ゲイ的おすすめ本②

「塚森裕太がログアウトしたら」/浅原ナオト

去年NHKで制作されたドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る」の作者さんが書いた物語です。


「俺は、同性愛者です」
高3のバスケ部エースがSNSでカミングアウト。彼の衝動は思わぬ波紋を広げ……。ドラマ「腐女子、うっかりゲイに告る」の原作者、待望の最新作。「登場するすべてのひとの気持ちが胸に迫って、読みながら必死に声援を送りました。たぶん誰もが、この小説のなかに「自分」の姿を見いだせるはずです。」三浦しをん氏推薦!高3のバスケ部エース・塚森裕太は自分がゲイだとInstagramでカミングアウト。それがバズって有名に。このカミングアウトが、同じ学校の隠れゲイの少年、娘がレズビアンではないかと疑う男性教師、塚森を追いかけるファンのJK、塚森を崇拝しているバスケ部の後輩へと変化をもたらしていく。そして塚森自身にも変化が表れ…。作り上げてきた「自分」からログアウトしたら、「本当の自分」になれると思っていた――痛みと希望が胸を刺す青春群像劇。

それぞれ5人がつながっていて、非常に読みごたえがありました。世の中にはたくさんの人がいますから、中にはゲイに恋してしまった女子や、どうしてもLGBTQを受け入れられない人がいると思います。

そのような人たちの心の葛藤も書かれており、単にLGBTQをすんなりと受け入れられない人たちの心境が書かれていて、僕自身「やっぱりいきなりカミングアウトされたり、好きな人がゲイって知ったらショックだろうな...」と思いを馳せてしまいました。

また、主人公は高校生とは思えないほど大人びていて利口ですが、それは主人公の強烈な自己否定の果てに作り上げられた虚像でした。それを見抜いた部活の顧問は


「世界中がお前を認めたって意味がない。大切なのはおまえ自身がお前を認められるかどうかだ。」


といいました。この本はLGBTQが大まかなテーマとなっていますが、本当の自分とは?と思い悩む思春期の青年たちにも是非読んでほしいと思いました。

途中、主人公がゲイであることを受け入れられない後輩が、主人公に放った言葉は僕にもグサッときました。あんなことを目の前でいわれたら僕は泣いてしまうと思います。

カミングアウトとは、周囲との関係の再構築の始まりであって、終わりではなく、またカミングアウトは周囲の人に大きな影響を与えることがよく分かりました。

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