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ホールディングスについて、考えてみた


昨日、テレビ東京の『ガイアの夜明け』9月15日放送回をみた。

「独占!そごう・西部ストの舞台裏~61年ぶりの決断に密着~」というタイトルだ。


デパートの労働組合がストライキをしたという内容は、メディアでも何度となく取り上げられた。

ただ、このストは、普通のストライキではなかった。

既にファンドへの売却が決まった中、労働組合側は、これから先デパートで働く従業員はいったいどうなるのか、せめて未来の話を、説明だけでも聞かせて欲しいと訴えたのだ。

これは、想像しただけでも、どれほど大変なことをされようとしていたのかがわかる。そして、あの労働組合で活動されていた方々は、その後お元気なのだろうかと思うほど、過酷でハードな活動をされていた。


その映像で、わたしはホールディングスについて考えていた。

今、日本には、グループ会社や親子会社のほかに、ホールディングスや、グループ・ホールディングスという、様々な形がある。

きっと就職活動中の学生さんは、ホールディングスと聞くと、とても大きな会社で、これなら絶対に倒産しそうにないので安泰だと思われる方も多いはずだ。


けれど、今回のようなケースで、そのホールディングスの形が透けて見える。

この形は、経営者にとっては好都合だけれど、雇用される側にとっては不条理なことが起こりやすい。

そもそも、ホールディングスは、ガバナンスをきかせるための組織と思われている。

つまり、ホールディングスが監督をする側で、その下にある事業会社は仕事を執行する側だ。その、監督と執行をわけることで、ガバナンスが効くというイメージだ。


けれど、まだ記憶に新しいけれど、事業会社で行われていた不正に対して、事業会社の社長が責任を取っても、ホールディングスのトップは知らなかったで終わった事件がある。

ホールディングスの監督の部分が機能していない、つまり、ガバナンスか効いていないのだ。

ここで見えてくるのは、ホールディングスの支配構造。ホールディングスとは、ほんのわずかの事務方の人がいるだけの組織だ。その組織が最も強い構造ということになる。

こんなふうに、あっさりとホールディングスの理想は覆される。


今回の、デパートの件でみえたことは、ホールディングスの下にある事業会社は未上場会社だということだ。

たとえ従業員が1万人いても、ホールディングスの下にあるなら未上場会社、つまり、東証に上場しているのはホールディングスのみということ。


今回のそごう・西武デパートでは、社長が解任され子会社へ行かれている。

なぜ、ホールディングスはそうもたやすく代表をかえることができるのか。

それは、デパートは未上場会社であるため、株主がいないからだ。

で、デパートの株主は誰なのかといえば、それは、ホールディングスなのだ。

だからこそ、ホールディングスは未上場会社のデパートのトップをかえることができた。

しかも、未上場会社の社内の事情は、外に出さなくても問題ない。



今、わたしは「女性の働き方を変えたい」という活動を始めている。理由はここにもある。

従業員を数千人以上抱える多くの企業が、事業会社としてホールディングスの傘下にある。

いかに金融庁が上場会社へ人的資本を明らかにするよう指示しても、そうした事業会社はスルーする。なぜなら未上場だからだ。

よって、そうした事業会社の従業員の女性の比率や、男女の賃金格差が公表されることはない。



今回の映像を観て、一見すると、安定した大きな会社に見えるけれど、その実態は開示されることのない事業会社であるということを思った。

もちろんガバナンスが効いているかどうかもはっきりしない。

それが未上場会社の見えにくさだ。

ホールディングスは大きくてクールなイメージかもしれない。

けれど、そこで働く人の権利がどれほど守られるかは不明だとも言える。


この続きは次回につづきます。


※最後までお読みいただきありがとうございました。


※スタエフでもお話ししています。

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