ共が溢れている。明らかに普段以上の人員が」食事を終えたタイミングでニンジャスレイヤーが切り出した。ドラゴンチックはチャを入れながら耳を傾ける。「ここに来るまでにドゥポンディウスというニンジャと戦い、インタビューした。どうも敵は我々を追いかけているようなのだが……」「だが?」

 ドラゴンチックはニンジャスレイヤーの歯切れの悪さが気になった。この弟弟子にしては珍しい事だ。「奴らはアタラシイ社に現れた『ニンジャスレイヤー』を追いかけていると、そう言っていた」「……?それがどうかしたんですか?ていうか、アタラシイ社?ニンジャスレイヤー=サン、そんなところに用があったんですか?」

「いや、そいつは確かに妙だな」食後のZBRガムを噛んでいたガンドーが横から口を挟む。「そいつはあんたに……アー、ドゥポンディウス=サンはニンジャスレイヤー=サンにインタビューされてる時にゲロったんだろう?わざわざ目の前にいる相手に対して『お前を追いかけてます』なんて言うかね?」「そうだ。付け加えると、私はアタラシイ社になど行っておらぬ」

「え?それじゃあ……」ドラゴンチックが疑問を口にするより早く、ニンジャスレイヤーは答えた。「私とは別に、ニンジャスレイヤーを名乗る者がいる。ニンジャスレイヤーを名乗り、ニンジャを殺している者が」「……!」ドラゴンチックの手に持った湯呑みからチャが零れ落ち、少女は慌ててジツの力で雫を蒸発させた。

※ニンジャスレイヤーとドラゴンチック&タカギ・ガンドーは情報共有によって、今後の遭遇ダイスでダイスを1度だけ振り直してもよい。(シナリオ中ずっと有効)

◇◇◇

遭遇デスドレイン: 1d12 = (12)
セルフハーム

「ンアーッ!」セルフハームは右足を暗黒物質に捕らえられ、顔から地面に叩きつけられる!「へへへへ!捕まえた捕まえた!ヨイデハ・ナイカ!ヘヘハハハ!」「ンアーッ!」赤ん坊が玩具を乱暴に扱うかのように、アンコクトンの腕がセルフハームを上下左右へ振り回す!

「イ……ヤーッ!」SLASH!「おお?」セルフハームは手に持ったカタナで右足を……ナムサン!切断!?否!足首に絡みついたアンコクトンと触れている部分のみを正確に斬り取ってみせた!「ハァ、ハァ、イイーッ!」傷口はイタミ・ジツで即座に回復!

「へへへ!器用なヤツ!」デスドレインはセルフハームが斬り落とした肉片を手元に引き寄せ、これ見よがしに口から吐いたアンコクトンの中に吸収させた。「……最っ悪。前に見たことあるバイオニンジャ並に最悪」セルフハームは嫌悪も露わに吐き捨てる。

デスドレイン『対抗判定:ニューロン+ジツ』+『★アンコクトン触手(1)』:
 17d6>=4 = (6,5,5,1,5,3,1,2,3,3,1,3,6,5,4,1,1 :成功数:7)

セルフハーム『対抗判定:ニューロン+ジツ』+『◉◉タツジン:二刀流(2)』:
11d6>=4 = (1,6,3,2,6,4,6,2,2,4,5 :成功数:6)
セルフハーム体力10

 ブラインドと別れた直後にこのような強力な野良ニンジャに出会ってしまったのはセルフハームにとってまったくの不運であった。すぐに援護を求めて公園に戻りはしたものの、ブラインドは自分の言葉を素直に聞き入れたらしく、すでにその場にいなかった。

(こんなことならブラインド=サンと一緒に行動してればよかったわね。まあ今更何を言っても後の祭りだけど)セルフハームが考え事をしている間にもデスドレインはアンコクトンを練り合わせ、巨大なワームめいた暗黒触手を作り上げる!

「これは……流石に無理ね」セルフハームは背を向けて逃走!「オイオイつれねえなァ!もっと遊んでくれよソウカイヤ!ヘヘハハハハハ!」デスドレインは暗黒巨大ワームに騎乗して追いかけてくる!

「なんでソウカイヤのことをあいつが知ってるのよ……さては誰か情報を漏らしたか、返り討ちにあったわね」そこまで呟いたセルフハームの脳裏に、お調子者の同僚ニンジャの顔が思い浮かぶ。何の根拠もありはしないが、セルフハームは犯人が彼だという確信があった。「どいつもこいつも、世話が焼けるわね!」セルフハームは色付きの風となり、アンコクトンを突き放しにかかる!

フー・ウィル・キル・ニンジャスレイヤー?(その7)へ続く