見出し画像

ミニマルミュージック - スティーブ・ライヒ

久しぶりにスティーブ・ライヒを聴く。

これ何だったかなあ。
25年くらい前ですかね。
90年代前半から中半あたり。
坂本龍一にハマってたんですよ。

また96年~97年くらいになると2ch(2ちゃんねる)全盛期でね。

95年にWindows95が出てから一気にインターネットが広まった時代。

初めて匿名掲示板というのに触れ、
その中でも坂本龍一スレをよく覗いてました。

そんな時、コテハン(固定ハンドル)の一人が、
「坂本龍一なんてスティーブ・ライヒ(以下ライヒ)に比べたら屁のようなもんだ」
みたいな事を言ってたんですよ。

当時、坂本龍一も全盛期で、
アルバム「1996」を出したばかりだったんですね。

そのアルバムは今までの作品をトリオ(ピアノ・チェロ・バイオリン)バージョンにしたベストアルバム的なものだったんですが、
その中で新曲として「1919」という曲が収録されてたんです。

これがまたすごい衝撃でね。

ミニマルミュージックというものに初めて出会った瞬間でした。
ミニマルミュージックというのは、
要は短いフレーズを何度も反復させるというもので、
まあ聴いてもらったらすぐに分かるんですが、
どこか機械的な色をしているんですよね。

「バッハ的だ」なんて声もありましたが。
言われてみればバッハも機械的(論理的)ですよね。

それで、コテハンの話に戻りますが、
その人も1919聴いてたんでしょうね。
ミニマルとしての坂本龍一は、
ライヒに敵わないみたいな事を書いてたんですよ。

当時1919にめちゃくちゃハマってた(ハマりすぎて学生時代、大学のフィルハーモニーのバイオリンとチェロ奏者を巻き込んでライブをやったぐらい※私はピアノだった)私は、
じゃあどんなものか聴いてみようかと思った訳です。

それで、どうだったかなあ。

どうも記憶があやふやなんですが(なにせ25年くらい前なもんで)、
誰かに、
「ライヒを聴くなら『18人』がいい」と言われたんですよ確か。

で、早速CDを買って(こんなマニアックなCD、レンタル屋に置いてなかった!。買うにもその辺のショップでは売ってなくてタワレコかどっかの大規模店に行ったはず)聴いたわけです。

「18人」というのは、その時は知らなかったんですが、
ライヒの代表作である、

「music for 18 musicians(18人の音楽家のための音楽)」

という曲です。

まぁ驚きましたね。

これがいわゆる本当の(?)ミニマルミュージックなのかと。
音楽というよりパルス(信号)です。
電気的な信号。

これに比べると坂本龍一の1919は抒情的でずっと音楽している。

ライヒの曲は、
それこそ機械の音というか、
使ってる楽器はアナログ(ピアノとか木琴が多い)なんですが、
コンピュータミュージックみたい。

人の声も入ってるんですが、ボーカルというより純粋なサウンド(音)として使われている。

管楽器(フルート系)のような、完全に楽器扱い。
何かの鳴き声のようにも聴こえる。

多くの楽器(数えてはいないんだけど実際に18人で演奏してるんだろう)が同じようなパルスを演奏するんだけど、
それがまた複雑な層を構成している。

非常にデジタル的で、多人数演奏のため迫力のある音楽なのですが、

まぁ、なんというか、途中で飽きます(笑)

迫力のある5曲目(というかトラック5。全部つながってるので曲として分かれていない)とか大好きなんですけどね。

うーん、音楽として聴くというよりは、
完全にBGMな感じですかね。

これを聴くには、受容体(頭の中の聴く部分)をちょっと特殊な位置に持っていかないといけないんじゃないかなというか。わかりにくいですかそうですか。

いずれにせよ、
この曲を聴いた時の私の感想は、
「ミニマルミュージックとしてはライヒの18人の方がよりストイック(純粋)かもしれないが、音楽として聴けるのは坂本龍一の1919の方だ」
でした。

18人はライヒデビューとしてはかなり敷居が高い気がします。

私はそれと同時にライヒのベストアルバム(タイトル忘れた)も買ってたので、それも聴いてました。

その中で一番印象に残っている曲、
同時に、初めてライヒを聴こうとする人には一番おすすめしたい曲は、

Electric Counterpoint(エレクトリックカウンターポイント)

です。

3楽章から成っており、
ベスト盤に入ってたのは第3楽章のみですが、
「ディファレント・トレインズ/エレクトリックカウンターポイント」というCDアルバムには全曲入ってます。

今では第1楽章の方が好き(昔NHKスペシャルで使われてたけれど、誰もタイトル知らなかっただろうな。それくらいマニアックな曲です)なんですが、
初めて聴く人には第3楽章がお勧めです。
(というか第1楽章はめっちゃパルス的)

第3楽章をおすすめする理由は、

とにかく聴きやすい!

ギターだけを使った曲なんですが、
ライヒには珍しく、
パルスではなく、
すごい音楽音楽してます。

そしてカッコいい!
初めて聴いたときは衝撃を受けました。

寝て聴いて良し、ドライブ中に聴いて良し。
特に夜の繁華街とか高速を車で走ってるとき、
陶酔というか、その空気感に浸れますね。

3曲だけ聴くにはCDはコストパフォーマンスが悪い(カップリングされているディファレントトレインズはものすごいサウンド的なのであまりお勧めしない)ので、
例によって最初はYouTubeで聴いてもいいかと思います(いい時代だ……)。

それでもし気に入ったら、
ぜひライヒの最高傑作(同時にミニマルの代表作と思う)の18人に入ってみて欲しいと思います。

(追記1)
ちなみにジャンル的に何になるかというとクラシックに入るっぽいですね。
「Six pianos」という曲(YouTubeで探したらライブ盤があるのか!エレクトリックカウンターポイントもある。よくライブでやろうと思ったなー)はクラシックの有名なレーベル(名前忘れた)から出ていました。

(追記2)
大学を卒業した後、ずっと聴いてなかったのですが、
数年前に久しぶりにYouTubeでライヒを見て、
その時聞いた「Quartet」という曲が最近のお気に入りです。

この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?