見出し画像

陣痛は身体との対話で乗り越えられた【自然分娩レポ・ダイジェスト版】

 初産婦は皆、陣痛を怖がっていると思います。もちろん私もそうでした。痛い=つらい、嫌だ、避けたい、と思うのは人として当然のこと。赤ちゃんが生まれてきてくれるのは楽しみだけど、陣痛は怖い。また、無痛分娩を選択する人が増えてきているなか、自然分娩で本当にいいのか、無痛を希望していても自然分娩になったらどうしよう、と不安を抱える人も多いと思います。
 私は無痛分娩を希望していたものの、既往歴の関係で麻酔が使えず自然分娩となりました。無痛分娩ができないと聞いた時はどん底に落とされたような気分でしたが、出産を終えて今「自然分娩で幸せなお産ができた」と自信を持って言えます。なぜそう思えるようになったのか、今後いくつかの記事に分けて振り返りたいと思います。
今回はダイジェスト版として、陣痛との付き合い方に絞ってお届けします!

●背景

・30歳、初産婦
・無痛分娩を希望するも、既往歴(脊柱側弯症、側弯矯正術)の関係で硬膜外麻酔が使えず自然分娩となる
・40週4日で陣痛促進剤を投与し、自然分娩

●出産の経過

08:00 絶飲食開始
 万が一帝王切開になった場合、全身麻酔の適応となるので飲み物も食べ物もダメとのこと。これが地味にきつかった。
08:40 陣痛促進剤とブドウ糖液の点滴開始
 1週間前から子宮口が2cmまで開いており、胎児の頭も下がってきていたので分娩誘発(バルーンやラミナリア)はなし。
09:00 卵膜剥離①(いわゆる内診グリグリ)
 フーッ、フーッ、と息を吐くことで我慢できるレベル。
 子宮口4cm。
09:30 生理痛の重い版くらいの痛みが不定期に来る
 少しずつ強くなるものの、12:00まで余裕で耐えられた。
 雑誌読んだり経産婦の友人にLINEして励ましてもらう余裕まであった。
12:00 運動
 助産師に促されて、スクワットと腰回しをする。動いている方が、気が紛れる。
12:10 卵膜剥離②
 1回目より強く、長く、頑張って耐えたけど終わって涙が出てくるレベル。
 子宮口6cm。
13:00 どんどん痛みが強くなってくる
 力を抜いて息を吐くことをかなり意識的に行わないといけない。
 ハー、フー、と声を出さないと痛みを逃せなくなってくる。
 でもまだ陣痛の間隔は一定せず。
 ビーズクッション、テニスボール、四つん這い、正座など試す。
14:00 陣痛と陣痛の間に寝落ちする
 前日の夜あまり寝られなかったからか、陣痛のない時間に合わせて意識を失う。
14:30 いきみたくなってくる
 かなりキツい。
 ハアーア、フウーウ、と大きい声を出さないと痛みを逃せない。
 いきみたくなる感覚ってこれか、と思う。
 まだいきんだらダメと言われるけど、それは無理! と身悶えする。
 子宮口8cm、夫を呼ぶ。
14:45 分娩室へ移動
 陣痛室から分娩室まで目と鼻の先なのに、途中で陣痛が来て「痛い……!」と崩れ落ちる。精神的に挫折。
 痛みが引いたタイミングで助産師に引っ張り上げられ、分娩台に乗る。痛みが来たタイミングで自然といきんでしまう。
15:10 夫到着、いきんでokになる
 いきむ感覚はよく排便の感覚に例えられる。たしかに似た感覚だけど、排便よりは難しい(詳細は後述)。
 途中で人工破膜。ビシャアアと水が出た感覚があり、ビックリしてウワァァと声が出る。
15:50 助産師からまさかの提案①「頭出てきたよ。旦那さん、見てみる?」
16:00 助産師からまさかの提案②「産婦さんも見てみる?」
 夫は私の足側から、私は足の間に大きな鏡を入れてもらって、出てくる頭を見た。あの光景は一生忘れないと思う。
16:10 会陰切開
 バースプランに「裂けるくらいなら切ってください」と書いていたので、切開してもらう。4cm切って、7針縫ったらしい。正中側切開。
16:22 誕生
 出てきた瞬間、大声で泣いてくれた。私の感想「天使出てきたー!」

●痛みと付き合う3つのポイント

 陣痛が痛くてパニクってしまうと無駄に体力を消費してしまいます。陣痛はただ痛いだけのものではなく、赤ちゃんを押し出すのに必要な力。うまく陣痛を進めるために、痛みから気を紛らわすのが大事! そのための3つのポイントがありました。
1.     力を抜く
 どこかの筋肉が緊張してしまうと痛みを感じやすくなってしまう。私の場合は、手を振るのが効果的だった(後述のわかめ踊り)。ベッドの上でハーとか言いながら手を振るのはなかなかシュールだけど痛み逃しには代えられない。
 分娩台に乗ってからは、陣痛のお休みの時間が来た時に分娩台のバーを離すのを心掛けた。
2.     息を吐く
 とにかく口から息を吐く。息を吐くことに集中する。集中することで痛みが紛れる。口を開くことで力も抜ける。
3.     目を開ける
 目を閉じてしまうと痛みに意識が行ってしまう。視界からたくさんの情報を入れておくことで痛みを紛らわす。

 私は元々ヨガをやっていたこともあり、意識的に息を吸う・吐く、意識的に一部の筋肉を動かすということには経験がありました。身体をコントロールできる者は陣痛も制す、という感じがします。これから出産の人はぜひ身体を意識的にコントロールする練習をしてください。

●いきむときのポイント

 いきんでokになってから、何度もいきんでいるうちに、うまくいきめる時といきめない時があることに気付きました。助産師に「足を踏ん張り、バーを手前に引っ張り、声をださず、腰を丸めて目を開いてお腹を見る」と言われたけど、そうすると足と手と口と目に意識が行ってしまい、子宮に意識が行きません。
 Twitterのフォロワさんが言っていた「身体のなかの筒を赤ちゃんが降りてきていて、後ろから押してあげるイメージ」というのを思い出し、陣痛の波が来たらまず足を踏ん張り、手でバーを引き、姿勢を固定する。そして産道の中を降りている赤ちゃんを後ろから押してあげるイメージを持って腹圧をかけるようにしました。こうするとうまくいきめて、助産師に「いいよ、その方向!」と声をかけてもらえました。

●陣痛には必ず「お休みの時間」がある

 私は以前、出産の最後は痛いのがずっと続くと思っていたのですが、妊婦健診時に助産師から「陣痛には必ずお休みの時間があるんですよね」と言われたのが頭の片隅に残っていました。
 実際に、陣痛には最後まで「お休みの時間」がありました。産後に助産師と話していると、うまくお産を進められる産婦はお休みの時間に気付き、力を抜くことができるそうです。お休みの時間に呼吸を少しでも落ち着かせられると、次の陣痛が来た時にしっかり息を吸って子宮に大きな力をかけることができました。逆にお休みの時間に気付けず、痛みが引いている時間にも痛い、痛いと訴える産婦は疲れてしまって時間がかかりがちだそうです。
 陣痛には必ずお休みの時間があると信じて、お休みの時間が来たら力を抜いて身体を休めましょう。

●妊娠中の事前準備:痛みを紛らわす方法を考えておく

 私が事前に考えていた陣痛が来た時に痛みを紛らわす方法を列挙します!
・「赤ちゃんが一緒に頑張ってる!!!」とスマホにメモっておく
 これが一番大事! 出産は母の生む力と子の生まれる力が合わさってできるもの。陣痛の痛みではなく、赤ちゃんに意識を向けることで少し痛みが和らぎました。
・経産婦の友人を難産だった順に並べてスマホにメモっておく
 ちょっと性格が悪いかもしれませんが「あの子よりはマシ! あの子ができたから私もできる!」と思うために、友人を難産順に並べていましたw
・夫の身代わりを用意する
 コロナ禍で立ち合い不可になっている産院も多いと思います。私は夫の身代わりに小さなぬいぐるみのキーホルダーを陣痛バッグに付けていました。痛みが来たらぬいぐるみを見て「夫が励ましてくれてる!」と思うことで少し痛み逃しができました。
・陣痛室に趣味を持ち込む
 私は好きな雑誌を持ち込みました。字や写真を舐め回すように読んでいるとだいぶ痛みが紛れました。
 他にも好きな曲を聴くとか、好きな動画を見るとかでも良いと思います。
・テンションの上がるお菓子
 大好きなお菓子や普段買わない高級品、思い入れのあるお菓子など、テンションの上がるものを用意しました。
ただ、私は絶飲食になってしまったので食べられず……。産後初のスイーツにしました。
・わかめ踊り
 12人産んだ助産師HISAKOさんのYouTubeで、手をぶらぶらと振って舌を左右に振って白目をむいて身体を揺らす、という痛み逃し方法が紹介されていました。
 午後に結構陣痛が痛くなってきてから、わかめ踊りを思い出し、手を振るのを真似ました。舌を出すとめちゃくちゃ喉が渇くのでご注意ください。
・いわゆる痛み逃しの方法の練習
 テニスボールやはんなりママのポーズなど、どういう風にするのか事前に練習しておくと安心です。陣痛中いきなり新しいことはできないので。

●良いお産は自分でつくる

 病院って、普段は医師に病気を治してもらうところで、患者は治療を受ける身です。でもお産は「私が産む」行為で、医師は必要時に医療介入を行う、いわばサブ的な立ち位置です。助産師は文字通りお産を助ける人。あくまで出産の主人公は私。一番頑張るのが私(と赤ちゃん)。これから出産の方は、良いお産にできるよう、自分と赤ちゃんが頑張るんだ! と気合を入れてもらえたらと思います。

●それでも、お産は結果論

 私は上記の内容を意識していたので、結果的に安産に持ち込めたと思います。ただ、出産はいつ何が起こるかわからないもの。事前準備をしっかりしていても、母子の状態が悪化してしまうことは往々にしてあります。もしそうなってしまったときには、自分を責めずに、他人と比べずに、自分と赤ちゃんにとってベストな状態だけをしっかり見定めて過ごすことが大切だと感じます。


 今回はダイジェスト版として、陣痛との付き合い方に絞ってお届けしました。これから出産の方の参考になりますように!

 この記事がおもしろかったという方がいらっしゃいましたら♡押してもらえると嬉しいです! ♡とPVでモチベーションが上がるので、よろしくお願いいたします。

《終わり》


この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?