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忍殺TRPG小説風リプレイ【アズ・ザ・クロウ・アンド・ドラゴン・フライズ(その11)】


◆アイサツ

 ドーモ、海中劣と申します。こちらの記事はニンジャスレイヤーTRPG公式サンプルシナリオのマップを利用した小説風リプレイとなっております。ニンジャスレイヤーTRPGについては下記の記事をご覧ください。

 こちらの記事は前回の続きとなっております。よろしければそちらから見てやってください。

それではやっていきたいと思います!

◆本編

 ガンドーはその男を知っていた。当然、その男もガンドーを知っていた。男はガンドーの反応を楽しむように観察した後、もはや待ち切れないとばかりにアイサツした。「ヘェーヘェー……ドーモ、タカギ・ガンドー=サン。ガンスリンガー……いや……スズキ・キヨシです」

 ガンドーの取った行動は素早かった。懐の49マグナムを抜き、構え、照準を相手の眉間に合わせるまでの三つの動作を一呼吸で済ませた。だがニンジャの前ではあまりにも遅かった。ガンスリンガーは既に手に持っていた38口径リボルバーの引き金を軽く引くだけで良かった。BLAM!

「グワーッ!」ガンスリンガーの放った弾丸がガンドーのリボルバーに直撃し、ガンドーは銃を取り落とした。「アイエエエエ!?銃声!?」「ナニ!?銃声ナニ!?」「ニンジャ!?ニンジャナンデ!?」瞬く間にマケグミクラス車両内にパニックが広がり、大衆的無関心によって薄れていた2人の存在感が最高地まで跳ね上がった。

「出してくれ!早く!」「ニンジャナンデ!」「アイエエエ!押すな!」「コワイ!」「鉄道会社は何をやってるんだ!訴訟するぞ!」乗客たちは互いに押し合い、罵り合い、ただでさえ狭苦しい車両内にドヒョーリングめいた円形の空白地帯を形成した。ガンドーとガンスリンガーはその中心部分で対峙する。

(オイオイ何の冗談だよこりゃあ……スズキ・キヨシが、刑務所にいる筈のコケシ・ソイチが、俺の目の前にいて、銃を突き付けていやがる。しかも奴はニンジャになっているなんてオマケつきだと?ブッダ!これがカトゥーンだったら編集者はクビにされてるぜ!)

 ガンドーはたった今落とした49マグナムがあらぬ方向へ転がっていったことを確認し、自分にとってのブツメツが今日であることを悟った。「ヘェーヘェー……そう、あの日もそうだったな探偵=サン。俺たちが奪い合った拳銃が、まるでブッダの振ったサイコロのようにカワラ屋根の上を転がって……」「ヤヤッ!ガンスリンガー=サン!先ほどぶりですね!」

「……」己の口上に酔い痴れていたガンスリンガーは、無遠慮に割って入った能天気な声に能面めいて感情を落とした。声の主はその変化に気付くことなくアイサツを行う。「ドーモ、偉大なるザイバツ・シャドーギルドのアデプト位階、ネクロマです!」

 病的に白い肌に人面皮の口元めいたメンポを付けた少年はその風体からは想像も出来ないほど陽気に名乗りを上げた。「アイエエエ!ニンジャ!ニンジャ増えた!」「ゴボボーッ!」ニンジャの数が2倍に増えたことにより空間内のニンジャアトモスフィアが閾値を超え、モータルである乗客たちは急性NRSを発症し嘔吐失禁した。

「非ニンジャのクズ共が何やら騒々しいので様子を見に来たのですが……ガンスリンガー=サン、秘密の任務とはもしかしてその男に関係があるのですか?」ネクロマは何気ない質問と共にガンドーを指差す。それを皮切りにして、怪盗と探偵のニューロンが高速回転した。

ガンスリンガーワザマエ交渉(◉交渉:駆け引きで+1): 
14d6>=4 = (6,6,1,3,6,2,3,1,5,6,4,2,2,3 :成功数:6)
狂気ルールにより成功数‐2
ガンスリンガー成功数4

「……ええ、実はそうなんですよ。なのでここは私が対処します。ネクロマ=サンはご自分の任務に当たってください」ガンスリンガーはまたもや巧妙に己の狂気を隠し、ネクロマを言いくるめようとした。そしてそれはネクロマの性格を考えればあまりにも容易いことであった。

 だがネクロマが頷こうとするより早く、口を開いた者がいた。「……オイオイオイ、随分とカチグミらしさを取り戻してるじゃねえか。エエ?ガンスリンガー=サン……いや、スズキ・キヨシ=サンよ」ガンドーは心を奮い立たせ、タフに吐き捨てた。その言葉は見え透いた挑発であり、スズキ・キヨシの偽りの仮面を撃ち抜く弾丸であった。ガンスリンガーの奥歯がぎしりと鳴った。

「あの日の事件でテメエが刑務所に入れられて、ええと、何年ぐらいだったっけ?10年?まあそれくらいだよな。俺もすっかり老け込んじまってよ……」ガンドーは相手に警戒心を抱かせないようなゆっくりとした動作でZBR煙草に火を点ける。ニューロンがキックされ、乗客たちの喧騒が無限に遠ざかってゆく。

「それでもあの事件を忘れたことは無かった。一日たりともな」ガンドーはライターを懐にしまいつつ、もう1挺の49マグナムを手に取っていた。マグナムの銃口はコートの中からガンスリンガーに狙いを定めている。ニンジャが相手では大した目眩しにもなるまいが、出来ることは何だってやる。

「どうやってテメエが刑務所を出たのか、ニンジャになったのか、それは興味がねえ……それにテメエもそんな話をしに来たわけじゃああるまい」ガンスリンガーは銃を下ろして立ち尽くしている。ガンドーの話を聞いているのか聞いていないのか、その様子からは判然としない。「こうしてテメエが俺の目の前に姿を現したってことは、あの日の事件について何か言いたいことがあるんだろう。違うか?」

「なんだ貴様……?マケグミクラスに乗車しているような非ニンジャのクズの分際で、ザイバツニンジャに向かって馴れ馴れしい口を!」「オロローン……」しかし、ガンドーの挑発に対して先に反応を見せたのはネクロマの方だった。ノイズめいてほつれた装束の隙間から青白いエクトプラズム体が溢れ出し、ネクロマの周囲を渦巻いた。

 苦悶の顔を剥がして繋ぎ合わせたような霊魂の集合体が、不明瞭な呻き声を上げながら多関節のイビツな腕を形成する。ネクロマは異形の腕で吊り革の垂れる手すりを掴み、まるで枯れ木の枝のようにへし折った。(マズったか!?)ガンドーはコートの中の銃口をネクロマの方へ向けるべきか一瞬迷う。その次の瞬間!

 BLAM!

ガンドーワザマエ交渉判定(◉交渉:駆け引き、◉知識:犯罪(犯罪者心理)で+3):
7d6>=4 = (6,2,6,4,2,4,5 :成功数:5)
ガンスリンガー成功数5!

ガンドーの勝利!

「な……ぜ……?」ネクロマは呻くような声と共に、硝煙を上げる銃口を見た。衝撃のあまりジツの力が弱まり、異形の腕が霧散する。いったい何が起きたのかまるで理解が追い付つかない、そんな顔だった。

「ヘェーヘェーヘェー……何故って?さっき言ったじゃあないかネクロマ=サン……」ガンスリンガーは左手に持った硝煙を上げる銃をネクロマに突きつけ、右手に持った銃をガンドーに突きつける体勢を取った。「コイツは俺の獲物だ……邪魔するなよ……知能指数の低い奴は……ヘェーヘェー…」「な、なんですって……!?」ネクロマは自分の足元に生じた弾痕とガンスリンガーを交互に見て、酸欠状態のマグロめいて口を開閉した。

(オイオイオイ……コイツはおかしなことになりやがったぜ?)ガンドーの狙いはガンスリンガーを挑発し、会話によって自分に釘付けにさせることであった。そしてその判断は、ガンドーの予想を超えた事態を起こした。(俺が想定していた以上にソイチの精神状態がヤベエ。こいつらの仲間割れめいた状況を素直に喜んでいいもんかどうか……)

「ぼ、僕は一体どうすれば……!?」ネクロマはガンスリンガーの突然の暴挙にパニックを起こし、平静を失っている。彼にとってザイバツニンジャは皆が等しく神であるロードに選ばれた聖戦士であり、仲間同士での争いなど起こりえない筈なのだ。

 はたして今日は誰にとってのブツメツなのか?ガンドーか?ネクロマか?ガンスリンガーか?運命の賽は今もなお回り続け、まだその出目を確定させてはいない。三人も、乗客たちも動けない、永遠のような膠着状態がこのまま続くかと思われた……その時である!

◇6ターン目

ドラゴンチック&デスドレイン&レツノスケ、ヴァルナ行先: 2d12 = (12+1)
ドラゴンチック:1d5 = (2)+7 = (7)合計値:9

ドラゴンチック&デスドレイン&レツノスケが
ガンドーとネクロマとガンスリンガーとマケグミ・クラスで遭遇
ヴァルナ=サンはさぁ……

「アンコクトン・ジツ!」「「「アババババババーーーッ!?」」」膠着は混沌によって破られた!大量のコールタールめいた物質がマケグミクラス車両内に流れ込み、乗客たちを呑み込んで圧死させた!「ヘヘヘハハハハ!ドーモ、俺はデスドレインだ!狭いなァー!マケグミクラスはよォー!でもこれでちょっと広くなったろ!いやむしろ余計に狭くなったか?ヘヘハハハ!」

「オイオイオイオイ!なんだこりゃあ!」「「イヤーッ!」」ネクロマ、ガンスリンガー、そしてガンドーは咄嗟の跳躍で器械体操選手めいて吊り革に掴まる!だが全盛期の肉体ならばともかく今のガンドーには厳しい運動だ!両腕が痛みに悲鳴を上げ、片手を滑らせる!「ヤバイヤバイヤバイ!」

「イヤーッ!」落下しかけたガンドーの身体に色付きの風が纏わり、重力に対してささやかな抵抗を行った。「ガンドー=サン!無事!?」ドラゴンチックはガンドーを米俵めいて抱え上げたまま、燃えるブーツで暗黒物質の地面に降り立った。

「色々とあったが何とか無事だ!それよりなんなんだアイツは!?」「脱獄した死刑囚でニンジャ!とにかくぶっ飛ばすしかない!」「刑務所に入るとニンジャになっちまう決まりでもあるのか!?こっちも元囚人のザイバツニンジャに追われてたとこだ!」「分かった!ぶっ飛ばす!」「頼もしいぜ!」

「レ、レツノスケ=サン!ちょうどいいところに!」ネクロマは霊魂で作った異形の脚を竹馬めいて用いることでアンコクトンの上に立っていた。しかし、漆黒のスライムは青白のエクトプラズムを徐々に侵食し、ネクロマ自身の脚にも徐々に触手を伸ばしてきている。追い詰められつつあった彼は頼もしい仲間の姿に安堵の息を漏らした。

「ちょうどよかったネクロマ=サン。ターゲットを見つけた。奴を止めるぞ……そっちの男は?」レツノスケは暗黒物質を跳ね除けるドーム状の力場にネクロマを招き入れつつ、ハーフハンニャ・オメーンを被ったニンジャの素性を尋ねた。「……ドーモ、ザイバツニンジャのガンスリンガーです」怪盗はネクロマの紹介より早く、吊り革に掴まったままアイサツをした。

「ドーモ、ザイバツのロンダイジ・レツノスケです。同僚の方でしたか。すまないが見ての通り緊急事態だ。貴方にも協力してもらいたい」「……」ガンスリンガーの反応は薄い。その態度にレツノスケは直感的に嫌なものを感じ取る。「あのう……その件なのですが……」「……なんだ」その予感はネクロマの遠慮がちな声を聞いてますます強まった。

「ガンスリンガー=サンはあのモータルが狙いだそうで……あ、でもこれは秘密の任務らしくて……」「ハッキリ言え。何が起きたか」「あの白髪のモータルを殺そうとしたら銃を撃たれて邪魔するなと言われました」「………」レツノスケはガンスリンガーと目を合わせる。濁った瞳がレツノスケの視線を飲み込んだ。

「……とにかく今はデスドレインだ。ガンスリンガー=サンへの詰問は後とする」「りょ、了解しました!」レツノスケはカタナにエンハンスを纏わせ、デスドレインへと向き直る。ネクロマもアンコクトンに自身の肉体が触れないようジツに力を注ぎ込んだ。

イニシアチブ
デスドレイン→ガンスリンガー→
ドラゴンチック→
ロンダイジ・レツノスケ→ネクロマ→
タカギ・ガンドー

「ヘェーヘェー……話は終わりか?……それなら好きにしてもいいよなァー!?」BLAMBLAM!ガンスリンガーは新体操めいて吊り革を飛び回り、ガンドーへ発砲!「イヤーッ!」ドラゴンチックは連続側転で弾幕を潜り抜ける!だがそこへアンコクトンの触手が包囲網を仕掛ける!

「イヤーッ!イヤーッ!」ドラゴンチックはカラテを籠めたキックで暗黒触手を弾く!BLAMBLAM!そこにまた弾幕だ!ナムサン!このままではジリー・プアー(徐々に不利)!

「アイエエエ!」「タスケテ!タスケテー!」「アババーッ!」「ヘハハハハハ!そらそらガンバレ!まだ何人か息があるぜ!急いで俺を倒せば助けられるかもよ!」デスドレインはまだ生きている乗客数人をアンコクトンの触手で絡めとり、見せつけるかのように持ち上げてみせた。ドラゴンチックの心に焦燥が募る。

「……ドラゴンチック=サン!俺のことはいい!それより奴を!」「ガンドー=サン!?」ガンドーは手すりの一部にしがみつくように掴まり、ドラゴンチックの肩から身を剥がした!「行け!」「……ゴメンナサイ!」躊躇している時間は無し!ドラゴンチックは四肢にカトンの炎を纏い、灼熱の弾丸めいて暗黒の道をスプリントする!

「ウォーヒヒー!」BLAMBLAM!「グワーッ!」ガンドーがガンスリンガーに撃たれる音を聞きながらもドラゴンチックは速度を落とさぬ!「イヤーッ!イヤーッ!」スリケンでガンスリンガーを牽制しながらなおも走る!

「ヤベエヤベエ!どうすっかな!どうにかしてみろよ神様!へへへ!」デスドレインは燃える龍の如く迫り来るドラゴンチックを前に、一切の恐怖を感じることなく、むしろこのスリルを楽しんですらいた。2人の距離が徐々に縮まっていく。残りタタミ10枚、5枚、3枚、2枚!

「「「アバーッ!」」」その瞬間、生き残っていた乗客たちの目や口から暗黒物質が溢れ出し、次の瞬間、まるでスタングレネードのように炸裂してアンコクトンを撒き散らした。デスドレインは手を叩き、へらへらと楽しそうに笑った。彼は1秒後にはアンコクトンに塗れたドラゴンチックの姿を見られるであろうと予想した。

「イアイ!」「グワーッ!?」その予想は自分の胸から上と下を両断する赤刃によって覆された。レツノスケのイアイはデスドレインの想定した間合いの外から届いた。その両手足には青白のエクトプラズム体。ネクロマのネクロヘンゲ・ジツによって、イアイの領域を伸ばしたのだ。アンコクトンの人間爆弾はデスドレインの制御を失い、口を開けた水風船めいて地面にべしゃりと流れ落ちた。

「イイィヤァーッ!」「ア……アバーッ!」ドラゴンチックの強烈なトビゲリがデスドレインの顔面に直撃し、靴底の焼き印を作った。CLAAAASH!デスドレインはアンコクトンでウケミを取ることも出来ず車両奥の壁に叩きつけられる。「ア、アバッ……まだ……まだだ……他の車両の奴らも全員ぶち殺して」BLAM!

「アバッ」壁から身を剥がそうとしたデスドレインの上半身がびくんと跳ねた。49マグナムから放たれた重金属弾が己の脳天に突き刺さったことを認識した瞬間、デスドレインの眼球がぐるんと回り、彼は白目を剥いた。

◇6ターン目
デスドレインアンコクトン触手→モータル: 16d6>=4 =
 (3,4,5,5,1,1,1,4,3,1,3,3,1,6,5,6 :成功数:7)
デスドレイン精神力9
デスドレイン体力7

ガンスリンガー射撃→ガンドー:
5d6>=4 = (4,5,5,6,1 :成功数:4)
+4d6>=4 = (1,1,3,4 :成功数:1)
+4d6>=4 = (1,5,6,1 :成功数:2)
ガンドー回避:
2d6>=5 = (6,3 :成功数:1)
+2d6>=5 = (5,1 :成功数:1)
+1d6>=5 = (2 :成功数:0)
ガンドー体力7

ドラゴンチック連続側転:
9d6>=4 = (5,2,4,2,5,3,1,3,2 :成功数:3)
ドラゴンチックトライアングルリープ→デスドレイン:
5d6>=4 = (2,5,6,3,4 :成功数:3)
+5d6>=4 = (3,5,5,5,4 :成功数:4)
+4d6>=4 = (6,4,4,1 :成功数:3)
デスドレイン回避:
3d6>=5 = (4,2,1 :成功数:0)
+3d6>=5 = (1,2,3 :成功数:0)
+3d6>=5 = (1,3,4 :成功数:0)
デスドレイン体力0!

レツノスケ精密攻撃→デスドレイン:
7d6>=2 = (4,3,2,5,6,1,4 :成功数:6)
+7d6>=2 = (2,1,3,3,3,6,5 :成功数:6)
デスドレイン回避緊急回避ダイス使用:
11d6=6 = (6,3,5,6,5,1,3,4,1,6,1 :成功数:3)
デスドレイン精神力7

ネクロマグレーター・アクマヘンゲ:
12d6>=5 = (5,1,5,4,4,4,2,4,6,2,3,5 :成功数:4)
ネクロマ精神力14
ネクロマカラテ→デスドレイン:
7d6>=2 = (4,4,6,2,2,4,3 :成功数:7)
+7d6>=2 = (6,3,3,1,5,1,1 :成功数:4)剛力×2!
デスドレイン精神力3

ガンドー49リボルバー2挺拳銃射撃→デスドレイン:
3d6>=3 = (2,2,4 :成功数:1)
+3d6>=3 = (4,6,5 :成功数:3)
デスドレイン精神力-1!
戦闘不能!

戦闘終了

アズ・ザ・クロウ・アンド・ドラゴン・フライズ(その12)へ続く