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なぜ人は風呂に入るのか
母の介護が始まって以降、わたしにとって風呂は仕事になってしまっていた。手順が決まっていて、あ~気持ちよかったと母が口にして、その作業が終わるまでにかかる時間は、始まり~終わりまでが約1時間半。
それから、母はくたくたになって昼寝タイムに突入する。
わたしは、そこから次のタスクへと向かう。
とはいえ、24時間の中の1時間半はやっぱり大きいし、ちときつい。
ところで、人はなぜ風呂に入るのだろう。
数日前に、介護士さんの一言で、わたしも母も体の深層部が冷え切っていたことに気が付いた。そこから、猛省して、冷たいものを口にしないを心がけて、体調がよくなってきた。ただ内臓は冷やさなくても体は冷える。
それが分かったのは、バスタブに浸かるようになったから。なんて気持ちいいのだろう。体が冷え切っているのがよくわかる。
そんなことに気づいてから、母の風呂タイムを一工夫した。
母が、ちゃっぽり湯船に浸かるだけの日を設けた。これが良かった。とにかくすべてが1時間以内で終了する。おまけに、母の体力は消耗しないし、体が温まり幸せになる。感謝までされちゃう。
このちゃっぽりで、わたしのストレスは大きく軽減されたし、母の体の痛みもなくなった。わたしも風呂でくつろげるようになった。
やっぱり、風呂は清潔になることだけを目的にしちゃいけない。
とはいえ、ここまで寝たきりになった母の体調が回復するには、泣けてくるほどの長い道のりがあった。今はもう泣けないけれど笑。
だからこそ、今はこんな変更が思い切ってできる。それでも、物事の見直しはしなきゃ駄目だなと思う。なにしろ、わたしは介護のど素人なのだ。わからないことだらけ。
母の場合、湯船にちゃっぽんだけの日があっていい。
いや、なんなら週に3日ほどは、そうしてみようと思う。
ただ温まるだけの日。
これがなんとも豊かだってことに初めて気が付いた。
人は、幸せになるために風呂に入るのだと気が付いた。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
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