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ぶー、お空へ 2

2020年

1月。
体重はとうとう2.5キロに。以前と比べると約半分だ。
昨年からあまり聞こえなくなっていたが、この頃から目もよく見えていないようだった。2週間おきに通院。

2月。
失敗したと思ったのは、この2月に病院に一度も行かなかったことだ。前回通院時に薬を1カ月分もらい油断した。1カ月分の薬=1カ月病院に行かなくていい、ではないはずだ。なのに気が緩んだというか。
この間、ぶーちゃんは脱水を起こしていたようだ。
悔やんでも悔やみきれない。

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毛布に溶け込む

3月。
体重は2キロをきりだした。あばら骨が浮き上がり、生きているのが不思議なくらい。通院は元気がなくなったと思ったらその都度行き、点滴と注射。ご飯は回復期ケアのA/D缶に切り替える。

2日に病院に行ったとき、「食べないんです」と伝えると、先生が手の平にA/D缶を載せて練り練りして、「食欲が落ちたらこんな風にしてご飯を温めてあげるといいです」と実演してくれた。それをおいしそうに食べ、3度もおかわりするぶー。なーんだ、ご飯を温めたらよかったのね。これならまだ1カ月ぐらいは大丈夫かなと思う。

9日と12日に病院。
点滴、注射。歩くとふらふらするようになる。食欲もなくなり、水を飲むのも苦しそう。大好きな猫用牛乳も口にしなくなる。

13日。
ここ最近は庭に出なかったのに、この日は出た。しかも5段ある階段にも登る。「すごいじゃん、このまま元気でいてくれるかも」。そう思ったが、それは全く間違っていた。

14日。
朝から様子がおかしい。起き上がったと思ったら、ふらついてすぐに倒れてしまう。真っ直ぐに歩けない。斜め歩きになってしまう。
普段、ぶーはペット用ホットカーペットを敷いたベッドに寝ていたが、ふらふら歩いて一生懸命わたしの布団に入ろうとする。
これはかなり危ないかも……。
この日は家事をする以外、ずーっとぶーちゃんを抱いていた。

お昼過ぎ、息が変だ。呼吸が浅い。苦しそう。
もうお水も飲まない。立ち上がることもできない。おしっこは垂れ流しで、量も少ない。
夕方になると、肩で息をしだした。口は少し開いていて歯が見える。顎が上がっている。
夜。息が今までになく大きく聞こえる。「すー、はー」。とてもしんどそうだ。私に何ができるのか。ネットで検索することも忘れて、ただソファに座り、ずーっとぶーを抱き続けた。

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お空に行く10分前

22時。
ぶーは、一度大きく息を吐く。
「ふーっ」
首がガクッとうなだれた。

「ぶーちゃん、ぶーちゃん!」
呼んだって生き返らないのはわかっているのに、どうして名前を何度も呼ぶんだろう。
「おーい、ぶーちゃん!」

そうだ、ぶーの目を閉じないと。
死んだら猫の瞼は開いたままだ。ちびのときもそうだった。
次に箱を探す。かたく絞ったタオルで体を拭く。体を少し折り曲げて箱に寝かす。
あっという間に硬直する体。温かかった体がどんどん冷たくなっていく。
そんな待って、えーっと、そうそう保冷剤をお腹におくんだったな、保冷剤保冷剤……。体には真っ白なタオルをかけた。

18歳と8カ月は一般的的にはご長寿と言われるが、飼い主にとっては超ご長寿ぐらいでちょうどいい。長生きでよかった、とも思えない。めちゃくちゃ長生きでないと意味がない。傲慢にもほどがあるけれど。

ご飯がほしいときには、ちょっと首をかしげ、台所の隅でずーっと黙って座って待っていたぶー。要求はつねに控えめだが、ご飯は2〜3日おきに変えてほしいと強く主張していた。猫用牛乳やヨーグルトが大好きで、私のことも大好き。いつも穏やかでおっとり。まるで春の日差しのようなコでした。

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