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寒い朝、公園で本を読む


起きて数時間が経過したというのに、今朝は頭がぼんやりとしたままだ。もう一度ベッドにもぐろうか、そんな誘惑に何度もかられる。

ゴミ出しで外にでると空気が刺すように冷たい。そういえば週末から寒くなるといっていた。ぼんやりとしたままなぜか玄関の汚れが気になり、バケツに水をはり柄の短いデッキブラシでゴシゴシと床を磨いた。これでよし。さぱりとしたけれど、まだどこか眠い。

いつもなら手早く洗濯などを済ませてカフェへ向かうのだけれど、家を出て暫くすると今朝はいつもとは反対の方向へと歩き始めた。眠い。ただひりりと冷たい空気が意外にも気持ちいい。

読みたい本と読みたくない本がどんどん溜まっていく。人も本もうわさ話のような内容はちょっと苦手だ。ならば読まなきゃいいのだが、もうさわりを読んでしまったあの一冊、読むとちょっとブルーになる。けれどその一冊も数冊の本の中に混ざり背中のリュックに収まっている。

風はない。寒い朝は空気が澄んでいるように感じられるのはわたしだけだろうか。そういえばかつて暮らしていた香港では、ビルに一歩足を踏み入れると冷蔵庫のように室温が低かった。高温多湿の街中では時に数種類の臭いを感じてげんなりしたけれど、ヒンヤリと冷たい室内に入った途端、澄んだ空気に感じられた。そして今朝はあの香港の室内よりずっと冷たい。

少しだけ急ぎ足で公園へと向かった。コートの下には厚手のセーターを着ているけれど汗ばまない。手が冷たい。それでも暫くはホカロンも必要なさそうだ。公園の冷たい木のベンチに座ると読みかけのれいの本を取り出した。『女たちのポリティクス』。これはブレイディみかこ氏が2021年に幻冬舎新書から出された本だ。世界の女性政治家たちの氏による評価が書かれている。なんともブレのないジャッジだ。きっと彼女自身ブレのない方なのだろう。

そういえば先日テレビの特集番組でメルケル氏の政治家人生のノンフィクション映像を観た。そのメルケル氏の評価がここでは相当に手厳しい。そういえば数年前に手に取った塩野七生氏のエッセーでもメルケル氏は主婦の目線でしか世界が見れない、エプロンを着けた主婦だなどと評されていたっけ。

ただこの本にはれいのMMTのことが書かれている。

数日前にも書いたけれど、少し言い訳をするならば昨年は忙しかった笑。家の売買に引越しに入退院、介護中の母の567熱が3か月下がらなかった。そう、見事にわたしは浦島太郎と化していた。そんなわたしが昨年末MMTの本と出会った。そして純粋に驚いたのだ。なんだ、世の中のお金の流れってそんなにシンプルなのか!と。ところがそれがTwitterでコメントを添えられてバズった。今もまだリツイートする人がいる。付いたコメントへのリツイート。そしてわたしのnoteの記事がそこに連れていかれる。これはなんともありがたくない現象だ。

ならばこれはちゃんと調べてみるべしとようやく動きはじめたのだ。マクロ経済がわたしと関係ないなんて言えないし。そのMMTの中でも最も読みやすそうなのがこの一冊。なんといってもイギリスに暮らす彼女の目には欧州や米国の女性政治家の様子が英語で見えている。そこが面白い。

そしてゴシップに近い本を手にする時には外が良い。ベンチに腰掛けて足をぶらぶらさせながらようやくMMTの場所にたどりついた。なるほど、これは米国から輸入された考え方なのだなということもわかってきた。面白い。厳しめなみか子氏の文体は普段英語でモノをお考えだからだろうか。まるで研ぎたてのナイフのようだ。それとも女性に厳しいのはやはり女性というシンプルな理由なのだろうか。ただ筆者の立ち位置のぶれなささは読みやすさでもあると思う。

寒い朝、すっかり葉を落とした高い木々の上に数羽のカラスがとまり大きな声で鳴きつづけていた。ここは烏の森なのだろうか。

一度は温まったはずの体がグンと冷えてきた。やがて目も覚めた。

寒い朝、烏の森でカサカサと落ち葉を踏みながらMMTとはなんぞやと思いながら歩いた。こんな朝も悪くない。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。

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