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平成半ば、21世紀とともに生まれた子供たちが最初にふれるデジタルツールといえば連絡用の携帯電話ではないでしょうか。そして子供たちが折り畳みのガラパゴス携帯電話を与えられていた時代、女児だった私の周りでは携帯電話の内外を「デコる」ことが流行っていたように思います。端末には携帯ストラップやラインストーンのシール、メールの文面には動く絵文字やカラフルな文字スタイル。一世代前の女子中高生の間で流行した「ギャル文字」も、そのひとつとして残っていました。

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こんな具合です。この記事のタイトルに似たような雰囲気を感じませんか?ギャル文字は文字を似た形の文字や記号に置き換えて、かわいく、もしくは暗号チックに表記したものです。上記の文章は私が独断で可読性が高いものをピックアップして書きましたが、読みにくいことには変わりません。ちなみに「わたしのかってるねこかわいすぎ」と書いてあります。大した内容ではありません。ねこを自慢したかっただけです。

小学生だった私はこの解読のむずかしい文字をシールのたくさん貼られた携帯電話に何時間もかけて打ち込んでいました。送られた相手もさぞ困ったでしょう。ですが、慣れないデジタルのやりとりの中で、こういう秘密めいた遊びの時間はとてもワクワクしていたことを覚えています。


技術が目覚ましい成長を遂げ大きな波を起こす社会の中、義務教育+3の児童生徒期間を終えた私は少しずつプログラミングを学び始めました。教材はもっぱらインターネット上の講座配信サイトで、自分の技術力のレベルを測れるテストも提供している便利な大先生です。私はそのテストで、ませた小学生時代の、小さな画面を思い出すものと出会いました。

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「leetspeak(リートスピーク)」。私に課されたテストは用意された普通の文章をこのleetと呼ばれるスラング表記に変換するものでした。プログラムを組むこと自体は関数たちのおかげで数分で終わったのですが、leetを知らなかった私は、テストの採点が終わる前にleetという文字をGoogleの検索窓に打ち込んでいました。

英語圏で生まれ、日本ではハッカー語とも呼ばれるleetのやっていることはギャル文字と変わらない文字置換です。もっともleetはいわゆる検索避けなどの暗号的な使われ方が多く、文字をかわいく「見せる」ギャル文字とは由来が違っているようですが、デジタル上の文字を使った言葉遊びには少女時代の数時間のワクワクを思い出させます。

記事タイトルは私が変換プログラムで書き換えたleetの文章で、これでも読み辛いけれども、私が独断で可読性が高いものをピックアップして書きました。「Hello programming, Hello leet」と書いてあります。プログラミングを学ぶ人が一度は出力するご挨拶です。


小学生の頃携帯電話を覗き込んでいた私とパソコンを覗き込んでプログラミングを書く私の間には数年の隔絶があります。ギャル文字とleetの生まれた場所も、まったく違う、言語圏や文化すらかみ合わないところで、間には海を横たえています。しかし、インターネットの波の中でこうした言葉遊びを見つけることに文化も世代も関係ないことを教えてくれるこれらの言葉は、技術と情報がやすやすと国境を越えて広がっていく社会で育った私にはとても感慨深く感じられます。

Hello programming, Hello world

プログラミングは単純な技術以上のことを私に教えてくれる気がした発見でした。


久々の更新なこともあってながたらしい駄文になってしまいました。ここまでお付き合い頂いたついでに、このleet文を解読してみてください。

(V)Ч  ©@7  !5  700  ©µ73

ねこを自慢したかっただけです。

ねこちゃん

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