身元・本人確認

警察署から電話。
ご遺体どうされますか?
祖父の長男である叔父を吹っ飛ばしてこちらに連絡がありました。

叔父は警察署には向かうもの全ての連絡は私にするよう言ったそう。
最後まで無責任というか。

「いえ、直結の身近な親族は叔父である長男ですので叔父に委ねます。意義があるなら私に電話するよう伝えてください」といい電話を切りました。

叔父より警察署に到着した旨連絡が来た。
第一声「葬儀屋手配した?」
いや違うだろと思った。
まずは遺体がどういう状況であるかによれば火葬する選択肢が出てくる。
現地に行っている本人だから色々不安はあるだろう。

刑事さんに聞いてみた。
私「遺体はどういう状況ですか?」
刑事「後程遺体確認をしていただきます。今回に関してはお顔は見ない方がと言います。
希望されたらお見せしますが、強要はしません」
私「腐敗が進んでいたってことですね。顔がわからないなら本人確認はどうしましたか」
刑事「指紋で一致させました」
私「葬儀するか火葬を優先するかをここで判断したいので、叔父に遺体の身元確認をさせてください。本人がその状況でお顔をお出しできる状態と判断すれば通夜などから始まる手続きにて業者引き取りで段取りします」

このやりとりからわかる通り、この季節でも腐敗は思った以上にすすむ。
素人が思っている以上に、ただ倒れて見つかりましたって言うような状態ではなかった。
しかし私は、通夜、告別式の順番をこだわり続ける村の習わし
それに従順にしようとする、長男や仲良くしていたご近所。

そう、今でもこうやって信仰や習わしを重きとする人がいる。
時代の流れはこんなに早いのに、それに反して進まない何かがある。
少なからずとも誰しも思想、心というのはなにか囚われているのかもしれない。

その後、刑事さんより電話があり、ご本人の確認は拒否されました、と。
つまり叔父は、全く見なかった、確認もしなかったのだ。

私は叔父に電話変わってもらい
「刑事がこのように言う一連の流れは遺体がどうであるかをどうか悟る必要がある。あとはどうするか決定して」
叔父「わかった、でも多分流れは変えない。村八分だ。」
私「今日どうするつもり?」
叔父「家帰るよ(祖父の家)片付けもしないとね。今日泊まらないといけないし」
いや、すげー、私は多分同居人が今日倒れて・・・ってなったらまだしも
いつどこでどうなってたかわからない状態の家、泊まれる自信ない。

叔父はご近所の幼馴染の家についたと連絡。
結局飲んだくれている様子。
色々お世話してくれたご近所さんが話してくれた。

「通夜なしお経あげて火葬で手続きしたよ。叔父さんかわるね」って。
ほらね。
叔父「そういうわけ。」
私「急すぎて今から出ても間に合わないわ。せめてあと一日あとだったら間に合ったけど。私も火葬はせねばならないと思ってる」
叔父「いや火葬に猶予がない。」
ほら、行った通りだろ。って思った。
後ろでご近所さんが、もうこういう状況だしゆっくり日を改めてきた方が余裕がでてから、戻る方がいいよ~遠いんだしって言ってくれた。
叔父「遅れてもいい、とにかく帰ってきて」
私「間に合わなくてもいいなら帰る」
叔父「それでいい。とにかくいてもら居たい」
私「で、家帰ってみたの?」
叔父「見てない、外からは見たけど。帰ってみてくれない?」って
叔父よ・・・・最終そこかよ。

私は、結果その儀式には参列できないが遅れて帰ることにした。
私自身、せめて火葬、骨上げはしたいと思っていた。
そう、今まで何もできなかったから。
これからもきっと何もできないから。
償いにもならないのはわかっている、だけど最後祖父の姿は見れないけど、
祖父が今動かなくなった最後の姿だけでも見るべきその願いもかなわなかった。
さぁ、家はどうなっているのか。
オカルトな話は好きなのだが、自分が実際そういう現場に立ち入らねばならないとなるのは、今から足がすくむ思いで情けない。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?