「Gift of Fire」~太陽の子を見て~
太陽の子
子供の頃戦争や原爆のお話しは
図書館でたくさん読んだし
昔は夏になると今よりたくさん
戦争のドラマをやっていたからたくさん見てきたし
映画もいくつか見た
何より、祖父母から戦争の体験を聞いていたので
戦争映画・・・かなしい気持ちになる
もう二度と繰り返してはいけない
という十字架を背負ったような気持ちになるから
なんとなく見たいけど、どうしようかな~
という気持ちで見るのを躊躇していた
映画「太陽の子」
SNSにあげていた友人の投稿の
「今までの映画にはない描き方で、終戦後の世代だからこそ製作できたと思える。」という言葉が響き、昨日見に行ってきました。
まず・・・どこから語ろうか・・・と困ってしまうくらいたくさん感想がありますが・・・亡くなってしまった三浦春馬君をはじめ、出演した俳優さん方の演技のこと。
京都大学で新型爆弾を研究開発している修を柳楽優弥君
兵隊として戦地へ出兵し療養のため里帰りしてきた弟の裕之を三浦春馬君
二人の幼馴染で家を取り壊され年老いた祖父と居候する世津を有村架純さん
若い俳優さんたちが一つ一つの事実を受け止めながら演技している姿
お母さん役の田中裕子さん静かな存在感、わきを固める大学の教授や仲間の学生さんたちの演技も素晴らしい。
エンドロールが流れた時、もしかしたら三浦春馬君のファンの方かもしれませんが、俳優のみなさんを讃えるようにどこからともなく拍手が聞こえてきました。映画館で拍手が鳴り響くのを聞いたのははじめてでした。
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私は作品の世界の中に入り込んでしまってなかなか出てこれないことがよくあるのですが、昨日も一日中めそめそしていました。けれども、それは
悲しみの涙ではなくて「ありがとう」の涙。
今は亡き、おじいちゃんとおばあちゃんのことを思い出したのでした。
母の本当のお父さんは終戦半年前の冬、南の海で戦死しました。
戦争から生きて帰ってきた母の実の父の弟(保男さん)が、祖母と再婚し新しい母のお父さんになりました。母が一歳の時のことなので母は実の父のことは何も覚えていないそうです。
私もその話をずっと聞かされていたので
直接血は繋がっていないけれど(弟だから正確にはつながっている)
私にとっても生まれた時から「私のおじいちゃん」は保男さんだし、
戸籍上でも祖父。
けれども、亡くなってしまったけど、もう一人おじいちゃんがいて
昔は戦争でいっぱい人が亡くなっていたから、そういうことが普通にあったんだよと聞いていたから
自分にはおじいちゃんが二人いるって思って生きてきたし
今でもそう思いながら生きています。
戦争の話は祖父からよく聞きました。
祖父のいた部隊は戦火のはげしくない場所だったから運が良かった
と話してくれたけど、子供だったから疑問にも思わなかったけど、今思えばそれが本当かどうかわかりません。祖父から悲惨な話を聞いたことは一度もなかった。
もしかしたら、里帰りしても戦地の話を一言もしなかった裕之のように
本当は話せないようなこと、話したくないことがいっぱいあったのかもしれない。
祖父は実はとても頭が良かったらしく、
本当は大学に行って勉強をしたかったけど
兵隊に行かなくてはならなかったし、
生きて帰ってきたら亡き兄の代わりに、
家長として家を守っていかなくてはならなかったから
勉強はあきらめて農家をすることになったとよく聞きました。
祖父はいつも本を読んでいたし、新聞も隅から隅まで読んでいて
戦争がなかったらおじいちゃんはどんな学者さんになっていたのかな~と
よく想像していました。
映画を見ながら修、裕之、世津三人の関係が、我が家のご先祖様たち、
祖母、祖父、そして戦死した祖父の兄の姿に重なり
まるで、天国から、映画を通して思いを伝えてくれているようにも思えました。
祖父が亡くなってから25年、祖母が亡くなってから10年
戦争の時は、生きた、死んだでわかれわかれになったけれど
今は天国でみんな一緒にいる。
映画の中で、新型爆弾を開発している学生さんの一人が
身体をはって戦地に赴いている仲間たちがいるのに
研究するための予算も資源も時間も、足りないものだらけで
実際に形にできるかどうかわからない実験を繰り返す自分が情けない
自分も出兵すると言うのですが、教授が出兵を引き留めるシーンがあります。
開発が成功しようがしまいが
戦争に負けたとしても
日本の未来のために死んではならない、生き残らなくてはいけない存在だから
「太陽の子」の英語でのタイトルは「Gift of Fire」
プロメテウスの神話を知っていますか?
人間はもともととても弱い生き物でした
そこでプロメテウスは神様のもとから火を盗みます
人間たちは火を手にしたことで、
生きてゆく力と知恵を得たのです。
けれども火を盗んで人に与えたプロメテウスは
神様から重たい罰を与えられました。
生きたまま岩につながれ、はりつけにされ、肝臓を大鷲に食べさせる。
肝臓は大鷲が食べても食べても再生するため
プロメテウスは永遠に苦しみ続けなければならい。
「Gift of Fire」
私たちもプロメテウスのように「火」という智慧、を受け取ったと同時に、痛みも持ち続けてゆくという運命にあるのかもしれない、
戦争中の兵器開発や核の開発があったからこそ
今の便利で快適な生活があるのだと思う。
でも、実際今でも、便利になったぶん、傷つき、痛んでいる、破壊されてるのも事実。いつも両方あることを忘れてはいけないと思いました。
戦争という時代を自分たちの人生の真ん中に置いて
命をかけて生き抜いてくれたご先祖様たちの愛をひしひしと感じ
ありがとうの気持ちでいっぱいになりました。
その傷、痛みは「今」につながっている。
そして、映画の中で役者さんたちは
受け取っていたし、受け取ったものを表現していた。
「Gift of Fire」
占星術でみると春馬君も柳楽君も二人とも牡羊座
火の星座。
牡羊座は12星座で一番純粋でまっすぐな性質がある
と言われている
二人の炎をぜひみていただきたい。
牡羊座は12星座のトップバッター
スタート地点、新しいはじまり。
過去からの、戦争と共に生きた方々からのメッセージでもあり
未来へのメッセージでもあると思いました。
とても良い映画なのに9月2日で上映が終わってしまう映画館が多いようです。ピンときたらお早めに。
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