旅、のちに思うこと
福井旅行は、旅行じゃなくて旅だった。
観光地に訪れるだけではない、もっともっと深いものをずっと感じ続けられた時間だった。
食後にお店にごちそうさまと声をかけたら、「挨拶できるのえらいなぁ」と地元の人に褒められたり、
好きが高じて夢を叶えた切なくも温かい人の話を聞けたり、
在来線の駅で降りる人はこの町が当たり前なんだよなってなんとも不思議な気持ちになったり、
1億6千年前の命が今目の前にあることに鳥肌が立ったり、
地球が丸いことに感動した子ども時代のあの時の記憶が蘇ったり、
少し迷いのあった子育てに背中を押してもらえたり、
何度も何度も心が揺さぶられて目頭が熱くなってた。
自分のことがうまくいかなくて、社会などに線引きされて外側にいることが多くなった気がしてたけど、
対等にいられる場所はまだちゃんとあることを、
人と会いながら、
歴史を感じながら、
自然に触れながら、
思うことができた。
そんな旅路の最後に、ふらりと立ち寄った場所にあったのが、グランドピアノだった。
なんとなくそっちの方に歩いていったら目に飛び込んできて、みずたまのワルツを弾いた。
こんな時に思ったのは、やっぱり、”わたしの”曲があるというのは財産だよなってこと。
楽譜が無くても、アレンジしても、なんでもいい。
この旅の音を奏でてごらんよって誘われたようで、北陸という地に、音を少しだけ残せたことが最後の最後に本当に嬉しかった。
言葉を連ねるよりも音を紡ぎたくなる最高の旅。
ほんと、生きててよかった。
この道を選んで、よかった。