ゼロから始めるメタバースイベント運営:成功する集客戦略と実践ガイド1
はじめに
ご覧いただきありがとうございます。clusterやVRChatで「uMe店長」として活動しています。2022年からメタバースイベント運営をはじめて母体となるmxizmを立ち上げました。毎週水曜日にDJイベントを2年以上にわたり開催して累計で30,000人以上の動員を達成しました。代表的なイベントとしては初期から1年半ほど運用「水曜日は踊りたくなるじゃない」、参加者が段ボール箱や看板などの物なアバターとしてかくれんぼを楽しむ「アバターかくれんぼ」、8日間に及ぶ大規模夏フェスSTEREOPHONICなどがあります。夏フェスは2年連続の開催となりプラットフォーム運営会社が驚いていたなどの話もあるほどの規模となり特に高い評価を受けました。これらのイベントを通じて、リアルタイムでの参加者とのインタラクションやSNSを活用した集客に成功し、イベントの魅力を最大限に引き出す方法を培ってきました。
本ガイドでは、これまでの実績を活かしてゼロからメタバースイベントを企画し、成功に導くための具体的なステップをお伝えします。全8章にわたって、イベント運営の基礎から集客戦略、リアルタイムでの参加者とのインタラクションの方法まで、実践的な内容をお届けします。
1. メタバースでイベントを開催する意義
物理的な制約がない
メタバースでは、リアルの場所や時間の制約がなく世界中から参加者を集めることが可能です。どこにいてもインターネット接続さえあればイベントに参加できるためアクセスのしやすさが特徴です。創造力を無限に発揮できる
現実の制約に縛られないためファンタジックな空間や異次元的なデザインを作り出すことができ、リアルでは実現できない世界観を提供することが可能です。例えば、空中に浮かぶステージや、瞬時に変わる風景なども自由自在に演出できます。リアルタイムの双方向性
リアルタイムで参加者とやり取りができるだけでなく、インタラクティブな体験を提供できる点が大きな特徴です。参加者がアバターを通じてイベントに積極的に関与することが可能でただ観るだけでなく参加するイベントとしての価値が高まります。コストと時間の削減
物理的なイベントに必要な会場のレンタル費用や設営、運営スタッフの手配などが不要で費用や準備時間を大幅に削減できます。確実にゼロとはなりませんが、私のやった夏フェスを現実世界でやろうとすると会場の使用料だけで3桁4桁万円になるでしょう。同時に費用を回収するハードルが下がります。これにより小規模イベントからでも手軽に実施が可能となります。
2. メタバースとリアルイベントの違い
物理的接触の欠如
リアルイベントでは実際の空間で他の参加者と直接的な接触や物理的な交流が行えますが、メタバースではアバターを通じての交流となり感覚的な部分が異なります。ただし、これは逆に気軽に参加できるという利点でもあります。技術的な要件
リアルイベントは会場の設営や音響設備などの物理的な準備が中心ですが、メタバースでは高品質なネットワーク環境やコンピュータスペックが重要になります。また、デジタル空間でのバグや遅延のリスク管理が必要です(このあたりはプラットフォーム開発側が日々改善してくれるので活動に最適な場所を見つけるのが近道だと思います)インタラクションの方法
リアルイベントでは目の前の参加者の反応を直接感じることができるため会話や演出がそれに応じて変化しますが、メタバースではアバターやテキストチャット、エモーション機能などを使ってインタラクションします。このため参加者の感情や意見を把握する手法が異なります。また使うプラットフォームによって実装されている機能の違いや文化の違いによってイベント運営側が感じる参加者の感情が(印象的)に差があったりもします。空間と時間の概念が違う
メタバースでは、会場の制限なく無限に広がる世界を構築できる一方、リアルな会場には限界があります。また、時差の問題も物理イベントでは課題になりますが、メタバースではグローバルなイベントが時間を問わず開催可能です。
3. このガイドが目指すゴール
メタバースイベントの成功に必要なスキルを身につける
このガイドは、メタバースイベントの企画、集客、運営の基本を網羅し、初めてイベントを開催する人でも安心して取り組めるような知識を提供します。リアルイベントからメタバースへの「ローカライズ」に焦点を当て、現実で成功したイベントコンセプトをどのように仮想空間に適応させるかを学べます。メタバースでの集客を成功させるためのマインドセットを得る
リアルタイムでのインタラクションを通じて、参加者が積極的に関わりたくなるような集客方法と、そのための心構えを身につけます。イベントの「ただ開催する」から「参加者と一緒に創る」形に進化させるためのヒントを提供します。
2023年終わりくらいまではコロナ禍もありリアルの代替えとしてのイベントや体験が求められました。2024年はじめからはリアル回帰が進みメタバース+現実の融合体験が人気となってきました。どうしてメタバースでイベントをやるのだろう?が問われる時代に、参加者が一緒に作るイベントが答えの1つになると感じています。失敗を回避し、長期的にイベントを成功させる力をつける
集客がうまくいかない原因やその解決策を具体的に提示し、失敗から学ぶことができる方法論を解説します。また、継続的なイベント開催やコミュニティ構築のための方法も提案します。
第1章: なぜメタバースでのイベントが成功するのか?
1. メタバースイベントの特徴と強み
空間と時間の制約を超えたアクセス
メタバースでは、物理的な場所や時間に縛られないため、どこからでも参加できる点が最大の強みです。国境や地域、時差を超えて多様な参加者を集めることが可能で、世界中の人々に対してアクセスが広がります。実際、私は北の田舎である北海道に住みながらイベントを開催しておりました。居住地を明かすまでは東京でIT関係の仕事をしていると勘違いされいたこともありました。現実を超える創造的な空間の演出
現実ではできないようなクリエイティブな世界観を簡単に演出できるのもメタバースの魅力です。例えば、宇宙や海底、ファンタジーのような非現実的な空間を作り出すことができ、参加者に没入感を与えることができます。リアルイベントと比較して「どんなことでも実現可能」という自由度が高く、コンセプトに沿った体験を提供できます。参加者の個性を引き出すアバターシステム
メタバースでは、参加者が自由にアバターを選んだり、カスタマイズできるため、自己表現の幅が広がります。このため、参加者同士が個性的なアバターを使ってイベントに参加し、コミュニケーションの形がリアルとは異なる面白さを持ちます。これが新たなエンターテイメントやつながりを生み出す要素となります。リアルイベントよりも低コストでの開催が可能
会場や設備のレンタル、物理的な移動や宿泊の手配などが不要で、低コストで大規模なイベントを実施できます。これは、特に初めてイベントを行う人や、コストを抑えて多くの人にアプローチしたい人にとって、大きな魅力となります。
2. 双方向のリアルタイム体験の力
リアルタイムでの参加者の反応
メタバースでは、リアルタイムで参加者が反応を返すことができて主催者も即座にそのフィードバックを受け取ることができます。アバターを通じたアクションやチャット機能を使うことで、イベントの進行中にコミュニケーションが活発になり、双方向の交流が自然に生まれます。例えば、リアルタイムの投票やゲーム的な要素を取り入れることで、イベントをインタラクティブにできます。歌い手さんなどのはイベント中にこのあたりの機能を利用してリアルよりも活発にフロアと交流してる印象です。アバターを通じた没入体験
参加者がアバターを使うことで、より深くイベントに没入できる体験を提供できます。たとえば、リアルな講演ではなく仮想のキャラクターとしての登場や仮想の空間内での移動が可能になることで参加者はより主体的にイベントを楽しむことができます。これにより、従来の観客としての受動的な参加から、能動的な参加者へと変わり、イベントへの関与度が高まります。リアルタイムのカスタマイズとフィードバック
イベントの途中でリアルタイムに変更を加えたり、参加者からのフィードバックを基にその場でアクションを起こすことができるのも、メタバースならではの魅力です。例えば、予期せぬ状況に応じてプログラムを柔軟に調整したり、参加者のリクエストに即座に応えることで、参加者の満足度が高まります。
3. 新しい時代の集客マインドセット
「観客」から「参加者」へシフトする考え方
リアルイベントでは「観客」としてただ見てもらうことが多いですが、メタバースでは「参加者」として自らアクティブに関与してもらうことが求められます。このためイベント設計自体が「どうやって参加者に楽しんでもらうか」という視点で考えられることが重要です。双方向性を前提に、参加者が自分の存在感を発揮できる仕掛けを用意することで、集客力が高まります。参加者の「体験」を重視した集客戦略
メタバースでのイベントでは、ただ情報を伝えるだけではなく参加者に特別な体験を提供することが鍵となります。ゲーム的な要素を取り入れたりユニークな演出を加えることで、イベント自体が「観に行くもの」ではなく「体験するもの」になるような仕掛けを行います。このような体験が口コミやSNSで拡散され、新たな集客につながります。リアルタイムでの「熱狂」作り
リアルタイム性を最大限に活用し、その場で熱狂的な体験を作り出すことが重要です。メタバースでは、ライブ感を重視した演出や、即時参加できるアクティビティを通じて、参加者のテンションを引き上げることが可能です。たとえば、サプライズ要素やリアルタイムのチャレンジ、参加者間の競争などを組み込むことで、その瞬間にしか得られない価値を提供し、集客を強化します。
メタバースイベントは、空間と時間の制約を超えたアクセスや創造的な空間演出、アバターを通じた個性表現など、リアルイベントとは異なる魅力を持っています。また、双方向のリアルタイム体験による没入感や参加者のフィードバックを即座に反映できる柔軟性がイベントの価値をさらに高めます。集客においては、単なる「観客」ではなく「参加者」として関与を促し、特別な体験を提供することが鍵となります。リアルタイム性を活かした「熱狂」を作り出すことで、参加者の満足度と集客力を最大化します。
ここで冒頭の話に戻りますが、すべては「どうしてメタバースでイベントをやるのだろう?」から始まったと思います。ここまで読み進め心のどこかにメタバースじゃなくちゃ出来ないイベント、メタバースじゃなくちゃ出来ない体験というヒントが浮かんできたのではないでしょうか?
次の章からはどうやってメタバースに向いたイベントを組み立てるのだろうか?を実際に開催したイベントを例にして掘り下げたいと思います。
次は
第2章: イベントコンセプトのローカライズ
をお届け予定です。
制作秘話など中の人がココだけの話をちょいちょいやってます