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短歌

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ウメガカが詠んだ短歌です。
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#短歌

短歌まとめ(2024年10月)

自選短歌5首 「血の痕を今もご覧になれますよ!」 ウキウキの観光ガイドさん 思ってたよりも近くに朝がいて隠れるように布団をかぶる 置き配でいいと今すぐ伝えたい 便座からまだ離れられない エンタメのエの字もないのか君の辞書 戻ってくるから心配するな 内臓をゆさぶるようなくしゃみした ぼくの体に冬がまた来る そのほか10月に詠んだ短歌 バルサンを焚いた途端に咳き込んだ僕の方こそ害虫でした コシヒカリ(新米)二キロ二千円 ぼくの町にも秋が来たのだ コシヒカリ(新米

【短歌】投票用の手紙が届く【日記】

生きている価値ないと落ち込んでても投票用の手紙が届く  届いてしまうんだよなこれが。  投票用の手紙、いわゆる投票所入場整理券のイメージで詠みました。  あれって、送る側の人は多分事務的に送ってくれてるだけだと思うんだけど、こういう時、ちゃんと一人の人間としてカウントされている感じがする。私も投票できるんだね。人間の社会にいていいんだね。よかったね。  私は数日前に期日前投票したよ。投票できる人は投票に行こうね。 【追記】  投票用の手紙、無くても投票できるらしいで

【短歌】そういう夜にも飯を食うのだ【日記】

 2億回クソがと叫んで飯を食う そういう夜にも飯を食うのだ  得意料理というほどのものじゃなくても、「適当に作れて、自分がそれなりに満足できる料理」があると、人生って若干ラクになるような気がする。  「適当に作れる」だけではダメで、「(味やコストや片付けの手間も含めて)自分がそれなりに満足できる」とこも含めて大事というか。人生って、クソみてえな日でも、飯を食って寝ないともっとクソになってしまうし、それなりの満足感が無いとよく寝れないし。  というわけで私の「それなり料理

短歌まとめ(2024年9月)

自選短歌5首 郊外のイオンの隅で目が合った去年のきみを連れて帰った 地に足がつかないように厚底の靴で歩くのわたしは天使【題『靴』】 水道の水が冷たい ひきこもるぼくの家にも秋が来たのだ【題『秋』】 やさしさは有限やねんで やわらかき赤えんぴつの芯をとがらす【題『赤』】 かさかさの畳はひだまりのなごり かつてあなたがここにいたこと そのほか9月に詠んだ短歌 地に足をつけられなくて厚底の靴で歩いた川辺の天使 なじませてすすぐだけです 憧れて思い知るまで30秒です

【短歌】エンターテイナー属性っていいよね【日記】

エンタメのエの字もないのか君の辞書 戻ってくるから心配するな  シリアスなダークファンタジー等創作作品の話なのですが、危機的な状況で、仲間のために危険な役を買って出るキャラが好きです。  そういうキャラがエンターテイナー属性だともっと好きだし、萌え〜〜になるので詠みました。  危機的状況すら自分を魅せるための舞台だと思っていたり、みんなの悲しい顔は見たくないと思っていたり、せっかく自分が命を賭けるんだから楽しんでくれなきゃ困ると思っていたり。  そういうの……良くない

【短歌】推しカプの解説資料なら作れます【日記】

はい教官、自分やれます、推しカプの解説資料なら作れます  今回は、「推しカプ(推しコンビ、推し関係性、推し組み合わせ)のプレゼン資料作るのマジで楽しいな~〜」って気持ちを短歌にしてみました。人生には、こういうことだけ考えていたい日があります。  というわけで、自分のオタク人生を振り返り、今まではまってきた関係性についての解説資料を作ってみました。  オタクの「やっぱこういうのが好きなんだよな」を感じていってください。 その1  本当にこういう二人に弱い。関係性を言い表

短歌まとめ(2024年7月,8月)

自選短歌5首 見たかった動画の前のCMできみと出会って未来が狂う 現代の同音多義語「♥」には「大好き」も「は?」も込めれていいね 推しの推しは推しなんだよな 僕たちが収束してく先のろふまお 落とし物じゃないな眉がよれているこのこもだれかの家の推しぬい 主人公にはなれなくてぴかぴかの靴の踵を砂利に沈める そのほか7月、8月に詠んだ短歌 長尺の動画の中のCMにきみが出てきて、…何見てたっけ? 「遅くない? 今更推すの?」 「見つけたのは今なんだから仕方がないね」

【短歌】去年のきみを連れて帰った【日記】

郊外のイオンの隅で目が合った去年のきみを連れて帰った  今週もお疲れ様でした。  最近は記事をあまり書けていなかったのですが、今日は短歌を詠んでみたので、日記を書いています。  ここ2週間ほど「つぶやき」機能でお茶を濁していたのですが、そろそろ書かないと復帰できなくなる気がしました。一回やめると再開するのがキツくなる……。日記って長距離走に似ているかもしれません。  さて、今回の歌は(今回の歌も?)オタクの日記です。  ショッピングモールの片隅で、去年の推しのグッズを見つ

【短歌】このこは私の家の推しぬい【ぬい撮り】

落とし物じゃないな眉がよれているこのこもだれかの家の推しぬい  落とし物として届けられるぬいに想いを馳せてみました。  勿論、ぬいぐるみが落ちていたら、落とし「物」なんだけど、いざ拾っちゃうと物扱いするのは忍びないな〜なんだか切ないな〜って気持ちになるだろうなって気持ちで詠んでます。  ところで、今回の記事のヘッダー画像に写っているのは、うちのドータクンぬいです。  それから、写真の場所は、近鉄鶴橋駅です。  そう、近畿の民ならお察しかもしれませんが、近鉄鶴橋駅には

日常と性癖の短歌集【自選100首】

初めまして、ウメガカと申します。 普段は「日常と性癖(と、推し活)」をテーマに短歌を詠んでいます。 今回は、今までに詠んだ歌の中から、お気に入りのものを100首選んでみました。見ていってもらえると嬉しいです。 よろしくお願いします。 偏愛短歌 カチカチのフォカッチャ食べた月曜の朝のことすら愛おしかった 不器用なままでいてよね身勝手な願いを込めて髪を編み込む 「晩ごはん何食べるん?」への回答は電子レンジのチンじゃとけない ずぶ濡れのわたしの前に現れた明いたき火のような

推しの推しは推しなんだよな 僕たちの収束してく先のろふまお

短歌まとめ(2024年6月)

6月に詠んだ短歌 語りたい語るほどでもない言葉 ニコニコ動画に放流してた【題『自由詠』】 十八時半あまやかに翳る空 わたしの「今日」はいつもここから【題『八』】 ひきだしの底の日記とキスをした タイムマシンがあればいいのに  6月も歌を詠みました。  上2作は「うたの日」様のお題に投稿した作品でした。題詠はやっぱ楽しいな。題に沿って短歌にする過程で、私の記憶や主観は雑味を削ぎ落とされ、少しづつ私を離れていく。できあがった歌を後から読み返して、ひとごとのように「いい歌だ

短歌まとめ(2024年5月)

5月に詠んだ短歌 テトリスだけ上手くなったよ 「生きてたくない」と「死にたくない」の隙間で これからも死にぞこなって生きていく 割れてる爪にマニキュアを塗り 「生きてたくなかった明日」は来ないかも 今日は眠ろうそれだけでいい  5月に詠んだ歌は、なんとこの3首だけでした。自分の体感ではもっと詠んでいたつもりだったので、 「え!? そんなはずは……!?」  と、メモアプリの中を隅から隅まで探しても、やはり3首だけなのでした。人間の記憶ってアテにならないですね。  それ

【新刊】つぶやきおよびさけび2【日常と性癖の短歌集】

 文学フリマ東京38に参加された皆さまお疲れさまでした……! 残念ながら私は今回参加できなかったのですが、イベントにあわせてネットプリントで新刊を作ってみました。ほら、何らかの締切が無いと本って作れないので……。 新刊内容  日常と性癖を詠んだ短歌、あるいはツイッターにへばりつく怨霊の独り言のような短歌が多数載っている短歌集です。直近1年間に私がインターネット上で発表していた歌のほぼ全てを収録しています。いろいろな感情が入っているのでお得です。よろしくお願いします。 新