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黒ヤギと白ヤギ 下

春がやってきそうな、まだ寒い日、セラは今まで描いた絵をまとめていました。

「何してるんだ?こんな寒いときに」
寝ぼけ眼のコリートが言いました。
「もう少ししたらクマのおじさんがこの絵を買い取りにくるの」
「こんな大きいもの、沢山…家から出せるのかい?」
コリートが心配していると、セラは玄関の前の壁の数カ所に手をかける度にカチカチと音が鳴りました。

そして、最後に手をかけた場所から手を離すと、壁がバタンと倒れました。
「これはすごい」と感心するコリート。
「作ったのは私じゃないけど、作り方を教えたのは私だから」
セラはそう言うと、せっせと家の外に絵を運んだ。

「セラ・クリスタも本当の名前じゃないの。好きな画家からとったものなの」
作業中に何度かセラとコリートは会話をした。
「知ってるよ。ギー」

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