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主婦の優遇制度の賞味期限問題を考える


106万円と130万円の「壁」問題

政府は、主婦のパートの働き方を改善するために、企業に対する助成金の支給やその他の対策を講じる準備をしています。現在問題になっているのは、企業がたとえ賃上げをしても、人手不足の解消にはつながらないという点です。その理由は、賃金が上がったパートの主婦が、賃金上昇額だけ、働く時間を短縮するためです。短縮する理由は、被扶養者でい続けたいからです。

けれど、問題は、主婦が被扶養者でい続けることを選択する今の状況にあります。

働く人が扶養を外れる「106万円の壁」に達した場合、そこから先、主婦の手取りは目減りし、年収が約125万円を超える頃まで感覚としては働き損になります。その目減りした金額は、子どもの習い事ができなくなるほどの額ですので、家庭にとっては深刻な問題です。

ですから、国は、その目減りする金額を補おうと動きはじめました。具体的には、賃上げした企業に、従業員1人当たり最大で50万円を助成するというものです。ただし期限付きです。

こうした「壁」問題で常に語られるのは、主婦の意識問題です。せっかく賃上げしてもそれが女性たちの働く意欲に繋がらない、その原因は主婦の優遇制度にある、つまり主婦は保護されることを望んでいるという論調があります。

けれど、この主婦には「夫」がいます。ではなぜ、世帯がそのような選択をするのかといえば、パートの主婦の年収が上がると世帯収入が減るのです。つまり、「壁」問題は、主婦だけの問題ではないのです。この働き方の選択をしているのは「世帯」である、ということを忘れてはいけないと思うのです。

さらに、この主婦を優遇する制度は、日本の終身雇用制度とセットであるということも忘れてはいけません。これは、1980年代に始まった制度ですが、その同年、日本では「均等法」ができています。つまり、国は、女性に対して、男女平等に働けるようになりますというアプローチをとりつつ、女性には家庭に入って夫を支えてほしいという施策をとっています。そうでなければ、日本が誇る終身雇用制度はこの時代まで続いてはこななったのです。

そうした社会で、今、時代が変わり、主婦の優遇制度のみを悪法として取り除く流れがありますが、その制度撤廃に抵抗があるのには理由があります。一旦主婦になった女性は被扶養者として優遇制度で保護される代わりに、労働市場には入れてもらえていないのです。社会には今も公然と「主婦枠」があり、一度主婦になると女性は、低賃金で昇給昇格もない働き方から出ることが出来ません。しかも、そのパートで働く主婦の大半が企業で就労を経験したスキルの高い人たちです。

主婦が得をしているといわれる社会ですが、実は主婦は保護されると同時に、働く権利を奪われています。だからこそ、夫との離婚や、夫の病気や、夫の死で、主婦はたちまち生活に困窮します。働く場がそもそも奪われているのです。

一番の問題は、主婦が未就労者と同じ条件で何年も働かされることです。賃上げをしたというのは、パート賃金の賃上げです。これを一般の就労者と比較すると恐ろしく賃金格差があります。この賃金格差を無くして行かない限り、主婦が働き甲斐を感じることは難しいのです。これは当事者としての意見です。

時代が変わり、制度を見直すというのであれば、主婦枠という働き方が同一労働同一賃金から除外されている働き方であることに目を向けていく社会であって欲しいと思うのです。


※この問題は大変重要な問題だと思っています。昨日も同じような記事をアップしています。


※最後までお読みくださりありがとうございました。


※現在、女性の働き方を変えるために起業し動き出そうとしています。もし、ご興味のある方はコメント欄やHPのお問い合わせ蘭からご連絡をいただけると嬉しいです。


※スタエフでもお話ししています。

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