見出し画像

イーブイが生まれる予定だった!?

 まあこれはさくっといきたいところではありますよね。最早出オチです。
 元育て屋について構想を膨らませていたとき「卵屋」と名付けられた、今は倉庫兼鳥ポケモンの巣として使われている建物が生まれました。卵屋は、育て屋ならではのポケモンの卵を孵化させるための場所ということで昔は使われていた、という設定があります。本文中でもその点には触れています。
 それと繋げて、卵からポケモンが生まれるという展開をしたら、良いのではないかと。
 続キリ全体としても、首都まででたくさんの突然の死別を経験してぼろぼろになり己は自殺未遂までやってしまったラナが、続キリの最後で卵からポケモンが生まれる瞬間に立ち会うというのは、生死をしつこく扱う当作品においても相性のいいモチーフなのではないかと。
 では誰を生ませるか。
 結果的には、途中で死んだポッポと繋げて、ポッポが生まれました。
 しかし、実はその前の案は、イーブイだったのです。
 誰が親でしょう。
 まあ他にいませんのでさくっといくと、エーフィとブラッキーです。
 無しになったので全部言います。ブラッキーが帰還し、エーフィとブラッキーは今後について考えた時に、今回の暴走を踏まえ、あらたにラナの傍におくべき存在が必要なのではないかという考えに至ります。ブラッキーはいつまた暴走するかわからないし、果たしてエーフィもどうなるかわかりません。そういう危うい橋の上に彼等はいて、危うさから目を背けて旅を続けてきました。しかしいよいよその危うさから逃げられないと知り、彼等は卵という選択肢を選びます。
 しかし決してエーフィとブラッキーの間に恋慕はありません。彼等の本当のおやは夫婦ですが、彼等はおやについてきて、お互いをよく知り合う仲間なのです。
 彼等の間で卵ができるというのは、こういうビジネス的な考えのうえに成り立つのですが、それは本編小説で語ることではありません。なので、ぱっと見、「暴走したブラッキーが生還したことでエーフィとブラッキーの間に今までには無かった情愛が生まれた」というある意味素敵な展開に見えてもおかしくない場面になりかねません。しかし何度でも言いますが、エーフィとブラッキーは、性別は違うし、卵グループは勿論同じだけど、全然恋仲ではなくて、二匹ともおやを悲惨な事件で失った、歴戦を共にしてきた運命共同体みたいなものなのです。少なくとも、アランがこうして大変なことになった後で情事に至るほど脳天気な子達ではないのです。いやポケモンの卵は謎が多くてどこから出てくるのか未だ分からないという公式設定がありますけれども。
 上記のような誤解を生む可能性がある、ということ。そしてもう一つ懸念事項として、いざ赤ちゃんのイーブイを出せば、このイーブイを軸にしてもう一つ大きな柱がしろ闇にできることになります。すなわちイーブイの成長です。
 ラナの今の手持ちは、アメモース・エーフィ・ブラッキーです。アメモースは育て屋に預けたままになっていますが、それぞれ本当のおやはクロ・リュード・ニノです。つまり、ラナは一見抱負なポケモンを持っているようにみえて、ラナ自身が一から育てたようなポケモンはいません。既に育ったポケモンを譲り受けた(あるいは盗んだ)のです。だから、これからラナがポケモントレーナーとして成長していくうえで、共に一から成長するイーブイという存在は、確かに魅力的な構成ではありました。これで結構練りました。
 しかし。
 イーブイの柱が思ったより尺をとるのです。そもそも、続キリを終えたら彼女達はまた黒の団との因縁に身を投じていくことになり、強大な敵を前にして赤ちゃんのイーブイを抱えるのは結構なリスクを伴います。それを踏まえてブラッキーが生まれてすぐにイーブイをしごきまくるという(イーブイにとっては)地獄のような展開も挟む予定でしたが、それでもイーブイは赤ん坊。好奇心旺盛。それゆえにばたばたと明るく、暗くなりがちなメンバーを引っ張ってくれる可能性を秘めていました。
 しかしそれ以上に。尺をとるということと黒の団を前にした場合の直近の大変さを考えた時……現実的ではないと。
 実際、イーブイが生まれる案は後天的なもので、もともとの全体構成にはありません。しかし結構大きな出来事なので、後々にも大きく響きます。後から思いついてばしばし物語に入れることはよくありますが、そうして入れ込むにはあまりに物語全体への影響力が大きすぎる。
 そういうわけで、イーブイ孵化案は没となりました。卵屋で新しい卵ができて、一度は死に絶えた育て屋で孵化するという展開はそれでもどうしてもやりたかったので、ポッポが代わりとなったのでした。
 はい。
 まあ、長くなるといろいろ出てきて、そのたびに貼り付けて、切って、捨てて、の繰り返しですよね。長くなるほどいろいろつぎ込みたくなりますよね。それでも没になるものはいろいろあります。今回のネタはけっこう大きなネタであり、まさかそんな展開が用意されていたと予想していた人は……流石に、いないんじゃないでしょうか。エーフィとブラッキーが恋仲ではないというのも昔ツイッターかなにかで言っているし。恐らく。
 でも、あんまりに長い沼展開だったので明るさが欲しかったんですよね。私の心が渇望したんですよね。可愛らしいイーブイ、ちょっと書きたかったですよね(本音)進化先はニンフィアかな~~~とか考えたな~~~~~はい。ひとときの夢でした。

たいへん喜びます!本を読んで文にします。