トーンのお話、ちょっと補足。
昨日あげた記事、たくさんコメントいただきありがとうございます<(_ _)>
で、ここに「トーンを削って雲を描いた」と記述しました。いつものお絵かきあるある程度くらいの気持ちで書いたのですが、
どうも思ったより皆さん「トーン」におなじみがないようですね(^^;)
わかりにくいモノを描いてしまったと、ちょい反省しております。
ちょっと補足説明します、知ってる方は読み飛ばしてください<(_ _)>
トーンというのは「模様が印刷されたシール」みたいなモノです。
いろんなガラがあります。
単に点々のものを「網目」、ややランダムに点々を打ったものを「砂目」、といい、それぞれに濃淡をつけたのが「グラデーション」です。
またチェックや迷彩などの「ガラ」、ほわほわとした煙のようなものや光る水滴のような(少女マンガの背景をイメージしてください)「効果」など、種類はいろいろあります。
こういうシールを服なら服、影なら影なりに貼って切り抜くんですね。
なんでそんなことするかというと、マンガはシロクロの印刷なので中間色がなく、塗っても白く飛ぶか黒くつぶれてしまいます。でもなんとか中間色を表現したい。そこで「黒一色」で「ちいさい点々」の濃度を変えて、疑似的に中間色を表しているわけです。
こんどマンガ読む時「これ、どうやって手で描いてるんだろう?」という場所があったら注意して見てみて下さい。たぶんそこがトーンです。
自作より、例。
暗闇に浮かび上がるような階段、光の差し込むドア。これらは真っ黒でもなく線でもない、点々でできています。拡大すると
見えたかしらん。
んでこのトーン、先ほどシールのようなものといいましたが、とがったものでひっかくと表面のガラが削れてしまうんですね。油絵具とかペンキなどもガリガリひっかくとはがれますが、まあそんな感じです。
削ったところを「白」と見なすことで光が表現できたりする、↑はそうやって「ドアをあけて光が差し込む」場面を作っています。
なんだかマンガアシスタント講座みたいになってきたな。
恐れ多いことです<(_ _)>スミマセン。もう他人にアシ教えるなんてまっぴらですw
つまり昨日言った「トーンを削る」というのはそういう作業のことです。
…想像できましたでしょうか(._.)
そういう目でみると…
いっぱい貼ってありますね(^_^;)
これはまだ当方が若いときの作品で、なんとかうまく見せようとトーンを貼りすぎています。悪い例ですw
で、またこのトーンを削るというのがかなり腕力のいる作業なんですね、実は。
カッターを鉛筆もちにして、とがった先っちょでガリガリやるわけです。とがってますから広範囲を削るには時間も体力もかかります。昨日の雲はちなみに4時間かかっております。
失敗したら、削ったものは復活しないのでまるっと貼り直しになります。
その上このトーンという奴がけっこう高いw
当方がよく使っていた時代でB4一枚400円くらいですか。修行中の身にはけっこうこたえる値段で、ふんだんにトーンを使ってある作品(某○○先生とか、××先生…いや、とても書けません)を見ると、「金にモノ言わせやがって、このブルジョワ作家めが!」と思ったものです(^_^;)
で、お金のない当方、だんだん「なるべくトーンを使わない」絵柄に変更していきました。ガラや効果はなるべく手で描いて、基本の「網目」「砂目」だけでやってみよう…これが高じて「取りつかれたように線で描きこむ芸風」ができあがったのですが…
例。
真っ黒じゃねえかw
これも全体に網目と、奥に砂目のグラデーションが貼ってありますね…今なら貼りませんw要らん、十分だ。奥なんてベタでいい。
トーンはだいぶ少なくなってますが、その分ベタばっかりになっており、
画面からなんだか怒りを感じます(^_^;)
まあ若さとはそういうものかもしれません。
そういうわけですので、昨日のように雲でB4一枚まるまる削ったのは、アシスタント卒業以来でした(^^)今日若干右手が重いですw
上記のような事情を加味して、「無茶なことするなあ(笑)」というひとネタのつもりだったのですが。
…昨日いただいたコメント、またスキしてくれた方を見直してみたところ、事情を察していただけたのは多分2,3人だったようですねw
とはいえオススメしてくださったお二方、感謝しております<(_ _)>
本当にありがとうございました!(^^)!
以下、トーン削ったことある人に向けて。
昨日の雲、削りの上にホワイトを部分部分にいれています。一番光の強く当たる部分を意識しました。これは経験30年のプロアシ中のプロアシから習ったコツです。
印刷に載る分には削りもホワイトも同じ「白」なのですが、ホワイトのほうがドットを切るエッジが立つ…輪郭がハッキリするとのこと。上手くいくと「ホントに光が反射しているように」見えます。昨日のは…うーん、まだまだですねw
かなり目立つのでホントにポイントだけ、濫用注意と教わりました。
あと、これは別件で先輩に教わった技なのですが。なぜか先輩と当方以外やる人がほとんどいない(見たことない)ので備忘録として載せておきます。水の表現に非常に向いている削り方です。
…といって、文字で書いてつたわる自信はないのですが、やってみますと、
まず網目やグラデのトーンを「真横に」削っていきます。(トーンワークでは基本真横はタブーですが、この技は例外でした)
このときカッターを親指と中指だけでゆるくつまんで、カッターのお尻を掌に軽く当てます。で、カッターの刃先を紙に直角に(あるいはやや鋭角に)軽く軽く当て、小さく連続的に「カタカタカタカタ」という感じで削ります。
たまに刃先が紙に刺さって、ケバが立ちます。それをティッシュで撫でて取るとちいさい点がランダムに生まれますがそれも狙いの内です。一回では削れたかどうかわからないくらいなので、丁寧かつしつこく、あくまでも軽く、なんどもやっていきます。
だんだんこうなっていきます。この技のいいところはカッターの持ち方のせいで肘が浮いており、ストロークが長いこと。かなりの大きさまでフリーでまっすぐ削れます。
かなり自然な水、特に海表現になります。これはまだホワイトを使っていません。ポツポツとした小さな丸い点は、ホワイトでやると目立ちすぎるのでこの技(当方は「簾抜き」と呼んでましたが…)は実に重宝でした。
…なぜかヨソで見ない技なのですが、機会あったらお試しください<(_ _)>
技が成功するとカッターから独特の音が出るのですぐわかると思います。
…なんだかまたマニアックな記事になったな。
お粗末さまでした<(_ _)>
たくさんのサポートを戴いており、イラストももう一通り送ったような気がするので…どんなお礼がいいですかねえ?考え中(._.)