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「こども家庭庁」が目指すものと、わたしたちが望むこと


いきなり誕生した感のあるこの庁、またまた官庁が複雑化しただけなのでは?と思ってしまう。

そこで、いったいこの庁が何処を目指し、わたしたちはなにが望めるのか、考えてみた。




どこを目指してる?

さて、この庁の発足と時を同じくして法律ができている。それが子ども基本法

この法律は2022年6月に国会で可決立し、2023年5年4月1日に施行された。これは、

国や自治体に子どもたちの意見を関連政策に反映させるよう義務付けたもの
日本経済審2023年4月4日「こども家庭庁本格始動」より


子どもは権利を持つ主体

この法律、少し唐突にできたように思えるけれど、unicefによれば1989年、第44回国連総会で子どもの権利条約が採択されている。で、日本も1994年にそれを批准。それは、世界中すべての子どもたちがもつ権利を定めた条約で、世界で最も広く受け入れられている人権条約。そこでは、子ども(18歳未満の人)が権利をもつ主体であることを明確にし、子どもがひとりの人間としてもつ様々な権利を認めるとしている。日本の子ども基本法はそれに沿ったものだということ。

そして、この法では子どもたちの意見を関連政策に反映させるよう義務付けている。

子どもにも意見がある

この国では、長い間子どもには意見が無いものとして声が消されてきた。生意気だとか、子どものくせに、そんな言葉で相手にされなかった。

その典型的なものがブラック校則だろう。この法では、こうした校則や児童館運営の在り方など、子どもの意見にも耳を傾け、その声を国や自治体に反映させることを義務付けている。

なにしろ、2000年に総人口の18%だった18歳未満の人口は、2021年には14%まで減っている。これでは少数派の子どもの声はかき消されて行く。

そう、こども家庭庁が目指すのは、未成年であり、少数派である弱者側の声を救い上げること



わたしたちが望むこと

そして、この庁のキーワードは「こどもまんなか社会」。だから、少子化対策だけでなく、生まれる前からの切れ目のない支援をしていくという。

縦割りだった様々な事柄をこの庁で仕切っていくということのよう。

なかなか手ごわそうだけれど、それでもこの庁は他の省庁に政策の是正を求める勧告権があるという。


どんなことをするの?

こども家庭庁組織体制の概要にもあるように、全体が3つに分かれていて、官僚以外の外部の人員も参加する組織なのだという。その3つの主な内容は、

◇政策の企画立案や情報発信

◇妊娠・出産の支援、母子保健、就学前のこどもの相談対応や情報提供、こどもの居場所づくりと安全

◇困難を抱えるこどもや家庭に対する包括的支援、児童虐待防止対策、社会的養護の充実と自立支援、貧困対策、ひとり親家庭や障害児支援、いじめ防止など


やってほしいこと

給付
日本の児童への現金給付はカナダやイタリア、イギリス、スウェーデン、フランスなどに劣る。このように大きな政府の現金給付は手厚い。けれど日本では教育費が家庭に重くのしかかる。逆に、小さな政府のアメリカでは手厚い支援はない。国が家庭に踏み込まないのがアメリカ流。ただ男女平等が進んでいる。

韓国も今少子化が恐ろしく進んでいる。両国には、大きな政府のような補助が少なく、小さな政府のようには男女が平等が達成されていない。

つまり、どちらも足りていない日本や韓国では、子どもの教育費が親の責任で、社会は平等でない。だから一度家庭に入ると女性がなかなか社会復帰出来ない。

日本には学童が終わる小4問題がある。韓国には受験に向けて塾などの送り迎えがはじまる小1問題がある。どちらも女性が働き続けることが困難だ。だからせめて現金給付は充実させてほしい。

幼児の義務教育化と労働時間
こども家庭庁のトップは元厚労省の方。であれば是非ともフランスの政策を見習ってほしい。

髙崎順子氏によれば、フランスでは幼児教育は義務化されている。すべての子どもがまるで小学校のように通園し、親は残業せずに子どもをお迎えに行き、そのまま家に帰る。幼稚園の先生方も母親だから残業せずに家に帰る。シンプルだ。それは子どものことを社会から切り離していない考え方だ。

子どもは社会の中の一員だ。父親と母親が共に残業なしで家に帰ると、子どもだって産みやすい。ここで必要になのは厚生労働省の働きかけ。残業をしない社会は子どもが育ちやすい。とてもシンプルな話なのだ。

トップが元厚労省、わたしはそこにこの国の働き方の変化を期待したい。


おわりに

どうせ変わらない、変わるはずがない、そんなことを幾度も言われてきた。けれどそれじゃ駄目だと思う。どうせ変わらないのに理想ばかり、なんて言っていってちゃ駄目なのだ。だってわたしたちは当事者なのだから。

今は少子化で国のお尻に火が付いている。だから今こそ一人一人が必要なものをきちんと声に出していきたい。何が必要かを一番わかっているのは当事者なのだから。

※参考図書

『フランスはどう少子化を克服したか』髙崎順子 2016 新潮新書


※最後までお読みいただきありがとうございました。


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