見出し画像

【詩】おぼれていた

あのころ
わたしは溺れていた
彼に。

振り回されてる
言動や行動さえも
受け止めていたし
愛おしいとすら感じていた

あのころ
私が彼に言っていた言葉たちは
自分が望んでいた言葉を
繰り返し言っていて

そうして
望んだ言葉が返ってこないたびに
ひどく落ち込んだ

一方的な愛情だということに
彼のつめたい背中を抱きしめたとき
気づいてしまった
まるで魔法がとけてしまったかのように

いまさら
彼は私のことを愛していたのかとか
付き合っていたのだとか
大切な存在ではなかったのかとかも

訊いても無意味なことも知っている

あのころ
おぼれていたんだ
どうしようもないくらいに。


【23歳のルール】

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?