「子どもの数」は社会の答え
日本の女性は子どもを産まなくなったといわれる。
ただ韓国では女性が本当に子どもを産まなくなった。
一人の女性が何人子どもを産む?
合計特殊出生率なんて言葉がよく使われる。それは15~49歳までの女性の年齢別出生率を合計したもの。
その合計特殊出生率、国の人口を維持するるために必要な数は2.06以上といわれている。
ところがABCニュースによれば、日本の合計特殊出生率は2020年には1.33で、このままでは人口が確実に減る。
同年のOECD加盟国の平均は1.59。こちらも決して高くはないけれど、それでも日本が特に深刻な状況にあることがよくわかる。
出生率と高齢者問題
けれどより深刻なのが韓国。
韓国の合計特殊出生率は2022年には0.78にまで落ち込んだ。その前年が0.81、減少に歯止めがかけられずかなり深刻な状況だ。OECD加盟国の中で唯一の1未満の国なのだ。
だから韓国はこれから確実に、そして急速に人口減少が進む。
内閣府は、日本の高齢化率は2020年に28.8%、2060年には約38%になると推測する。2060年には国民の約4割が高齢者ということだ。
これはお年寄りが増えるというよりは、子どもの数が減り続けているということ。
それでもこの高齢化への猛スピードを、韓国は2050年に抜き去り世界のトップに躍り出る。もちろんその原因は出生率の低さだ。
産まない理由
じゃあ国はただ傍観していたのかといえば、韓国政府は毎年何十億ドルもの育児補助金をだしている。
それなのに歯止めがかからない。
ABCニュースによれば、韓国でも子どもを持つ前提条件に結婚があるけれど、その結婚が難しい。理由は住宅費の高騰と教育費の高騰。小手先の補助金ではどうにもならないほどの負担を若者が、そして親が負う社会。
わたしはかつて暮らした香港で韓国女性と知り合い、互いの家を行き来し、共に子育てをした。そんな中、今でも鮮明に記憶に残る言葉がある。それは「子どもが可哀そう」というママの言葉。今から30年程前の話だ。そんな頃から韓国では厳しい受験戦争があった。
さらに儒教の教えが沁み込む社会でもある。それは単なる学問ではなく、まるで宗教のように強い。女性は男性を、目上の人を敬わなければならないという暗黙のルールがある。だから女性は我慢する方に追いやられてしまう。儒教とはそうした学問だと思う。
世界で一番子どもを産む数の少ない国、韓国がそんな国になってしまったのには深い理由がありそうな気がする。
性別役割分担
女も働け、活躍してほしいといわれ続け、ようやく女性も働ける環境が整い始めている。けれど、日本もまた合計特殊出生率が上がらない。
出生動向基本調査(2021)によれば、未婚男性の約5割が結婚相手に経済力を求めている。つまり妻にも働いて欲しいのだ。ところが、女性に対して「家事・育児の能力や姿勢」を9割以上の未婚男性が求めているのだ。
つまり、経済的には支えて欲しいけれど、家の中のことはちゃんとやって欲しいという未婚男性の心の声を表すのがこの数字だ。
今でも日本の共働き夫婦は家事育児を女性が担う。一日の平均家事時間は妻が178分、夫が22分。
いったいどういうつもりなんだろう。
おわりに
日本の企業も変わろうと、動きはじめている。
日本ではかつて企業が、妻が夫を支え、夫は家のことも子どものことも忘れて仕事に打ち込める環境を作り上げた。けれど今ではそんな企業は古臭く、人気がなくなった。
どんなに社会で活躍していても、時間もエネルギーもそこにしか注いでこれなかった男性たち。けれどそうした人に本当の優しさがあるのだろうか。本当の優しさとは待つこと、育てること、見守ること、自分の貴重な時間を誰かのために惜しげもなく提供すること。そうしたことを学べるのが実は育児や毎日のルーティーンである家事時間だと思う。
子育てや家事を夫も同じようにする、そんな日が来た時、この国はきっと大人の社会になる。今はまだ成熟した社会とはいえない気がする。
※最後までお読みいただきありがとうございました。
※スタエフでもお話ししています。
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